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第二十七話

何刻くらいたっただろうか。


室内にさしていた木漏れ日は色を弱めている。


「さすがに、そろそろ戻りませんと、大事になってしまいますわ」


芙蓉は、我にかえる。


「中将の御方が、激怒してそうだしね」


東宮も答える。


二人は、はあーっと溜め息をついたあと、顔を見合わせて笑い出した。


「東宮さまのくせに、怖いんですの?」


芙蓉が聞く。


「中将は、叱る時は誰にでもしっかり叱るからね。


元服前に、藤壺の女御のとこに行った折々によく叱られたよ」


芙蓉は、東宮を叱ったという母親にビックリである。


「まあ、確かに僕が悪かったんだけど」


東宮が苦笑する。


二人は、手を取り合って、部屋を出た。


日はすでに西に傾きかけている。


二人は、そのまま桐壺に向かう。


桐壺の芙蓉の部屋に戻ると、そこには、中将が待っていた。


「中将の御方・・・ごめんなさい」


芙蓉は、すとんと腰を下ろして謝る。


すると、隣に東宮を腰を下ろす。


「中将、僕が女御を引きとめたんだ、ごめんなさい」


一緒に謝る東宮を見て、中将は苦笑する。


「東宮さまも、女御さまも、どこかに行かれる時には、ちゃんと言ってからになさいませ。


みなが心配いたします」


「言ったら、ついてくるじゃないか」


東宮は、苦笑いする。


「それもそうですわね」


中将は、ころころと笑う。


芙蓉は、そんな中将を見て、ほっとした。


東宮が帰ったあと、中将は人払いをした。


芙蓉に嫌な予感がよぎる。


「あなたという人は、何を考えているんですか。


梅壺の女御さまの宴を飛び出すなんて。


後で、なんと言われることか。


あの場は、帝がとりなして下さったからいいようなものの・・・」


それから一刻ばかり、中将のお説教タイムは続く。


芙蓉は、帰ってしまった東宮がうらめしい。


「さっきは怒らなかったくせにい〜」



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