数分で分かる第一部 世界観/主要登場人物
―――世界観―――
魔術が発展した世界。
太古、神と魔族の争いにより、人間界は神によって統治されていた。
世界は、大きく東西南北、そして中央と大陸があり、広大な大地の中、ぽつりぽつりと街や村が在り、自然の中には魔物が自然生息している。
元の世界と比し、科学的な発展は著しく乏しいものの、自然豊かな世界で、人間は神の教えである“しきたり”を強く重んじて生活していた。
異世界の存在については神より周知されており、極稀に現れる異世界来訪者も現実のものとして受け入れられている。
魔族との争いは今なお続いており、不定期に魔王が現れ、勇者に倒されている。
今期の魔王は、百代目。『英知の化身』―――ジゴエイル。
―――主要登場人物―――
■ヒダマリ=アキラ
本作主人公。異世界来訪者であり、元の世界では大学生。
異世界物の作品を好み、そのまま映したような世界に来訪したことに歓喜する。
特定の人物と結ばれることに抵抗があり、エリーと共に、婚約解消のために旅に出る。
希少な日輪属性の魔力が宿り、自然と人の心を開かせる固有スキルが常時発動している影響で、調子に乗りやすい性格が冗長していく。
その希少性ゆえ不明な点が多い日輪属性だが、魔術など習得せずとも、異世界来訪当初から手にしていた最強の力により、戦闘に問題は発生しない。
■エリサス=アーティ(エリー)
東の大陸アイルークに住む村娘。アキラよりひとつ年下。
長い赤毛を1本に縛って背中に垂らしているのが特徴。
緊張しがちな性格で、“しきたり”を強く重んじ、神はもちろん、その手配の正規組織に属する相手に対しては並々ならぬ尊敬の念を持つ。アキラは別。
義母が経営する孤児院で働きながら、街や村を守る正規の組織である魔術師隊へ入るべく猛勉強し、一浪の末念願の入隊式に辿り着けたが、アキラの登場により台無しとなった。
平穏な生活と、普通の恋と、安定した将来を夢見るエリーの人生設計は、その日を境に大きく狂うことになる。
破壊力に秀でた火曜属性の魔力が宿り、拳に乗せて敵を撃つ。
魔術師試験の実技用に体術も磨き、軽いフットワークで戦闘を行う。
鍛錬の末に手に入れた力は十分に優れているが、双子の妹がちょっとあれ。
■マリサス=アーティ(マリス)
東の大陸アイルークに住む村娘。エリーの双子の妹。
エリーとは瓜二つで、無口で、常に眠たげな半開きの眼に、淡い銀の長い髪をそのまま垂らしているのが差異だが、色彩だけが違うと思っている者も多い。
幼い頃、エリーと共に遊びで魔力の測定を受けたことがあり、その際に異常値を叩き出したらしく、“数千年にひとりの天才”と呼ばれるようになる。
エリー同様、孤児院で働くも、エリーが目指す魔術師隊やその上の魔導士隊から頻繁にスカウトが来ているが、何故かすべて断っていた。
アキラとエリーの旅に同行して村を出る。
日輪属性の次に希少な月輪属性の力が宿る。
日輪属性ほどではないとはいえ、謎に包まれた月輪属性の特徴は、魔力さえ準備できれば“不可能が無い”ことである。
無限を思わせる魔力を有していることも相まって、出来ないことが無いチート性能。
■サク
詳細な出自は不明だが、西の大陸タンガタンザ出身の旅の魔術師。
アキラよりふたつほど年下だが、切れ長の眼で凛々しく、長身と姿勢も相まって、大人びて見える。
頭の後ろで結わいた黒髪に、黒い眼と美麗ではあるが、アキラにとっては親近感の湧く容姿をしている。
真面目な性格をしており、自分を律することを心掛けている。
特に武器の手入れには並々ならぬ熱意を持つ。
ひとり旅をしていたが、紆余曲折を経て、アキラの従者となり、共に旅をする。
物理的な防御能力に秀でた金曜属性の力が宿るが、長い刀を操る。
突出した移動速度で戦場を駆け巡り、日々の鍛錬で培った剣術を用いて敵を撃つ。
■エレナ=ファンツェルン
南の大陸シリスティア出身の旅の魔術師もどき。アキラのひとつ年上。
絶世の美女と評せる容姿をしており、甘栗色の長い髪に、女性として理想的なスタイルを持つ。
自分の容姿がいいことを自覚しており、特に他人の財布に用があるときは甘い声を出す。
倫理観は欠如しており、平然と盗みを働くが、騒ぎが大きくならないように隠蔽するなど頭は回る。
彼女は魔王直属のガバイトという魔族を殺すために旅をしているという。
絶大な力を持つアキラに利用価値を見出し、旅に同行する。
身体能力の向上に秀でた木曜属性の力が宿る。
彼女が有する魔力はマリス同様規格外で、殴る蹴るの単純動作ですら敵が消し飛んでいくチート性能。
また、その手は、捕まえた者から生命力も魔力も奪い尽くす魔術を操る。
■アルティア=ウィン=クーデフォン(ティア)
東の大陸アイルーク出身の民間人。アキラより3つ年下。
青みがかった短髪に小柄な体格で、エレナのような理想な女性の姿になることを熱望している。
誰かの役に立ちたいと願う彼女は、危険な目に頻繁に遭いながらも、日々トラブルに突撃し、育ての親に心労をかけていた。
人懐こく、賑やかで、人と愛称で呼び合うことを好む。
日々のトラブルの中、アキラたちと出逢い、人の役に立ちたいと共に旅に出る。
水曜属性の力を有する。元は魔力の制御に秀でていることが特徴であったが、水曜属性は最も数が多いこともあり、多方面で研究が進んだゆえに、現代では汎用性が最大の特徴。
戦闘能力自体は乏しいが、希少な治癒魔術を操る。
■ホンジョウ=イオリ
モルオールで生活をする、アキラと同じ年齢の異世界来訪者。
肩ほどまでで整えた黒髪に、近寄り難い聡明な顔立ちをしている。
アキラより2年ほど前に異世界に訪れていたらしいが、異世界来訪者でありながらすでに魔術師隊よりさらに上の資格である魔導士として生活していた。
異世界に来たばかりの頃、彼女はアキラと共に旅をする予知を見たという。
今まで外れなかった予知によれば、アキラは世界中を旅して着実に実力を上げていくはずであり、実際のアキラの旅とは大きく乖離していると異常を感じる。
予知に従いアキラと共に旅に出るが、予知との乖離に戸惑いながら、その原因を探り続けることになる。
魔術防御能力に秀でた土曜属性の力を操る。
魔力を宿した短剣や、魔導士として完成された魔術を操り、あらゆる局面での対応力が高いが、彼女の真の切り札は、大地を砕き、敵をなぎ倒し、空まで飛ぶ、強力な巨獣である“召喚獣”の現出である。
名を、ラッキーという。
本城家では、代々ペットの名前は決まっているらしい。
――――――
■スライク=キース=ガイロード
■マルド=サダル=ソーグ
■キュール=マグウェル
■カイラ=キッド=ウルグス
アキラたちが旅の道中に出会ったパーティ。
アキラたち『七曜の魔術師』とは異なり、勇者一行の別の形である『剣』『杖』『盾』『召喚』を象徴している。
『剣』を体現するスライクという大男は、その身に比しても巨大な剣を操り、絶大な戦闘能力を誇る日輪属性である。
しかし彼自身、圧倒的に優遇される勇者の待遇にも、それに伴う責任にも、まるで興味が無い。
■リリル=サース=ロングトン
銀の髪に銀の瞳、透き通るような白い肌が特徴の、『月輪の勇者』を自負する月輪属性の女性。
太古、たったひとりで魔王を倒した三代目勇者に強く憧れており、スライクと異なり、勇者の責任をすべて受け止める覚悟を持つ。
――――――
■ジゴエイル=ラーシック=ウォル=リンダース
『英知の化身』と言われる百代目魔王。
その異名通り何かを企てているらしいが、人間は、世界最凶の危険地帯にいる魔王に到達することすらできていない。
■リイザス=ガーディラン
『財欲』を追求する火曜属性の魔族。
強大な戦闘力を持つが、財を差し出しさえすれば見逃してくれるらしい。
■ガバイト
エレナ=ファンツェルンが殺意を抱く謎の魔族。
アキラたちは配下の魔物に幾度か遭遇する。
■サーシャ=クロライン
『支配欲』を満たすことを目的とする月輪属性の魔族。
人の思考に囁きかけ、自分の望み通りに操ることを好む。