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光の皇女と闇の魔姫  作者: ポテチ
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序章

 世界最大の大陸エクメーネ大陸の南の海にに突き出た3つ半島の1つである中央半島は温暖で住みやすく、豊かな土地が多い。

 中央半島の中にコルドと言う王国がある。人口は150万と、半島の中では第3位の人口を誇り、国土も中々に広い。しかし、2代前からの圧政の影響で民は困窮し、国力は日に日に低下していた。

 そんなコルド王国の辺境の小さな村に住むカイルという狩人の少年が、ある夜奇妙な夢を見た。


  カイルが夢に見た場所はとても不気味だった。

 紫の空が広がっており、血を固めた様な紅い大地が延々と続いている。


 そんな不気味な場所に2人の少女が、向かい合って立っていた。


  1人は緩やかにウェーブがかかったフワフワな金髪を腰まで伸ばしており、瞳はサファイアの様である。とても愛らしい容姿をしており、その顔には、暖かな陽だまりを思わせる微笑みを浮かべている。

  もう一方の少女は夜の闇を固めた様な漆黒の髪をしている。一切癖のない絹の様な艶やかな髪はやはり腰まで伸びており、その容姿はこの世の者とは思えないほど美しい。表情は一切無く、ただ冷たさだけを感じる視線が対面の少女に注がれている。


 2人はしばらく見つめ合っていたが、やがて金髪の少女が朝陽に向かって歩き出した。その背中を見送った後、もう一方の少女も夕陽に向かって歩き出した。


「う~、良く寝た」


 カイルが夢から覚めると、小屋の中はまだ薄暗く、唯一の小さな窓から見える空は漸く白んで来たところだった。


「随分早くに起きちゃったな」


 辺りを見回すと小屋の隅で、カイルの父・ガグルが縄と網などを使って鹿狩り用の罠を作っていた。


「おはよう。父さん」


「おお!カイル、もう起きているのか?早いな」


 ガグルは罠を仕掛けて猟をする。仕掛けの下準備に時間がかかるため、弓矢で狩りをするカイルよりも早く起きていることが多い。


「何か変な夢を見たから早く目が覚めたんだ。ふわぁ〜」


 欠伸をしながらカイルは返事をした。


「変な夢?大丈夫か?疲れてるんじゃないか?」


「別に大したこと無いよ」


 カイルは笑いながら返す。

 疲れている平民など、この国では常識である。逆に狩人であるカイル達は畑を耕す農民に比べて搾取の種類が少ない分恵まれている。


「ところで、父さんも今日はいつもより早いんじゃない?」


  辺りはまだ薄暗く、日の出までしばらく時間がありそうだ。カイルは父の普段の起床時間を把握している訳ではないが、こんな時間に毎日起きていたら身が持たない事は分かる。


「ああ、昨日は良い縄が沢山手に入ったから、今日は多めに罠を仕掛けようと思ってな」


  ガグルはニコニコしながらカイルに大量の縄の山を見せた。


  本人は余程嬉しいのだろうが、弓矢を使うカイルにはその嬉しさがあまり共感出来ない。縄の山を見せられても反応に困るだけだ。


 とりあえず苦笑を浮かべながら『良かったね』と無難に返した。


  その後2人は何処で狩りをする予定かを、話ながら小屋を出た。途中で母も起きて来たので、母にも予定を伝えるのを忘れない。


「それじゃあ、魔物や魔獣に気を付けてな」


  いつも通りの台詞を言って、ガグルは今日、狩りをする西の森へと歩いて行った。


 そんな父に「分かった」と返して、カイルも今日狩りをする東の山に向かった。


  そんなカイルを木の上から見つめる紅い視線があったことに、カイルもガグルも気づかなかった。


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