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森林のボス戦

 俺たちは大樹トレントを探し、襲い掛かるモンスターを討伐して進んでいく。

 MAPで確認すると丁度森の真ん中くらいまで来ていたようだ。

「『トレント原木』も十本集まったし、他のモンスターにも遭遇するのに、なかなか見つからないね……」

「大樹トレントって言うくらいだから、大きくてすぐ見つかると思ったんだけどなぁ」

「あそこ……」

 リラが何かに気づき指を差す。指差した方向に進むとそこには大きな湖が広がっていた。

「綺麗な湖ー! こんな景色の良い所に住めたらなぁ」

「周囲モンスターだらけだぞ」

「お兄ちゃん夢が無いなぁ」

「夢の中で夢が無いとか言われてもな」

「そーゆーことじゃないよ!」

 相変わらず仲がいい兄妹だな。そんなことを考えながら湖を見ていると、湖に浮かぶ島が目に入った。

「もしかしてあれ……かな?」

 孤島に木々が生えているのが離れているこの距離からでもわかった。

 ここから湖上の島までは少し距離があり、移動手段を考えていたが、どうやら島の近くの岸から橋がかかっているようだった。

 俺たちは島につながる橋まで向かうことにした。


俺たちは橋を渡りきる直前で止まる。

「遠目でも大きかったけど、近くで見ると思ってたより大きいね……」

 今まで見たトレントの三倍程幅がある木が立っている

「これがモンスターならボスクラスの強さは覚悟しておいた方がいいだろうな」

「ここまで来たらやるしかないネ!」

「たぶんここから先に踏み込んだら戦闘が開始されるだろうね。愛華、リラ、フルバフ(能力強化出来る魔法を全て付与する)をお願い」

「木の本数を見る限り、大樹トレント一体とトレントが四体出てくることが予想されますね」

「では大樹トレントは俺が、アルさんにはトレントの引き付けをお願いします。他のみんなは、まずトレントを狙いましょう。火属性魔法を使える愛華には今回は攻撃役と回復役を遊撃的にこなしてもらいたいんだけど、リラにはその分回復職としての負担が多いと思うんだ。二人とも大丈夫かな?」

「私は問題ないけど……」

「一人でも大丈夫……まかせて……マナは気にせず……攻撃してて問題ない」

「わかったよ! でも、なるべく負担かけないように頑張るから!」

 愛華が魔法を詠唱し始める。

「ベルタ、グランツ、ヌヴァール、シェイン……サモン・ファイヤーエレメンタル!」

 紫色の魔法陣で詠唱されたその魔法は、愛華の肩口付近に火の精霊を召喚した。

「つい最近覚えたばっかりの召喚魔法で、召喚した妖精の属性魔法だけ一度の詠唱で二倍の量発動するの」

「凄いね……一気に火力アップだ!」

 俺は全員を見渡す。

「みんなは準備よさそうだね。それじゃあ戦闘開始だ!」


 俺たちは島に足を踏み入れる。その瞬間目の前の木々が次々に本来の姿を現し、モンスターの

様相を呈する。

「タウンティングオール! スパイクアーマー!」

 アルさんが全てのタゲを取り、二十パーセントの物理被ダメージ反射技を使う。

「タウンティング! ソニックスラッシュ!」

 アルさんから大樹トレントのタゲだけを取る。

 タゲを取ったタイミングで大樹トレントのツタをムチのようにしならせた攻撃が飛んでくる。

 俺はすぐさま防御力アップのバフを使う。

「バリアアーマー!……今のうちに!」

 俺は大樹トレントの攻撃を受けながら、みんなにトレントを攻撃するよう促す。

「ヴァル、ウィータ、ヌヴァール……ダブルマジック! フレイムボール!」

 愛華の杖と肩口の火の精霊の正面から二つのフレイムボールが放たれる。

「虎閃!」

 水原兄妹の攻撃がトレント一体を仕留めたと思った瞬間、大樹トレントの腕からツタが伸び、トレントに突き刺さる。

「なっ!?」

 ツタが脈打ち、それと同時に燃えて黒炭になったところや切られた傷が回復していく。

「復活させられるのか……!」

「それなら、まとめて倒してやりますよ! ヴァル、グランツ、レック、ベルタ、エント……フレアウィンド!」

 フリッツが放った高スキル魔法の熱風が全てのトレントを襲い、燃やしていく。

 しかし、今度はツルが四本伸びてきて、全てのトレントに突き刺さり、同様に回復させていく。

「あのツルを何とかしないとキリがないぞ!」

「それなら腕を切り落とすまでだ! スパイラルスラスト!」

 リディアさんが大樹トレントの腕に単体高威力技を放つ。

 ダメージは通ったものの、あまり好感触ではない様子のリディアさん。

「ダメだ!……ダメージを軽減されている」

「俺がやってみる! 浮雲!」

 ミズさんの高速三連撃が入るも、不満顔で語る。

「やっぱりダメだな……リディアの言った通りだ。俺の斬撃も軽減されてる。たぶん物理攻撃軽減の特殊能力持ちだな」

「これなら! ヴァル、ウィータ、ヌヴァール……ダブルマジック! フレイムボール!」

 愛華が火属性魔法を放つ。

 大樹トレントに当たる直前、一体のトレントが割って入る。トレントは炎上するも、すぐに回復されてしまう。

「近接攻撃は軽減されて、魔法は周りのトレントが身代わりになって防ぐのか・・・・・・」

 こちらが二の足を踏んでいると、大樹トレントのツタによる全体範囲攻撃が繰り出される。

「くそっ! 考えが纏まって無い時に……!」

「それならこれでどうネ!」

 そう言って大樹トレントに近づいたのはエリカを背負いながら走るメイリンだった。

 基本スキルが無く、範囲攻撃を躱しながら近づけないエリカをメイリンが背負って連れていく作戦の様だ。

 メイリンとエリカに目掛けて飛んでくる攻撃を持ち前の回避力と蹴り技で防ぐ。

「飛連脚!」

 連続の飛び蹴りがツタの攻撃をはじき返す。

「今ネ! エリちゃん!」

「ディフォレステイション!」

 エリカの斧が大樹トレントの腕を付け根から切断する。

 島中に不気味な叫びが響き渡る。

「や、やりましたです!」

 どうやら伐採スキルの技は効果が抜群のようだ。

「エリカ凄いよ!」

 大樹トレントは再び全体攻撃を仕掛けてくる。今度は島中を木の葉が舞う。

「これは躱せそうにないな……プロテクトシェル!」

 俺はパーティメンバーを対象にしたダメージ遮断技を使い、エリカを守る。

 直後、島全体を木の葉の刃が襲う。

「大丈夫……。フィール、グランツ、キュア、セプト……パーティヒール」

 リラの絶妙なヒールワークで俺たちはダメージを受けながらもHPを回復していく。

「あと一本! みんなメイリンとエリカを全力で援護だ!」


 大樹トレントの攻撃を何とか躱しながら、エリカがもう一本の腕も切断する。

「これでこいつらを倒せるな! カオスサイクロン!」

「鬱憤が溜まってたのは俺らも同じだ!一閃!」

「ツイストランス!」

 アルさん、ミズさん、リディアさんの三人がトレント四体を仕留める。

「今度は当たるよね。ヴァル、ウィータ、ヌヴァール……ダブルマジック! フレイムボール!」

 大樹トレントに直撃し、炎上する。

「これで終わりじゃないですよ。ヴァル、フィール、ヌヴァール、レック、セプト……フレアバースト!」

 炎はさらに勢いを増し、見る見るうちにHPを削っていく。

「エリカ! とどめを!」

「はいなのです! ディフォレステイション!」

 大樹トレントは断末魔の叫びをあげ、崩れ落ちる。


「やったー!」

 俺たちは両手でガッツポーズをして叫び、全員で勝利を分かち合った。

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