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水泳特訓

「……君! 駿君! 聞いてた!?」

「ごめん! なんだっけ!?」

「もう! 他の事考えてたんでしょ!? ウンディーネ討伐作戦の話だよ! みんなに説明して!」

 いつの間にか懐かしい思い出に浸りすぎていたようだ。

「あぁごめんごめん! ……オホンッ!」

 俺は一度咳ばらいをし、説明し始める。 

「来週のウンディーネ討伐作戦ですが、俺たちの中には水中構成のプレイヤーが殆どいないので、来週までにみんなで水泳スキルを上げようと考えています。」

「泳ぎの速度を上げてどうするネ?」

 メイリンが手を上げて質問する。

「確かに水泳のスキルを上げていくと泳ぎの速度が上がるんですけど、他にも水中の攻撃速度や回避速度、水圧耐性が上がったり、息を止めていられる時間も伸びるらしいです。水中での呼吸は魔法でなんとかなったりするみたいですけどね」

「そーなんだな、全然知らなかったぜ!」

「まぁ今まで水中戦の経験も無かったしな」

 アルさんが関心し、リディアさんも同意する。

「そこなんです。全員水中戦の経験が無いに等しいので、せめて陸上と同じくらいには動けるようになっておく必要があります。スキル値が三百あれば、ほぼ陸上での動きと変わらない速度が出るらしいので、生産職のアメリア以外は最低三百以上は水泳スキルを上げておく必要があります。」

「今から一週間で三百は結構厳しくないか?」

「俺たちが普段上げている武器等の攻撃対象が必要なスキルは、敵と対峙して攻撃した時にしかスキルの上がり判定がありませんが、水泳スキルは水中に入って動いているだけで上がり判定があるらしく、上がる速度がかなり早いみたいです」

「私は水泳スキルを上げてますけど、三百でしたらスキルの上昇率もまだ高いので、一週間もあれば大丈夫だと思うのです」

 唯一水泳スキルを取得しているエリカが合いの手を入れてくれる。

「エリカの嬢ちゃんが言うなら間違いないな」

 アルさんや他のみんなも納得してくれたようだ。

「細かな作戦はまた後日ということで、さっそく本日、今から一時間後の十時からグレーム海岸で海水浴を兼ねた、水泳スキルトレーニングを開始したいと思います。各々準備を済ませ、庭に集合しましょう。それでは解散!」

 会議が終わり、俺たちは各々の部屋に戻った。


 俺は部屋に戻ると水着の装備等、海水浴に必要な物を用意し、時間まで休憩することにした。

みんなで行く初めての海水浴が楽しみで、俺はベッドに寝転がり布団を抱きしめてゴロゴロ転がる。


 ゲーム開始から約一年間スキル上げを続け、俺たちのメインスキルは七百を越えた。現在、俺は『上級騎士』、愛華は『大賢者』、ミズさんは『将軍』、アルさんは『重戦士』、リディアさんは『マスターランサー』、メイリンは『モンク』、フリッツは「ハイマジシャン」、リラは『ドルイド』、アメリアは『名匠クリエイター』、エリカは『ワールドコレクター』と全員が複合中位職になることが出来た。

 スキルが上がったことで冒険の幅が広がり、今まで以上に楽しみが増えている。

今日から始まるウンディーネ対策のスキルトレーニングも楽しみでワクワクが止まらなかった。



 十時になり、全員が準備を済ませて庭に集合する。

「みんな準備万端ですね。それではグレーム海岸に出発します! 愛華お願い!」

 俺は愛華にテレポートの魔法をお願いする。今の愛華にはテレーポートもお手の物だ。

「はーい。ヌヴァール、ベルタ、フィール、セプト……テレポート!」

 愛華が詠唱し終わると、俺たちの足元に魔法陣が出現し、光に包まれる。次の瞬間には潮の香りが漂う広大な海が広がっていた。

「やっぱりテレポートは便利だなぁ」

「現実世界でも使えるんじゃないかと思って一回唱えちゃったよ……」

 恥ずかしそうに口にする愛華。

「この世界もかなりリアルだしね。ここで出来ることが向こうでも出来るような気がする気持ちはわかるよ」

 俺も現実世界に戻った時に目が見えてるんじゃないかと期待したことは何度もあった。


「さーて、着替えして浜辺で集合しようぜ!」

 グレーム海岸は海岸周辺と、浅瀬にはモンスターが出現しない特殊な地域であり、癒しスポットとして人気がある。スキル上げをする人、釣りや海水浴を楽しむ人等様々な人々が利用している。


 俺たちは装備画面を操作し、現在の装備と水着装備を入れ替える。

「よーし! 準備完了だ! さっそく泳ぎまくろーぜ!」

「どっちが速いか競争ヨ!」

「よっしゃー!」

 アルさんとメイリンが猛ダッシュで海に突っ込み全力クロールで泳ぎだす。


「どんだけだよ……周りドン引きじゃねーか……」

「あのバカどもは放っておけ……!」

 ミズさんとリディアさんが冷めた目で二人の方を見つめる。

「そ、そーいえばみんな水着似合ってるね! 戦闘装備以外の姿なんてなかなか見ないから、なんか不思議な感じだよ」

 俺は女性陣を見て素直に感想を述べる。

「嬉しいけど、あんまり見られると恥ずかしいよ駿君」

 恥ずかしがる愛華……可愛い!

「ごめん! そういうつもりじゃ!」

 俺はすぐ目を逸らし下を向く。

「他にどーゆーつもりがあんだよエロ駿」

「そう言うミズさんはどーなんですか!?」

「バーカ、男でエロくないやつなんかいねーよ。堂々と見てりゃいいんだよ堂々と」

「威張って言うことではない! お前にはデリカシーと言うものが無いのか!」

「有ったらそんなこと言われてねーだろ」

「お前と言うやつはー!」

「ほら、くだらないこと言ってないでさっさと海入りに行こうぜ」

 頬を赤らめて怒鳴るリディアさんを軽くあしらうミズさん。

「お前が言うな! ったく、皆も早くいくぞ!」

「みんな元気ですね」

「リラも……いっぱい……泳ぐ!」

 少しやる気のリラ。泳ぐのは好きなようだ。

「エリカ!私たちは砂浜でお城でも作るのだ!」

「はいなのです!」


 俺たちは昼ご飯前まで、スキル上げのためにしっかりと泳ぐことにした。

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