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ウンディーネ

「どこだろ……?暗くなってきて良く見えないな……」

 俺は辺りを見まわしながら口にする。

「かなり深いところまできたしね。」

 愛華はそう言うと魔法を詠唱する。

「キュア、レック、ウィータ……ライティングアイ」

 周囲が一気に明るく見える。

「ありがとう!」

 俺たちは再び湖底に向かって泳ぎ始めた。

「……いた! 思ってたよりデカいな……」

 その全長は人型である俺の五から六倍程はあろうかという大きさだった。

「こっちにはまだ気づいてなさそうですね」

「なら先制してやるさ。リディア!」

「あぁ!」

 ミズさんとリディアさんが弓を構える。

「ハイドショット!」

 視認不能長距離射撃技だ。

 直撃したかと思われた瞬間矢が弾かれる。

「くそっ! 物理バリアか」

 矢が弾かれた方を視認するウンディーネ

「見つかった……! 行きましょう!」

 全力で泳いでウンディーネに近づく。

「タウンティング! ソニックスラッシュ!

 俺はウンディーネのヘイトを取り、戦闘を開始する。

 ウンディーネの両手が光り、いきなりの全体魔法が放たれる。各々盾で防いだり、回避してダメージを最小限に抑える。

「あぶねー! いきなりかよ! エクセキューショナー!」

 アルさんがフルスイングで切りかかる。

 アルさんの攻撃はウンディーネにヒットし、大ダメージを与えるも、発動後の隙をつかれてウンディーネの物理攻撃が直撃する。

「うおぁぁぁぁ!」

 アルさんのHPが大幅に削れ、吹っ飛ばされる。

 飛んだ先で魚型モンスターの群れが襲い掛かかろうとした刹那、フリッツのチェインライトニングが一掃し、リラのヒールで全快する。

「気を付けて下さいね!」

「アル……突っ込みすぎ」

「すまねぇな! 助かったぜ」


「うかつに隙の多い大技使いやがって!」

 ミズさんがウンディーネの隙をつき、連続斬りを当てていく。

 次々飛んでくる魔法や物理攻撃を回避したり、刀で受けていなしていく。

「燕返し!」

 ウンディーネの攻撃に合わせてカウンターで技が入り、大きく怯む。

「流石みーちゃん、上手いネ!」

「続くぞ、メイリン!」

「はいネ!」

 リディアさんとメイリンが攻撃態勢に入る。

「レイジテンペスト!」

「流星乱舞!」

 二人の大技連続攻撃が全てクリーンヒットし、ウンディーネのHPを一気に十パーセント程削った。 ウンディーネの叫び声が聞こえ、次の瞬間全身が光だす。

「まずい! みんな全力退避!」

 俺たちは振り向くこともせず、出来る限り距離をとる。

 ウンディーネの魔法が放たれ、途轍もない速度と威力の衝撃波が全員を襲う。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

さらに後方へと飛ばされ全員瀕死の状態までHPを削られる。

 俺は他のみんなが攻撃されないよう、すぐにウンディーネの元に戻りタゲを維持する。

「インプレグナブル! アブソープション!」

 パーティメンバーの原状回復を優先させるため、無敵技や与ダメージ回復技を使用して凌ぐ。

 リラと愛華がパーティーヒールを詠唱し、リカバリーに努める。

 

 防御バフを駆使してなんとか耐えきり、攻撃を再開する。

 HPが六十パーセントを下回る頃、再びウンディーネが光りだす。

「まただ! 全員退避を!」

 一度目のように何とか凌ぐものの、無敵バフがリキャスト(再使用までの待ち時間)中で、まだ使用できないことに気づく。

「アルさんスイッチお願い!」

「まかせろ! タウンティング! インプレグナブル!」

 アルさんがタゲを取り、無敵技を使用してウンディーネの攻撃を受ける。

「今の間だ!」

 アルさんの合図とともに全員が攻撃態勢に入ったところでウンディーネにバリアを張られる。

「バリア貫通技でいきましょう! デッドリースラッシュ!」

「ちゃんと残してるネ! 鉄砕拳!」

「虎閃!」

「ペネトレーション!」

「よっしゃー! この調子でガンガン削っていくぜ! パワースウィング!」


 俺たちは攻撃の手を緩めることなく攻め続け、ウンディーネのHPが三十パーセントを切った。それと同時に攻撃パターンが今までと変わり、小さくて素早い水の精霊を十体以上召喚し、全方向から水魔法攻撃をしかけてくる。

「くそっ! 鬱陶しいぜ!」

「放置しておける程、小さいダメージじゃねーな!」

「全て片づけるしかない」

 水の精霊を優先に攻撃する俺たちに、ウンディーネが容赦なく範囲攻撃魔法を放つ。

「ウンディーネは無視で精霊を優先でお願いします。精霊が残ってる状況で、あの魔法がきたら全滅しかねない」

 みんなが頷き、精霊を次々に倒していく。


 最後の一体を倒したところでウンディーネが光りだす。

「間に合った……。全員退避!」

 俺たちは弾き飛ばされながらも体勢を整え、最後の攻撃に備える。

「駿、スイッチだ!」

「了解です! タウンティング! インプレグナブル!」

 俺はアルさんからウンディーネのタゲを取り直す。

 ウンディーネが今までに無い勢いで攻撃や魔法を繰り出し、無敵時間が終わった瞬間から、いくつものデバフが入る。

「動きが重い……継続ダメージまで……」

「マナは……ヒール、リラは……デバフ……解除する」

「わかったよ! もう少し頑張って駿君! フィール、ベルタ、ヌヴァール、セプト、エント……フルヒール!」

 瀕死状態だった俺のHPが全快する。

「フィール、グランツ、キュア、レック……リムーブマジック」

 継続ダメージは解除出来なかったものの、行動阻害のデバフを解除してくれたお陰で、今まで通り動けるようになる。

「ありがとう! 二人とも。みんな! あともう一息だ!」


 全員の攻撃でウンディーネのHPが見る見るうちに削れていく。

 HPが残り僅かになったところで、ウンディーネが今まで以上に光出す。

「今までの魔法じゃない! たぶん全魔力を使い切って道ずれにしようとしてるんだ!」

「なら削りきるしかねーな!バーサークスウィング!」

「レイジテンペスト!」

「流星乱舞!」

「双剣乱舞!」

 ウンディーネの奇声が鳴り響き、詠唱完了前にウンディーネが崩れ落ちる。

 なんとか倒し切ることができたようだ――。


「やったー!」

 愛華がリラに抱きつき、喜ぶ。

「今まで以上に疲れたよ……」

 俺はその場にへたり込む。

「ったく、だらしねーぞ!」

 アルさんが手を貸して立たせてくれる。

「すみません。ありがとうございます」


 そんなやり取りをしていると、フリッツの声が聞こえる。

「みなさーん! まだ終わってないですから!」

 周囲のモンスターを倒し続けてくれていたようだ。

「ごめん! すぐ手伝う!」

 目に入る範囲のモンスターを討伐し終わりやっと一息。

「フリッツが取り巻きを倒し続けてくれてたお陰でボスに集中できたよ。ありがとう!」

「いえいえ、今回はこれくらいしかお役に立てませんでしたからね」

「さてと、ドロップアイテムを回収しないとな。解体スキルも使ってもらいたいしエリカも呼ばないと」

 俺はギルド通話で二人に呼びかける。

「アメリア、エリカ、ウンディーネの討伐終わったよ!」

「よくやったのだ!」

「お疲れ様なのです!」

「ありがとう! アメリアはまだ料理中かな? エリカだけでもこっちに降りてきてもらっていいかな? ウンディーネの解体をお願いしたい」

「わかりましたです」

 ウンディーネからドロップアイテムや追加報酬を得て、アメリアの待つ船に戻ることにした。


「さぁ帰って打ち上げの準備をするのだ!」

 俺たちはギルドホームに帰り、アメリアの用意してくれた特製料理を食べながら今日の話で夜中まで盛り上がった。

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