表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/117

第五十九話

式部卿宮と宰相中将が、御簾の前に腰を下ろして話し込んでいるのを見て、他の公達たちも自然と集まってくる。


二の君は、左大臣家唯一の未婚の姫君。


たとえ二人の女御とは母親よりも低い身分の母親だとしても、左大臣の婿になりたいものは多い。


なんてったって、あの式部卿宮の北の方が左大臣の養女になっているから、一応式部卿宮の義兄弟になれてしまうのだ。


そんなチャンス、逃したくない。


わらわら集まってくる公達たちは、本当にいろいろである。


みな、左大臣邸の宴に招かれるくらいだから、それなりに身分は高いのだろうが、宰相中将のような美男子から馬みたいな男、二の君よりもだいぶ年上と思われるもの。


二の君付きの女房が、何人か話の取次ぎをしている。


もちろん東宮お気に入りの桐壺の女御さまのご機嫌伺いに来るものも多いのだが、二の君の前に陣取るものたちとは目的が違う。


まあ、どちらも目が欲でギラギラしているように見えてしまうのは、共通しているかもしれない。


芙蓉としては、特に興味はわかない。


桐壺の女御を賞賛する美辞麗句をとうとうと並べられて、扇の陰であくびをかみ殺す。


中将が女房たちを取り仕切って、相手をさせている。


蜜に群がる蟻のような公達たちに、左大臣が近づいてきた。


「これはこれは、月より女性のほうが美しいといったところですかな?」


すっとぼけた顔をしながら近づいてくる左大臣だが、その目は抜け目なく二の君に近づいている公達たちを吟味していた。


まあ、これから公達たちからの文がたくさんやってくるだろうから、吟味するに越したことはない。


左大臣家にとって誰を婿にするのが得策か、あとで式部卿宮にも相談してみよう。


左大臣の目は温厚そうな表情とは裏腹に、鋭く光っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ