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初戦闘

 俺たちは技や魔法を買うためにまずはお金を稼ぐことにした。

「お金を稼ぐにはどうすればいいのかなぁ?」

「さっきチュートリアルを見た感じだと、モンスターを倒してドロップするアイテムを売るか、中央区にあるクエストボードに町人が依頼したクエストが張られているから、そのクエストを達成して報告するとお金やアイテムを貰えるらしいよ」

「それじゃあモンスターを倒すようなクエストを受けてドロップアイテムを売れば一石二鳥で良さそうだね」

「うんうん。とりあえずクエストボードを見に行ってみようか」



 町の中央に向かって歩き出す。

「これがクエストボードか。色々貼ってあるなぁ」

 クエストには難易度のランクがあり、GからA、S、SS、SSSとモンスターレベルによってランクが上がっていくようで、クエストボード横の建物にいる管理者に、張り紙を渡してクエストを受注する。

 俺たちはまだ、どのスキルも上がっていなのでモンスターレベル一から五のGランクのクエストを受けるのが無難なようだ。

「このGランクのビッグラット十体討伐でいいかな?」

「うん、それにしよ」

 クエスト管理者とやり取りをし、クエストを受注した後、さっそくモンスターを倒しに町を出ることにした。

 町の出口は東門、西門、南門の三箇所あり、ビックラットは南門を出てすぐのリクサール平原と呼ばれる場所に生息しているらしい。



 道中ふと気づいたことがあり、愛華に話しかける。

「そーいえば、普通に会話出来てて全然気にもしなかったんだけど、この辺歩いてる町人とか俺たちに武器を売ってくれた人、クエスト管理者たちってNPCなんだよな……何の違和感も無くて今更びっくりしてるよ……」

「たしかにそうだね。まるで私たちと変わらない人間みたい……」

「ゲーム開発者に配置されてるってより、まるでこの世界で生きてるみたいだよなぁ」

「ほんと、すごい技術だねー」


 色々話しているうちに城門についた。

 護衛兵が四人ほど整列している。

「ここを抜けるとモンスターがいるのか。ちょっと緊張するなぁ」

「行こっ!」

 愛華に手をつないで引っ張られる。

 城門を抜けるとそこには平原が広がっていた――。


 遠目からも野生のモンスターが徘徊しているのが見える。

「すごい……」

 二人共が声をそろえて呟く。

 町の中にいたときは城壁に囲まれていて、外の景色が見えていなかった。

 初めて見る、その眼前に広がる光景にある種の感動を覚えた。

「あれがモンスター……」

「ほんとにいるんだね……なんか、これからがスタートって感じだね」

「そうだね。俺たちのDDOライフの始まりだ」



 俺たちは目標であるビックラットを探すことにした。

「いた! あれじゃないかな?」

 愛華が見つけたようだ。

 そちらに視線を移すと確かに巨大な、人が丸まったほどのデカさのねずみがいた。

「でかっ! ビックラットって名前だから大きいとは思ってたけど、まさかここまでとは……」

 どうやらある程度離れてる分には襲ってこない非アクティブモンスターのようだ。

 愛華に防御力アップの魔法をかけてもらい、俺は剣と盾を構え、戦闘準備に入る。

「準備オーケー。愛華、行こうか!」

「うん!」

 俺はビックラットに勢いよく切りかかる。

「えぇぇぇぇぇぇい!」

 剣といっても木剣であるため、切るというより殴打が正解かもしれないが……。

 ダメージはあったようで、ビックラットは怯み後退する。

「よし! 効いてる!」

俺はすかさず二撃目の体制に入る。

「てやぁぁぁ!」

 ビックラットはギリギリのところで躱し、俺に体当たりをする。

「うわぁぁぁ!」

 俺は不意を衝かれ、少し後方に飛ばされた。

「大丈夫!?」

 愛華が慌てて声をかけてくれた。

「大丈夫、大丈夫。かすり傷だよ」

「ちょっと待ってね。フィール、レック、セプト……ヒール!」

 愛華が魔法を唱える。さっきの防御力アップの魔法と違って、白い魔法陣で詠唱されたその魔法は、俺の体力を回復させた。

「凄い……。痛くなくなってる!」

「回復は任せて! 駿君は攻撃に集中してね!」

「ありがとう! 頼りになるよ」

 この後、何度かビックラットに切りかかり、討伐を完了する。

「ふぅー、まずは一体」

「これなら十体いけそうだね」

 愛華が笑顔で応えてくれる。

「忘れずにアイテムを回収しないとだ」

 人差し指と中指を揃えて、倒れたビッグラットに触れる。アイテムのインベントリ画面が出現し、自分の手持ちインベントリにアイテムを移動する。

 アイテム回収を終えた死体は三十分で消失するらしいのだが、解体のスキルを持っているとアイテムを追加回収できるらしい。今の俺たちでは解体スキルをとっていなので放置するしかないのだが――。


「そーいえば!」

 俺はメニュー画面を開き自分のスキル値を確認する。

「お、スキルが上がってる!」

「ほんとだ! 私も一ずつ上がってるよー」

「この調子でどんどん倒してスキル上げもしよう!」

「うん!」


 あれから一時間くらいが経っただろうか――。

「ふぅ……、これで終わりだ!」

「お疲れ様!」

 俺たちは手を打ち合わせて互いの労をねぎらう。

「やったね! スキルも結構あがったし」

「そうだね。俺も最後の方は倒すのが早くなってたし、スキル値が上がって攻撃力が増したおかげかな」

「うんうん。それじゃあ、クエストの報告しに行こっか」

「結構動いたから喉もカラカラだよ」

「だね。何か飲み物飲みたーい」

「そのためにも先ずは報酬を受け取らないとだ」

 俺たちは報酬を受け取るためにクエストの報告に向かった。

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