被験者4「政治家・麻田の場合2」
「では、麻田先生こちらのブレスレットを装着してください。こちらは特殊な金属でできており簡単には壊れませんし汚れもつきません。内臓されている機械がその人の行動や状態を記録し専用のAIにデータを送信します。
そのデータを元にその人の価値を時給という形で算出し設定された給料日に統一口座に振り込まれます。
現在、複数の口座をお持ちの場合は漏れなく申告して下さい。もし虚偽の申告をすると犯罪行為を行った者として減給されますし、悪質な場合は逮捕されます。
すべての行為が監視されていますので、収支報告書に載せられないような献金は今後は受け取らないでくださいね。」
秘書である長男が制度の基盤になるブレスレットの説明をしてきた。
「わかっている。まったく企業の方々のお気持ちを受け取れなくなるのは心苦しいよ。」
「そういう発言も記録されますよ?
親父は失言も多いのだからそう言うところも気を付けないとどんどんとマイナスになっていきますよ。」
「まったく面倒なものだ。」
「それから、人の時給額は一般人は会社での給料計算目的以外では申告の義務もないから人に時給額を聞くのもご法度です。ちなみにですが国会議員や地方議員は国家のために働く者としていかに国に貢献しているかを示すために一年に一度公表する義務をおいます。
もちろん、ここで評価が低い人はその職を強制解雇になるので本当にご注意下さい。」
「ふん、この俺が国に貢献していないわけがないだろう。
何の心配もいらんよ。」
「では、ここに登録時点での評価額の見積りがありますのでご確認下さい。その評価額が一回発表されます。
嘘の申告も犯罪になりますからね。」
息子はそう言い残して部屋を出ていった。
まったく馬鹿馬鹿しい話だ。私のこれまでの功績を考えるなら私に価値がないわけがない。そもそも、国民に先駆けて政治家から導入する事によって制度を浸透させるというのはわかるが、私のような大御所にまでやらせるとは腹立たしい。
私の価値が低いわけがないと思いながら私は渡された封筒を開ける。中には三つ折にされたA4用紙が三枚入っていた。
一つは制度の説明と詳細、二枚目は口座を統一しないと犯罪になる可能性があるため早期に統一するようにとの警告書だ。
おそらくすべての人の注意喚起目的の文書だろう。
そして最後に個人の給与明細となっている。
私がどれだけ評価されているのかと心踊らせながら見て私は驚愕した。私の時給は……………0?




