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時給生活

20××年

日本国内の経済格差の拡大、同一労働不平等賃金、国外に依存した経済構造の悪影響により日本経済は下降傾向が止まらない状況となった。政府の各種経済政策も上手くいかず国民からの信用すら失った社会は治安が悪化し、悪循環のうちにあった。


そんな状態を打開するためなのか、はたまた(たださじを投げただけなのかは判然としないが政府は、新たな経済・働き方改革方針として「完全時給生活」を打ち出した。

その概要は、

1、国民は特殊なブレスレットにより「行動」を把握される。

2、行動が社会に貢献するものであれば「その人の時給」により給料が支払われる。

3、時給は、その人の人間性や行動により上下する。

例えば、犯罪行為をすれば時給は下がるし、その道のプロである職人などが仕事をした場合は一般人が同じことをした場合とでは最低時給が違ったりもする。当然ながら自称プロでは認められず「把握される行動」の中で技術力が足りない場合はプロと認定されない。

4、行動の把握は誰が管理しているか不鮮明な状態のAIにより行われ、いかなる権力者であってもその判定には異を唱える事は許されない。

5、特殊なブレスレットは満10歳になる年から装着し、「給料」を得る事ができるが満18歳になるまで金銭をおろす事はできない。また、親は子の金銭をおろす事はできず使用する権利もない物とする。真面目に勉強すれば大学費用等もたまり奨学金を必要としない上に更に努力する事に依り生活費に当てる貯金の獲得もできる計算となっている。

6、銀行は日本銀行一つに統合され、現在ある銀行はすべて日本銀行の出先機関として存続し職員もそのまま雇用される。

日本に住む又は日本国籍を有するものは一つの銀行口座しか持つ事を許されず給料はすべてこの口座に振り込まれる。

7、犯罪行為や迷惑行為などによる損害賠償が裁判所により請求された場合はこの口座から強制的に支払われる。

8、社会保険費や税金に関しても口座から支払われる。

9、企業などの利益は月毎に申告し、事業資金以外を企業用の口座から労働者に賃金として支給される。役職等は考慮されず、個人の時給(仕事上の給料+プライベートでの貢献に対する給料―税金・社会保険費)が計算される。

10、事業資金に関しては企業に一任されるが、社員に仕事上の給料を支払うだけの資金は口座に残さなければ行けない。

プライベートでの貢献に対する給料は、国費から支出するものとする。

11、その他に不明点があれば専用問い合わせフォームにて確認する事とする。

以上である。一部で反対する者がでたが、そういう者は高所得なのにろくに仕事もせずにいた者達であり、実際に多くの国会議員の給料が時給1000円に満たない者が続出し、時給750円以下の国会議員は強制退職させられる法案まで作成された。

つまり、国のために何の役にも立っていないという判断がされた政治家はその仕事から退職させられるという事だ。

その他、大企業の親のコネで重役になった者の時給がなんと0円という驚くべき事件も起きた。生きていれば何かしら社会に貢献しているはずだが、その人は何も貢献していなかったというわけだ。仕事は首になり恥ずかしすぎて引っ越さなければならなくなったり今まで見下していた者達から見下されるような人生へと転落してしまったりと波乱は起こった。

だが、専業主婦や本来はもっと評価されるべき仕事の人達が正当な給料を貰えるようになったり、犯罪行為をする事により時給が下がり生きていけなくなる者が出始めると犯罪は一気になくなり治安もかなり良くなった。

結果が出た事により次第に反対する者もいなくなった。

専業主婦に関しては、普通に家事をするだけというと失礼だが、毎日反復している作業を時給1200円でやると1日6時間×30日としても216,000円となり、年収240万円以上になる。

これは単純な試算であり、当然主婦としてだけでなく母親として子育てを頑張れば加算されるし、サボったり他の人にやらせたり等すると下がる事もある。

行動のすべてが監視されているので不正はできず、不正をした場合にはその分の罰金もある。

そんな社会の中でなにを思いどのように生きるのが正解か? 

さぁ、時給生活のスタートです。

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