被験者4「政治家・麻田の場合3」
………私が……私の時給が0だと?
ショックのあまり何も言えずに明細を持っている手だけが震えた。何かの間違えか?それとも私の価値を下げるような情報だけを入力されたのかもしれない。いや、絶対にそうだ!私が無価値なはずがない。私には様々な功績があり、その反面として私を敵視する者もたくさんいる。何者かの陰謀だと考えればこの時給にも納得がいく。そう言えば秘書の息子が時給が低い者は議員を辞めさせられるという話をしていた。
それを使って私を排除しようとしているのだろう。
早急に手を打たねばと思い息子を呼んだ。
「おい、すぐに私のデータを入力した者を探しだせ!
そいつかまたはそいつの裏に私を辞職させようとしているやつがいる。」
「急に何ですか?何か不都合でもありましたか?」
「馬鹿野郎、私の時給が0だったんだぞ!
この私の時給が0なわけないだろう。つまりは何者かによって嵌められていると考えるのが当たり前だろう。」
「ああ、そういうことですか。それは間違いでも策略とかでもなく事実ですよ。諦められた方が良いですよ。」
「どういう意味だ?」
「そのまんまの意味です。
あなたが国の役に立った事など一度もありませんし、あなたがごり押しした政策は欠陥だらけで今ではどう処理すれば損害を減らせるのかなんて話しかでない愚策です。
記者会見に立てば失言や暴言の嵐で政治家に対する評価を落とすことしかしていない。
あなたはよく記者を論破してやったみたいに偉そうに言ってましたが、実際はめんどくさくなった記者が相手をするのをやめただけだったのにふんぞり返って見下して。
本当に秘書として横にいるのが恥ずかしかったですよ。
ちなみにこの時給は社会貢献給というのがあり、少なからず生きていれば社会に貢献するから時給総額が0になるなんてあり得ません。つまり、あなたは国会議員としても、社会貢献からしても家族からも必要とされてない存在だと告げているわけですよ。わかったら辞職の準備を進めてください。」
息子はそう言って部屋から出ていった。
私は急いで給料の各項目の明細を見た。
社会貢献給0、職業時給0……総額0円となっており、その下に職業時給の計算方法がある。職業貢献度に基本的な時給を加算したものに就業時間をかけて求められるとなっているが、職場や会社等に迷惑や背信行為を行っていた場合は基本給が減額されていく事があるとされており、さらに法律違反や犯罪行為による罰金や反則金、慰謝料などを時給から天引きされる事があるとの注意書きまである。
私に限った話で言うなら職場に迷惑をかけているという事で減額されている。私は何がなんだかわからずに一人で頭を抱えて唸る事しかできなかった。




