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外の景色

 目が覚めると、同室に壮年の男がいて、共に食事を摂り、共に鉱山に潜る。そんな日々を繰り返していた。

 その男の名前は、ルドといった。顔の半分は髭に覆われていて、あまり清潔感はない。浅黒い肌をしているが、日焼けというわけでもなさそうだった。

 

 ビアンカにここに連れて来られた日、彼女はルドに「こちらはハルよ。耳としっぽが生えているけど、ただの力の強い青年だと思ってね。宿舎では、あなたと同室にさせてもらうわ。ハルがいじめられないように、ハルから絶対に目を離さないでね」と言った。

 

 ルドは困り果てた顔で「はあ……」と頷いていた。

 

 それからビアンカは俺に向き直り、「脅すつもりはないけど、あなたが何かやらかしたら、どうしたって他の三人とまとめて処分しないといけなくなる。逆に、あなたが良い働きをすれば、あなたたちの立場はよくなるから」と言った。

 

 その日から今日まで二週間、俺は鉱山の傍の宿舎でルドと、その同僚達と寝食を共にした。

 屋敷から鉱山までは毎日通うような距離ではなかった。だからこそ俺は宿舎で寝泊りすることになったのだが、ビアンカは、二、三日に一回、知らない従者を伴って様子を見に来た。

 ビアンカが来る日も、来ない日も、同僚の中ではビアンカの話で持ちきりだった。聞きたくなくても、聞こえてくる。

「俺も屋敷にお持ち帰りされてビアンカに抱かれたい」という下衆な話も多かった。

 それから、「獣人を飼うなんて、さすがに頭がおかしい」という話も多かった。

 

「さすがに、ビアンカのことを気持ちが悪いと思った」

「俺たちを獣人と一緒に過ごさせるなんて、失望した」

「ルドが気の毒でならない。ルドに対する裏切りだ」

 

 そういったことを耳にする度に、心の底に澱が溜まっていった。

 ビアンカには、その言葉を直接聞き取れるような耳はないが、そのようにこき下ろされていることは、きっと承知しているのだろう。

 もっと言えば、俺たちを買う前からわかっていたはずだ。彼女は俺たちとは違い、この国の獣人の立場を良く知っていたはずなのだから。

 俺たちにほとんど価値がないことを知った上で、俺たちを買い、仕事を与えているのだ。

 そう考えると、ぐっと心が重くなる感じがした。

 

 もう二週間だ。

 あいつらに会いたい。会って、ビアンカも鉱山も危険はないと伝えたい。

 それから、ビアンカに会いたい。ビアンカは頻繁にやってきたが、鉱山の状況を確認すると、いつも早々に帰ってしまうから。

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