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駆け引き

 早々に試合を終わらせたミズさんがこちらに戻ってきた。

 気絶したジェスターの元には救護員が駆けつける。試合後、ダメージが大きい者には救護員が回復魔法を施してくれることになっている。


「ミズさん、お疲れさまでした!」

「まぁ第一試合なんてこんなもんだろ。駿も続けよ」

「はい!」


 程なくして、第一試合の全試合が終了する。

 リング整備の後、第二試合の出場者である俺の名前が呼ばれる。

「行ってきます!」

「頑張るネ!」

「いつも通り冷静にな」

 みんなの声に勇気づけられ、俺は自分が試合をするリングに向かった。

 相手は装備や構えを見る限り、忍者だろうか……。

 軽装だし、素早い動きには注意だな。


「それでは、第二試合を行う! 始め!」


 試合開始と同時に相手が物凄いスピードで印を結びながら近づいてくる。

「先手を取る気か……!こっちも負けてられない! シールドストライク!」

 俺は盾を構えながら相手に突進して迎え撃つ。

「火遁、火竜の術!」

 こちらに広げた手のひらから火竜が飛び出し俺を襲う。

「くっ! 凄い威力だ……! でも!」

 俺は襲い来る火竜を盾で受けて威力を軽減した後に、払っていなす。

「今度はこっちの番だ! ソニックスラッシュ!」

 俺は強く踏み込み、切りかかる。

「土遁、岩障壁の術!」

 相手の周りを岩の壁が囲み、姿を隠す。攻撃は岩で弾かれてしまったが、隙を見つけた俺は攻撃の手を止めない。

「悪手だよ! デッドリースラッシュ!」

 岩で囲まれて身動きが取れない相手に俺は貫通技を使い岩ごと相手を貫いた。

 大ダメージを負って、慌てて俺から距離をとる。

「逃がさない! ソニックスロー!」

 俺は投げナイフで相手を追撃する。

「水遁、剛水虎の術!」

 水の勢いに負けず、ナイフは相手に突き刺さるも、俺にも物凄い威力の水属性攻撃が襲い掛かる。

「インプレグナブル!」

 俺は無敵技を使って相手の奥の手であろう術を防ぎきる。

 防ぎきるとは思っていなかったのか相手の反応が遅れる。

 すぐさまインプレグナブルを解除し、とどめを刺しにいく。

「ソードストライク!」

 俺は自身の剣を相手に投げつけ、右肩から先を切り落とした。

 痛みで悶絶し、気を失う。


「戦闘不能! 勝者! 深見駿!」

 俺の勝利が宣言される。


 俺はよたよたしながらも、みんなの所に戻った。

「何とか一戦目勝ちました……!」

「勝てば何でもいいんだよ」

「初戦にしては良かったぜ」

「よくやった。次は私だな」

 次戦のリディアさんは準備万全の様子だ。

 俺は椅子に座り込み、体力を回復させる。


 第二試合も終わり、第三試合の出場者の名が呼ばれる。

「すぐ戻る!」

「やる気満々だな」

「相手がかわいそうネ」


 リディアさんがリングに上がり、審判の合図を待つ。

 相手はリディアさんより一回り大きく、両手に鋭い爪を装備している。


「それでは、第三試合を行う! 始め!」

 開始と同時に相手がしかける。

「うおぉぉぉぉぉ!」

 叫び声とともに相手がリングの石板をめくりあげリディアさん目掛けて投げる。

「馬鹿力め……」

リディアさんの目にも止まらぬ速さの突きが石板を貫き砕け飛ぶ。

「やるじゃねぇか! これならどうだぁぁぁぁ!」

 そう叫ぶと、自分の周りの石板を投げまくってくる。

「単純な奴だ……。ツイストランス!」

 迫り来る石板を次々と貫きながら相手に近づいていき、最後の一枚手前で次の技のモーションに入る。

「ペネトレーション!」

 石板ごと相手の腹を貫く一撃を放つ。

「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」

 叫び声とともに、傷口を押さえて悶絶する


「戦闘不能! 勝者! リディア・ベレージナ!」


「早い……!」

 やっぱりミズさんとリディアさんの実力は別格だと改めて感じる。

「やるじゃねーかリディア」

「あの程度ではつまらん」

 リディアさんを労うミズさんに辛辣な一言。

「言うねぇ……。さてと、次は俺の番だな。もう一戦後だが、そろそろウォーミングアップでもしておくかな」

 そう言うとアルさんがストレッチを始める。

「ウチもみんなの戦い見てたら身体が疼いて仕方ないネ。付き合うヨ」

 試合の待ち時間が長くて我慢できなくなったメイリンもアルさんと一緒にストレッチを行う。

 

 試合は進み、アルさんの名前が呼ばれる。

「やーっと出番だかよ! 暴れてくるぜー!」

「頑張ってください!」

 手をグーにして突き出し、笑顔で応えながらリングに向かっていく。

 そして対戦相手の名前も呼ばれる。しかし、その名前は聞き覚えのある名前だった……。

「まさかあんたと一戦目から当たるとは思ってなかったぜ」

「見知った顔だな。昨日の友は今日の敵と言ったところか。手加減はせんぞ!」

 アルさんの第一戦の相手……それは大規模戦闘時のリーダーを務める、攻略組ギルド『聖騎士団』のギルドマスターであるフランク・リュミエールだった。


「それでは、第五試合を行う! 始め!」

 先制はフランクさんだった。フランクさんは構えていた剣を銃形態に変形させアルさんを狙い撃つ。

「あぶねーあぶねー。そーいやあんたはそんな武器を使うんだったな」

 アルさんが間一髪のところで回避する。

 フランクさんは長剣スキルと銃器スキルをメインの武器スキルとして上げており、剣と銃が一体になったライフルソードという武器を使う。

 ライフルソードは一本で遠近両用の武器であり、とても汎用性が高い。


「やるな!だがこれなら避けれまい!ホーミングバレット!」

 アルさんの動きに合わせて追尾してくる弾丸を放つ。

「あんたの手の内はバレてるぜ! 有名人!」

 アルさんはアックスを回転させ、迫り来る弾丸を全弾弾き落とす。

「今度はこっちの番だ! ドラゴンシャウト!」

 アルさんの途轍もない雄叫びが会場中に響き渡り、フランクさんを怯ませる。

「行くぜ! バトルシャウト……うぉぉぉぉぉぉ! パワースウィング!」

 今度は攻撃力を上げるシャウトスキルで地鳴りのような叫び声を上げ、全身全霊のフルスイングを叩き込んだ。

フランクさんは間一髪の所で盾で防ぐが、そのとてつもない威力に押し負けて、盾を真っ二つにし、盾ごと腕を切りつける。

「チッ! 致命傷は避けたか……」


「なんてパワーだ……。やはり君のパワーはあなどれないな。だが、こちらもこんなところで負けられない!」

 言うと同時に銃を構える。

「ミラージュバレット!」

 アルさん目掛けて目に見えない程の連射が襲う。

「やられてたまるかよ! インプレグナブル!」

「防いだか、時間稼ぎしているだけでは勝てないぞ!」

「時間稼ぎで十分だ。あんたの一番の大技を防げたんならな」

「目的は達成したと? それなら!」

 フランクさんが詠唱を始める。

「グランツ、レック、シェイン、ヌヴァール、エント……エンチャントフレア!」

 ライフルソードに炎の魔法が付与される。


「そろそろ効果時間が切れるころだ! フレアバレット!」

「当たってたまるかよ!」

 直撃は避けたものの炎の弾丸が肩をかすめ、接触部位が発火する。

「あっちぃぃぃぃ! かすっただけだぜ……」

「距離を取るのは悪手だな……。ソニックスウィング!」

 一蹴りで距離を詰め、重たいはずのアックスを物凄い速さで振りぬく。

「受けきれる! バーチカルスラッシュ!」

 強威力の縦切りでアルさんのアックスを受ける。

 鍔迫り合いにムキになるになったアルさんが力を入れた瞬間、フランクさんは逆に力を抜いてバックステップする。

 力の逃げ場を失ったアックスは、勢い止まらず振りぬいてしまう。

「しまった……!」

「デッドリースラッシュ!」

 アルさんの腹部を直撃し、後方に吹っ飛ばされる。



 立ち上がろうとするも崩れ落ちてしまい、審判の判定が下る。

「戦闘不能! 勝者!フランク・リュミエール!」

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