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最高の出会い

 無事オーク・ジャイアントを討伐することができ、一息つく。

「みんなお疲れ様なのだ! よくやったのだ!」

「お疲れ様なのです!」

 後方で待機していたアメリアとエリカが労をねぎらいに駆けつけてくれる。

「ありがとー! アメリア! エリカ!」

愛華が二人を抱きつく形でハグする。


「流石に暴れ疲れたぜー」

 アルさんが腰を落とす。

「ウチはまだまだいけるヨ?」

 シャドーボクシングのように腕を交互に突き出し、メイリンがアルさんに元気アピールをする。

「お、俺だってまだまだいけんぜ!」

 アルさんが立ち上がり、負けじとアックスを頭上で振り回す。


「元気なやつらだな。戦闘後にわざわざ動きたくねーよ」

「ボス討伐後でアドレナリンが出ているんだろう。いいではないか」

 だるそうなミズさんにリディアさんが話しかける。

「俺は面倒なことが嫌いなんだよ」

「その割には一番ダメージを与えていたのではないか?」

「知るか。興味ねぇよ」

 モンスター討伐後にモンスター情報を確認すると、ダメージを与えたプレイヤー上位五名の名前が表示されるのだが、一位がミズさんで三位がリディアさんだった。

 ダメージを多く与えたことのメリットは特には無いものの、一位になりたいと考えるものは少なくなく、特に攻略組ギルドのパーティでは一位をとれずに悔恨の念にかられる者もいた。


「騒がしいですが、こういうのもたまには悪くないですね」

「リラも……騒がしいのは苦手……でも……楽しかった……」

 フリッツとリラも静かに喜ぶ。


「そういえば、エリカ。死体が消えないうちにオーク・ジャイアントに解体スキルの技使っておいた方がいいんじゃない?」

「そうですね! では、行ってくるのです」

 エリカがオーク・ジャイアントの亡骸の前で技を発動させる。

「ディスマンタリング」

 モンスターの死体に解体スキルの技を使うと追加でアイテムを回収できるのだ。ただし、この解体技は、モンスターの死体消滅時間三十分に対し、技のリキャストタイムも三十分であるため、一体のモンスターに一度しか使えない。


「『オーク・ジャイアントボーン』というアイテムがたくさん手に入ったのです。姉さんにお願いして、皆さんの装備に還元させていただくのです」


 討伐の余韻も冷めてきた頃、フランクが皆を制する。

「皆の者! そろそろよろしいか!?」

 皆が静まる。

「どうやら、この通路が宝物庫に繋がっているようだ。ついて来てくれ」

 俺たちはオーク・ジャイアントの後方にある通路に向かった。

 少し進んだ先に大きな扉があるのが確認できた。扉の前に到着したフランクは、オーク・ジャイアントからドロップした『宝物庫の鍵』を使い、扉の鍵を解錠する。


 扉は重く、力の有る者全員で押す。扉の隙間から輝かしい光が差し、扉を開けた先には大量のジェイルや宝石、レアアイテムと思しきアイテムが散乱していた。


「すげぇ……」

 あちこちから驚嘆の声が漏れる。


「この勝利は皆のおかげだ! 皆で均等に分配するが、よろしいか!?」

 フランクが皆に確認を求める。

 皆当然といった態度で、賛同の声があがる。


 俺たちは今回の報酬を分配するために、一旦フィラリス広場に戻ることとなった。


 フランクが締めの挨拶をするようで、壇上に上がる。

「本日は、皆の協力のおかげでオーク・ジャイアントを討伐することが出来た。感謝する!」

 フランクがお辞儀し、頭を上げた後、話を続ける。

「まだまだゲームとしても序盤であり、未だ未発見のエリアも数えきれない。こういった大規模討伐戦も度々あると予測される。皆の力がこれからも必要となるだろう。今後も協力し合って困難を乗り越えていこうではないか! 繰り返し、心から礼を言わせていただく。ありがとう!……以上だ。」

 皆拍手で此度の指揮官を労い、アイテムや報酬金等を分配した後解散した。



 辺りは暗くなり、時間も夕食どきになっていた。

「終わった、終わったー! せっかくだし、この後打ち上げでもするか?」

 アルさんが口火を切る。

「いいですね! お腹もすいたし、みんなともっとお話しもしたいですし!」

 愛華が即賛同する。他のみんなも異存はなく、俺たちは中央区にあるバーに向かうことになった。


「バーとか初めて来たよー!」

「俺もだ」

 そもそもアルさん以外は未成年であり、みんなバーの存在は知っていても入ることは無かったようだ。

 ただ、アルさんが言うにはバーと言っても、夢の中のゲーム世界であるため、実際身体にアルコール成分を摂取することはなく、未成年でも飲酒可能とのことだった。

 

 俺たちは席に着き、注文を済ませる。

 パーティリーダーだった俺が乾杯の音頭をとることになり、みんな届いた飲み物を手に持つ。

「今日は最高の一日だった。みんなとの出会いに感謝する! 乾杯!」

「乾杯ー!」

 みんなで声とジョッキを合わせる。


 楽しく飲み食いが進み、今日の話で盛り上がっていた。

 俺はずっと考えていたことをどうやって伝えようか悩んでいたが、この機会を逃してはダメだと思い、口に出す。

「五人に話があるんだ!」

 俺はアルさん、リディアさん、メイリン、リラ、フリッツに向けて口を開いた。

「どうしたよ、改まって」

 アルさんが返す。

 俺は素直な気持ちを伝えることにする。

「今日は五人に凄く助けられたし、おかげでパーティとして十二分に活躍できたと思う。勿論ギルドのみんなにも感謝してる」

俺は五人と、ギルドメンバーに向けても感謝を伝えた。

「ここにいるみんなで動いてるのが凄く楽しかったんだ。俺はこの時間を終わらせたくない。五人に俺たちの仲間になって欲しいんだ! お願いします!」

 俺は深々と頭を下げた。


「今更だな」

「今更ね」

「今更ですね」

「ホント今更ネ」

「鈍……感」

 みんなが同じように返す。

「え……!?」

「ほんと鈍いやつだな! 俺たちもお前と同じ気持ちだってことだよ!」

 アルさんにヘッドロックされ、もう一方の手で頭をぐりぐりされる。

「イテテ、イテテテテテ。痛いですよ、アルさん!」

「実は私たちも皆、オーク討伐後に駿たちのギルドに入れればという話をしていたのだ」

 リディアさんが少し微笑みながら口にする。

「まぁ今の今まで今日の討伐戦の話ばかりで我々も言い出せなかったわけですけどね」

「こんなに楽しいのは、この世界に来て初めてだったヨ!」

「リラも……みんなといるの……楽しい」

「改めて、よろしく頼むぜ!」

 アルさんが俺に握手を求めるように手を出してくる。

「はい!よろしくお願いします!」


「ったく、打ち上げももうすぐ終わりかと思ってたのに、また始めねーといけねーじゃねーか。仕切り直しだ! 駿、また音頭たのんだぞ」

 そう言った後、ミズさんが俺の飲みかけのジョッキを渡してくれる。

「最高の出会いに! 乾杯!」 

「乾杯ー!」

 その後、みんなで飲み明かした――。

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