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第百十話

慌てたように駆け込んできた女房に、芙蓉はキリッとした顔で女御モードを見せる。


「何事です!」


キリッと言ってみたものの、内心、ドキドキしている。


「帝が退位されるとのことでございます!」


思わず呆気にとられる。


青天の霹靂とはこのこと。


驚きのあまり言葉がない。


権力闘争の面から見ると、左大臣に権力があるうちに一の宮を東宮にするべきなのだというのはわかっている。


そうしてこそ左大臣から頭中将につながる権力は堅固なものとなる。


けれども芙蓉自身は、そこまで権力にこだわっているわけでもない。


むしろ、帝でないからこそ、中宮でないからこその自由さも存在すると思う。


先ほどまで来られていた梅壺の女御などは、この知らせを受けて、どんなにか衝撃を受けているだろう。


あの様子では、予想もしていなかったのではないだろうか。


けれども、この決定が覆ることはないだろう。


帝が退位されたあと、どうなさるおつもりなのだろう。


そんなことばかりが考えられた。


とりあえず急いで左大臣邸に使いをやったものの、これから先、東宮や一の宮と二の宮、そして自分に起こるであろう境遇の変化も気にかかる。


表立って悪いことにはならないだろう。


それでも、東宮と帝では立場に大きな違いがある。


今までのように、気軽に会えるとも限らないし、家族で過ごす平穏な時間は持てなくなるかもしれない。


先日のように、ちょっぴり御所を抜け出すなんてことも、難しくなるだろう。


芙蓉は、うつうつと考えこむ。


ガタン


その時、芙蓉は突然、倒れた。

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