表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/44

被験者1 「フリーター多奈川さんの場合5」

完全自給生活の政策が始まり、初めての給料日を多くの国民が迎えた。以前からの給料日の関係でまだ制度下初給料を貰っていない人もいるが私は早めに貰っていた。

多くの人が歓喜し街には高給だったであろう人が超機嫌よく歩いている。その反面と言って良いのかわからないが道端の縁石に座り頭を抱えている人も見受けられる。

給料日前までは道にゴミが落ちていたら拾うくらいのスタンスでごみを拾っていたが、給料日後はゴム手袋をして街指定のごみ袋各種を装備して生け垣の奥を覗き込んでまでごみを集めている人が見受けられるようになった。

ごみを拾うという善行を全ての人が本腰を入れてやりだしたのだ。他にも高齢者が大きな荷物を持って大変そうだったら『持ちましょうか?』といった声かけがされるようになった。

高齢者側として荷物を盗んだりした場合は評価に繋がるから安心して荷物を持って貰う事ができる。

だが、これも断られているのに無理やり奪うような親切の押し付けだった場合はマイナス方向に評価される。

何が正解かはわからないが、すべての人が目に見えた善行に励む事により善行の取り合いが始まっている。明らかな争いはないが水面下での戦いは繰り広げられている。

道にはもうごみは落ちてないし、困った顔をした人はすぐに誰かによって助けられているから善行はみるみる内に消費されていく。実際に私は給料日以降でごみも拾えてない。

確実に需要と供給のバランスが崩れ供給ばかりが余ってしまっている。

これは危険である。

自分が意識していた善行はどんどんとできなくなっていく。そうなると来月の給料が少なくなってしまう。

初給料でそこそこ貰ってしまったから、それより低いのは許されない気がする。私は様々な苦悩を抱えたまま、バイトに向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ