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Coda  作者: 梓哉 詩
1/3

1.流転 魑

私が彼に会ったのは桜のきれいな春。

彼は桜の木の下で気持ち良さそうに寝ていた。

その無垢な姿を見て、手の届かない世界の人なんだと思い知らされたがそんなこと気にしない。

手の届かない存在なら壊してしまえばいい。

でも、実際は諦めるだけ。

いつものように。


10年前当時、推定5歳だった私はコーダを当主が担うという流転家に引き取られた。

寿命が長すぎると退屈になる。

だから、退屈に殺される前に死んでしまいたい。

私たちが人とは違って寿命が長いのは罪の証。

私たち、リメンバーは禁忌を犯した罪人。

リメンバーという名前は『その罪を覚えていろ』という意味から来ている。


う~んとのびをして彼は起きた。

それから私のほうを見て言った。

「君は?」

私はその時の彼の顔を見て、ばかそうだと思った。

なにかが抜けているような顔をしていたからだ。

「他人に名前をたずねるときは自分の名前を先に言うのが通りでしょう?」

私はそんな決まり文句を言った。

すると彼は力無く笑って名前を言った。

彼の名前は間弥 碧。

彼が、碧が名を告げたので私も言うことにした。

「流転 魑」

るてん すだま 笑いたきゃ笑えと諦めてしまうような変わった名前だ。

苗字は5歳から流転になったわけだから前は違う名前だったはずだが、私は覚えていない。

私は5歳以前の記憶が欠落しているのだ。

でも、魑という名前だけは覚えていた。

それに漢字が難しいというのが私の悩み。

「おもしろい名前だね。」

碧が言った。

要するに変ていう意味でしょと私は思ったが碧は名前の意味を説明していった。

「流転が輪廻っていう意味だから、巡るっていう意味でしょ。

それに、魑は精霊の意味。

本当におもしろい名前だね。」

ここでいう碧のおもしろいは皮肉ではない感じがした。

不思議と私はそう思った。

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