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7-今、●●●●した……?



「久世サン、どう……? きもちいい……?」


 外観はシンプルだったラブホの一室。

 内装も落ち着いていて、間接照明が点る薄明るい室内、熱に浮かれた野宮の声が小さく響いた。


 別々に手早くシャワーを浴びてバスローブを羽織った二人。

 ヘッドボードにクッションを立てかけて背中を預けた久世、その足元に野宮はいた。


「うん、気持ちいい」


 しんなり湿った茶髪を久世に撫でられただけで、野宮は、まだ一度も触られていない自身を反応させる。


「可愛いね、野宮さん」


 バスローブに包まれた腰までビクビクさせている野宮の有り様に久世はかたちよき唇を歪めてみせた。


「僕を美味しそうに頬張ってる野宮さんの顔、好きだよ……?」


 野宮の腰はさらにビクリと跳ね上がった。


「あ……俺も……久世サンに見下ろされんの、好き……てか……もうほしい……ちょうだい……?」

「もう?」


 顔を上げておねだりしてきた野宮に久世の両手が伸びた。上下とも濡れそぼつ唇の奥に両方の親指がゆっくり突き立てられていく。


「我慢できない?」

「んぷ……っできな、ひ……久世サァン……んぷ……ン……ほひぃ……」

「じゃあ、今日は野宮さんからおいで」


 久世の指まで美味しそうに受け入れていた野宮はパチパチと瞬きした。些細な戯れを中断させた久世はベッドに完全に仰向けになり、わざわざ手招きまでしてくる。


 野宮はコクンと頷いてぎこちなく彼に跨った……。





 肌蹴たバスローブ越しに腰をぐっと掴まれて野宮は仰け反る。

 頭の芯が爆ぜるような第一絶頂にあからさまに打ち震えた。


「野宮さん、もしかして」

「はーーーッ……はーーーッ……はーーーッ……」

「今、メスイキした……?」


 自分の真上で扇情的に仰け反ったまま微痙攣を続けている野宮に久世は問いかける。


「はぁッ……わ、かんな……ッ……ひどい、よ、久世サン……っ」


 ぼろぼろ涙して、感じながらも非難してきた恋人に久世は堂々と見惚れる。逃げ出さないよう腰を掴まえていた両手に一段と力をこめた。


「僕ね、野宮さんの泣き顔、特に好きかも……」


 野宮は嫌々と首を左右に振って久世の手の甲に爪を立てる。


「あああっ、悪趣味っ……ちょ、待っ……今いったばっか……ッ」

「ほら、やっぱり……さっきメスイキしたんだよね……?」


 力任せに腰を掴まれて固定された野宮は涙ながらにコクコク頷いた。


「した、ぁ……メスイキしましたぁ……っ」

「こういうセックス、メスイキするくらい感じるんだ……?」

「あっ、っ……感じるっ……ッ」


 上半身を支えきれずに野宮は崩れ落ちた。真上に落ちてきた恋人を久世は受け止める。彼が羽織るバスローブをぎゅっと握り締め、野宮は全身を波打たせた。


 久世は自分の真上で長々と痺れている野宮を改めて見つめた。


「……(ひろ)……」


 快感に痺れていたはずの野宮紘は目を見開かせる。

 初めて名前で呼んだ恋人に久世はキスした。ぐるりと位置を変え、覆いかぶさって、火照った唇同士をたっぷり重ね合った。


(な、名前……久世サン、俺のこと名前で呼んだ……)

(どさくさに紛れて呼んでみたけど……実はずっとタイミング狙ってたんだよ、野宮さん……?)





「熱いね」


 乱れていたバスローブを完全に脱ぎ捨て、全裸になった久世はベッドに溺れる野宮を飽きもせず愛しげに見つめる。


「ふぁ……久世サン……」

「紘」

「っ……っ……っ」

「紘は俺のこと名前で呼んでくれないの?」

「え……あ……」

「まだ恥ずかしい? 僕達、もう二十八だけど」


 一月に誕生日を迎えて久世と同じ年齢になった野宮は、片膝を掴まれて両足を押し開かれ、胸を大きく反らした。


「ふあっ、久世サン……」

「久世さん、じゃなくて……?」

「ッ……凛一(りんいち)ぃ……」


 汗ばむ首筋に黒髪をはりつかせた久世凛一はくすぐったそうに笑う。

 見慣れない恋人の笑い方に野宮は……彼をきつく締めつけた。


「ん……紘は僕の名前呼ぶだけで感じる……? 気持ちよくなる……?」

「な、なるぅ、凛一ぃ……」

「これからどうするつもり……? 呼ぶ度に感じるとか、日常生活に支障が出そうだね……?」


 久世はさらに野宮の片足を持ち上げた。野宮はクッションを掻き抱く。歯を立て、爪先までゾクゾクさせて、甘い断末魔を上げた……。





「まさか連続メスイキするなんて……ね」

「はあぅ……」


 二連続メスイキに至った野宮、脱げかけたバスローブもそのままに床に両膝を突いてベッドにしがみついていた。


 同じく床に両膝を突いた久世は、どこを攻めても従順に喘ぐMっ気のある恋人に心身共に尽くしてやる。


「そろそろ、紘の、はち切れそう」


 シーツに額をゴシゴシ擦りつけていた野宮は、すぐ真上に迫る久世を哀願の眼差しで肩越しに仰ぎ見た。


「凛一ぃ~~……っ……おれぇ、ちゃんとっ……!」

「……うん、そうだね、いいよ、紘……? 溜めていた分、思う存分、ね……? いっぱいメスイキしたご褒美……スッキリさせてあげる……」


 同世代の恋人に完全に主導権を掴まれて、管理し支配される流れにどっぷり溺れている野宮は、露骨な愛撫に全身を引き攣らせる。


 久世に導かれるがまま、溜まるに溜まっていたものを目一杯解放させた……。




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