あとがき
あとがきであります。
私は二次創作畑の出身でして、しばらく発表を伴う創作活動をさぼっておりましたが、活動再開としてオリジナルを書いてみようと思い、かつて書いた二次創作作品をベースにオリジナルな世界観を組んで走らせてみたのが本作になります。
主人公は女医。そこからオリジナルの世界観を組み立てましたが、やってみたらこれが難しいのなんの。
ダンジョンものですが主人公はダンジョンに潜らず、冒険者の日々を一歩離れて見ている、というのが初期コンセプト。そこからの展開は割とキャラ任せでした。
いかんせん公開を前提としたオリジナル作品というのは初めての試みであり、二次創作とは違ったハードルの高さは予想以上に厳しいものでした。
二次創作であれば原作キャラを出せば名前だけで姿かたちから性格まで、アニメ化された作品なら声や所作まですべてイメージしてもらえますが、オリジナルはすべて一から読者に伝わる形で表現せねばなりません。そこを説明臭くなく文字にしていくのはかなり難しかったです。
何事も挑戦ということで、自分の中のキャラテンプレを総動員して組み立ててみましたが、大変勉強になりました。
序盤は登場キャラ紹介的に1人1話程度の配分で進め、主要キャラが出揃ったところで加速開始という建付けでしたが、短く終わらせるはずが思いのほか多くの話数を要したのは想定外。
特に最終話は当初予定の倍以上。本当は27話で終わるノーマルエンドみたいな終わり方を想定していたのですが、筆の滑りに任せていたらトゥルーエンドのような締めになりました。
全体的な雰囲気としては、やはり生活感が描けているかが課題でした。描いた世界観の中で、このキャラたちがちゃんと生きているように書けているかどうか。まだまだ修行の余地があるように思います。
・ヴァルター
一番書きやすい戦闘担当キャラのイメージで書いた準主役。戦隊もので赤いヘルメットをかぶれるタイプとしてキャラメイクしました。非常に動かしやすいキャラだったので物語を引っ張ってもらうのに重宝しました。書いてて楽なキャラなので、別の作品でも使うことがあるかも知れません。
・イーサン
細目で物腰は丁寧だけど実は凄腕、というありがちなキャラ。武器は胡蝶剣にしようかとも思いましたが悩んだ結果マチェットにしました。要所で脇から手を差し伸べてくれると言いますか、この人もサイドを固めるには動かしやすい人でした。TRPGだとパーティーのシーフにあたる感じです。
・エンデ
寡黙な女の子という王道担当。劇中最強というのは当初の予定通り。世界観のテコ入れのために出したキャラですが思いのほか馴染みが良く、何かあったらルパン三世の五右衛門のように武力で解決できるという安心感がありました。
最後のイベントはこの子の出自の設定から、このキャラならああいう行動をとるだろうなと思ったことから話を膨らませました。
・クレア
最後まで男性にしようか悩んだキャラ。書き終わってみると、この人が男性だと逆ハーレムの色が強くなるので女性で正解だったように思います。主人公の二人目の親友ポジですが、姫騎士的な口調は主人公のそれに似るので書き分けは神経を使いました。バトルジャンキーな性格は盛り込まなくて正解だったように思っています。
・フリーダ
ギルドの鑑定担当として片メガネのおっさんキャラとで悩みましたが、おっさんだと主人公がおかしなことになりそうなのでここは万能お姉さんにしました。昔ギルドマスターとチームを組んでいた人みたいな裏設定も妄想してみたりして。イメージの原型はアメリカのTVドラマ『NCIS』のアビゲイル・シュート。この人の昔話でも一本いけそうな気もしています。
・アビゲイル
名前は上記のNCISキャラから取ったようですが偶然です。最初は絵に描いたようなお姫様キャラにしようとしてキャラが全く動かず難儀したのですが、口調を「なのです調」にしたところ面白いように動き出したのは新鮮な経験でした。
・レナ
割と適当に登場させたらあれよあれよと重要キャラに上り詰めた人。何でまたこんなことに、と言う感じです。物語の最重要人物ではありますが、思ったより出番が作れなかったのは私の不徳の致すところ。油断すると百合ものになりそうな辺りは自分でも結構気を使いました。
・エリカ
主人公。お医者さんなのはベースになった作品と同じですが、医者としての信念については前作で書きたいことをあらかた書いてしまっていたのでその辺は淡白に。
このキャラは名前で悩みました。当初は「シャーリー」とつけていましたが、キャラが固まるにつれ『この性格でシャーリーもねえもんだ』ということで少しだけ語感が強い名前を付けました。
男っぽい口調で達観していて、でも根は善人という女医さんは結構多くの作品でサブキャラとして出ていますが、それを主人公にしてみたという感じです。
そんなわけでおかげさまを持ちまして終止符にこぎつけることができました。
少しでも面白いと思っていただけましたら幸いです。
では、また近々。




