第15話 『誓詞』
「ここ、右だったよな?」
「右ですね」
地下迷宮の五階層の十字路。二人の青年が最新の地図を見ながら進路を確認していた。
一人の名はヴァルター。
もう一人はイーサン。
イルミンスールの冒険者ギルドに所属する、共に二十歳の冒険者であった。
ヴァルターとイーサンは、二人とも元はイルスミーンの下町育ちの孤児であった。
親は傭兵であったとも旅芸人であったとも言われているが、二人とも詳細は知らず、物心がついた時は既に月神新教の経営する孤児院で多くの孤児たちと一緒に少ない食事を齧っていた。
そんな二人には、抱いていた夢があった。
この国で一番の冒険者になりたい。
その青雲の志を胸に八歳にして孤児院を飛び出し、世間の荒波に抗い、決して平坦ではない道を歩みながら冒険者ギルドのトップクラスまで上り詰めた経歴を持つ二人であった。
互いの背中を任せ合うように迷宮を進んでいると、視力に優れたイーサンがハンドサインで停止を指示した。
その両目は、二〇メートル先の天井を見据えていた。
弓を構え、背の矢筒から魔晶石を鏃とした矢を番えて引き分ける。
放たれた矢は、過たず天井の一角に吸い込まれるように飛んだ。
天井の建材に突き刺さるやその一部がごっそりと剥がれ落ち、そのまま床に落ちてゼラチン状の塊に様相を変える。それは迷宮でよく見られる、天井に擬態したアシッドスライムであった。
刺さった矢の鏃に込められた自律起動の魔晶石が体内で発動し、強アルカリの溶液をスライムの内部に具現化していく。
反応熱で煙を上げるスライムはしばらく蠢いていたが、程なくその活動を止めた。
「お見事」
「どうも」
短い言葉だけ交わし、両名はさらに奥に進む。
六階層の一角に着いた時、イーサンが地図を見ながら呟いた。
「変ですよ、ヴァルター」
「どうしたよ?」
「この通路、地図にありません」
現在いるのはごくありふれたT字路だが、地図に描かれているのは左折の通路のみである。
「お、ホントだ。これ先月の地図だよな」
「そうですね」
「……マジ?」
「あるいは」
二人は顔を見合わせ、にんまりを笑って互いの手を打ち合わせた。
「いいねぇ、こう来なくちゃ」
「ようやく出会えましたね、未踏地に」
迷宮はゴーレムが不規則なペースで作り変えているため、巡り合わせにより稀に未踏破のエリアに出会うことがある。
冒険者は、誰もがこの種の未踏のエリアを夢見る。誰も手を付けていないエリアには、当然貴重な品々が眠っている可能性があるからだ。
元より一攫千金を夢見るやくざな商売と言う側面もある冒険者、若い二人に胸を躍らせるなと言う方が酷と言うものであろう。
嬉々として通路を進んでいった二人であるが、進んでいくとどうも様子がおかしいことに気づいた。
通路の様子が、地下迷宮と言うよりまるでどこかの神殿のような細かい意匠を凝らされたようなものになっている。天井も高く、両の壁には名工が作ったような彫刻が等間隔に並んでいた。
「……何か地下迷宮にしちゃ格調高過ぎやしねえか、これ」
「確かに」
その突き当りで二人を出迎えたのは奇妙な部屋だった。
「何つうか……すげえ扉だなこれ」
下手な城の城門ほどもある重厚な扉であった。それはすなわち、よほど大切なものがこの先にあるということでもある。
「毒の気体はなさそうですね。開けましょう」
毒性感知の魔道具で確認し、イーサンが最終判断を下す。
男二人の力でもなかなか動かなかった鉄製の扉を何とかこじ開けるのに一〇分ほどを要した。
「何だこりゃ」
中に入ると、壁がほのかに光を帯び、部屋全体が緑色に光っていた。
広さは一〇メートル四方。
その床には素材が分からない棺のような形状のものがいくつも並び、その表面のところどころに魔力の輝きのようなものが浮き出て見えた。
「地下墓所、でしょうか」
「何かそんな感じだな」
ヴァルターが同意の呟きを漏らした。
それくらいそこの空間は荘厳かつ清浄、そして静謐な空間であった。
棺の数は一二。
部屋の奥には、もう滅んでしまった宗教のものと思しき神像が祀られている。特に華美な装飾が施されたものでなく質素なものであったが、そのことがよりこの空間の神聖さを醸し出しているようにも思えた。
欲得や打算が似合わない、穏やかな空気がその室内に満ちていた。
二人は無言でしばし考え、最後に視線を交わした。
「帰りますか」
「……そうだな」
「さすがに死者の眠りを妨げるのは寝覚めが悪いですしね」
イーサンの言葉にヴァルターは頷いた。
「俺が死体だったら、墓を掘り返した奴は呪うだろうしな」
そう言って部屋を出ようとした時のこと。
出し抜けに響いた機械が軋むような音の二人は飛び上がった。
「な、何だ!?」
「罠ですか?」
見ると、奥の棺の一つが明滅し、その蓋がゆっくりと持ち上がり始めた。
「亡者系かよ。イーサン、聖水は!?」
「ありますよ!」
鏃に素焼きの小瓶を付けた矢を番えてイーサンは既に戦闘態勢を整えていた。
迎撃の構えを取って一分ほど。しかし、蓋の開いた棺からは何の反応もなかった。
「……ちと見てみるわ」
「気を付けて」
ヴァルターが槍を構えて棺に近づき、イーサンは距離を取って弓を引き絞り続けていた。
そっと中を覗き込み、ヴァルターは絶句した。
「何だこりゃ?」
「何がありました?」
イーサンの問いに、ヴァルターはややためらってから答えた。
「女の子だ……裸の」
「女の子?」
そこに横たわっていたのは一糸まとわぬ女性であった。年の頃は一五かそこらだろうか。
雪のように白い肌が部屋の照明を受けて緑色に染まって見えた。
「吸血種、って感じでもないよな」
「牙はないみたいですし……亡者と言う感じでもありませんが」
ヴァルターは用心しながら槍の石突で女の子の口元を押した。持ち上がった形のいい唇の下に伸びた犬歯がある様子もない。
「どうしたものかね、これ」
「見なかったことにするというのはどうでしょうか?」
「それはいい考え、と言いてえとこだが、ここ六階だぜ。これじゃすぐに妖魔の晩飯になっちまうぞ」
「それはそうですが、少々得体が知れないというか、うわ!」
その時、唐突に女の子の瞼が開いた。その両の赤い瞳に、ヴァルターの驚愕した顔が映る。
ゆっくり体を起こして周囲を見回す女の子に、ヴァルターは恐る恐る声をかけた。
「あー……言葉、分かるか?」
警戒しつつも話しかけたヴァルターの言葉に、女の子は頷いた。
「そりゃよかった。んじゃ、まずこれを着てくれ」
そう言ってマントを渡すと、女の子は素直に従った。
発見された少女は二人に連れられてそのまま地上に出たが、後日二人がもう一度その場に行った時には通路であったところは構造が変化しており、もう部屋に至る通路は見つけられなくなっていた。
☆
「そのような経緯であったとは……知らずに聞いたらいささか信じ難い話ではあるな」
話を聞き終わり、クレアが深く嘆息した。
彼女が唸るのはもっともだと思う。私としても正直話が飛躍しすぎているように感じるくらいだ。
「生い立ちはかなり特殊だというのはあると思います。ですが、彼女はあの通り、ちょっと変わってはいますが普通の子です。隔意は持たないであげて欲しいと思います」
「今更色眼鏡で見ろと言われても、その方が無理と言うものぞ」
私も同感だった。この期に及んで出自が特殊だったからと言ってどうこうと言う意識はない。これまで見て来た彼女の人間臭い言動に鑑みるに、人間の女の子以外のものとして見ることの方が難しい。
「まあ、お二人はそういう方々ではないと信じてはいましたが、実際、一部の役人等は彼女を人として考えないような輩もいたのです」
ギルドに連れ帰った後、ギルドの経営陣と行政の当局が博物学者のフリーダの意見を交えて幾度か議論が行い、最終的にギルドで預かりのうえ、世話人はヴァルターが担当することになったのだそうだ。
「最初は大変だったぜ。常識がねえから飯の食い方から風呂の入り方まで、一から全部教え込まにゃならなかったんだ」
「全部ヴァルター殿がやったのか?」
「さすがに一部のところは女手をいろいろ借りたけどな」
「その代わり、どんなものでも一発で覚える子でしたね」
赤子のようだったというエンデは、学習能力は非常に高かったらしい。
実際、生活するうえで必要なレベルの簡単な会話は半月ほどでできるようになり、社会常識も三か月もすれば問題ないレベルになったという。
「腕っぷしも強くてなあ。俺なんか教えて一週間で勝てなくなったぜ。初めて地下入った時なんかオーク五体を涼しい顔でシメてたしな」
「あとはあれですか、オーガの腕折ったやつ」
「あれも道具に慣れる前だっけか」
遠い日を見るような二人の思い出話はいいのだが、出て来るその思い出話が冗談にしか聞こえない。オーガともなると灰色熊並みの腕力なはずなのだが。
「まあ、その後僕らはマスターのご提案でガイドになりまして、エンデはそれに合わせて喫茶室の担当になったんですよ」
「あいつの飯は美味えんだ。一度食わせると、それだけでほぼ同じもの作れるようになるくらいだからな」
人に歴史ありと言うが、何と言うか事実は小説より奇なりとしか言いようがない。
「話は分かったが、それと彼女が泣くのはどのように繋がるのだ?」
クレアの言葉に、二人は顔を曇らせた。
「そのような出自なので、エンデはどこの教区にも所属していないのです」
その説明に、クレアは低く唸った。
住民の人別帳を担当するのは教会や神殿だ。これは第一大陸も第二大陸も変わりはない。
生まれた子は親の信奉する宗教の信徒名簿に記載されるし、結婚すれば夫側の名簿に妻が連れ合いとして追記される。孤児であっても入信を希望すれば受け入れてもらえるものだが、そこに記載がないと社会的に所帯を持ったとは認めてもらえないし、式を挙げても司祭の祝福は受けられない。それは、ブロディとカレンのような夫婦の形にはなれないということを意味する。
「今からでも登録すればいいのではないか」
「それが難しいのです。彼女の立場は、厳密には地下迷宮における拾得物ですので」
「それはそうだが……どうにもならぬのか?」
「これまで地下迷宮からの産物で、人が見つかったということはないのです。また、誤解を恐れず言えば、エンデの能力も人と言っていいか分かりません。強化魔法もなく彼女はあの身体能力を発揮します。彼女を連れ帰った時、妖魔の可能性もあったのでフリーダの鑑定を受けましたが、彼女の見立てではエンデは極めて人に近い人工の生命体ではないかとのことでした」
確かに、健康診断の時に診察した際には、彼女が人ならざる者である部分は確認できなかった。食事や睡眠の必要は人と変わらず、踏み込んだことを言うなら妊娠・出産も可能だと思う。
そういう概念に、一つだけ心当たりがあった。
「ホムンクルス、というものか」
私の言葉にイーサンが頷いた。
「フリーダも同じような事を言っていました。人との違いは誤差の範囲とも言いますが、それでも人と違うというのは大きいのです。そして、何より彼女を『迷宮で発見した物品』であると定める法の制約があります。彼女を人として教区に登録してもらうことは難しいでしょう」
しばしの沈黙の後、一口酒を呷ってクレアが口を開いた。
「現状については理解した。だが、納得はできぬ。それについては一番重要なことを確認したい。ヴァルター殿、貴殿は彼女のことをどう思っておるのだ」
いきなり話を振られてヴァルターは一瞬怯んだ。
「どう思うって?」
「瀕死の時に譫言で呼ぶ程度には情があると認識しているが、貴殿はエンデという女性を生涯を共に歩む伴侶として見てはおらぬのか?」
いきなり物事の核心に迫る質問にヴァルターはさらなる劣勢に追い込まれた。初めて知ったが、どうやらこの男、この手の話題は苦手であるらしい。
「それ、ここで答えなきゃいけねえ質問か?」
「無論」
真っ向から見つめるクレアの視線にしばし視線をさ迷わせ、その上でヴァルターは赤面して答えた。なかなかレアな眺めだと思う。
「憎からず想っている、とでも言えばいいのか?」
「たわけ、私は然様なぬるい答えを求めているのではない。股にぶら下げているものに誓って男らしくはっきり答えぬか」
こめかみに青筋を立ててクレアの追及が続く。容赦ないな、この人。あのヴァルターが、今は完全にクレアの気迫に飲まれていた。
「できればいつかそうなりたいと思ってるよ」
やっと絞り出したようなヴァルターの答えにクレアは満足げに頷いた。
「ならば話は簡単ではないか」
「簡単か?」
「応とも。エンデの気持ちは知らぬ者はおるまい。そして貴殿の気持ちがそれであれば、それ以上何が要るというのだ」
「そこまで物事簡単じゃねえだろ」
ヴァルターの言葉に、クレアは一度瞑目して言った。
「なあヴァルター殿。そも、結婚とは何だ?」
「そりゃ、男と女が一緒になって家庭を作ることだろう」
「そこに必要なものは何だ?」
「お互いの気持ちと住む家と飯を食っていく手段と……子供?」
「それは同棲や同居とどう違う?」
クレアの言葉に、男二人は長考に入った。ややあってイーサンが言った。
「神への誓詞、ということでしょうか?」
「それもある。では、神に何を誓うのだ?」
「貧しき時も病める時も、って奴だろ?」
「それだ」
ヴァルターの言葉にクレアは断言した。
「突き詰めれば、結婚とは、お互いそれぞれが相手を好いている、大切に思う、と言うことに責任を持つということだ。そしてそれを神の前で誓って祝福を受ける。それが結婚式という仕来りの本質だと私は考えている」
「それならやっぱ教会なり神殿なりへの登録はいるんじゃねえのか?」
「そこにも一つ質問を重ねよう。貴殿は自身の神に対して、そこまで篤い信仰を持っておるのか?」
「……威張れたほどのものじゃないとは思う」
「ならば、それでいいではないか」
「何がよ?」
「誓う相手は神である必要はないということだ。貴殿にとって神がそこまで絶対的なものではないというのなら、貴殿は貴殿が大切にしている者たちに対して誓えば良い。貴殿の誓いはその者たちが見届けよう」
「神ではなく……か?」
「そうだ。貴殿がその者だけは裏切れぬと思う存在に誓いを立てれば、その誓いは貴殿にとって最も堅固なものになるのではないかと私は思う。それに、日頃不信心を決め込んでいる者の誓いでは貴殿の神も迷惑であろう」
聖騎士であったクレアからの思わぬ言葉に、私も息を飲んだ。
「難しく考えることはない。貴殿を取り巻く人々、あるいはそれらも含めた森羅万象に誓いを立てるのだと漠然と考えれぱよいと、そう思うのだ。確かにそれでは結婚しているという証明を教会や神殿からは貰えぬかも知れぬが、逆に考えれば不都合はそれくらいではないだろうか。それで貴殿の人生に問題が生じるほど、貴殿の住まう世界は窮屈なものではないように私は思う」
そう言って、クレアは酒杯を干した。
「先生は、どう思います?」
イーサンの問いに、私はしばし考えて意見を述べた。
「私の好きな言葉に、『月を指さす』というものがある」
それは、『誰かさん』が教えてくれた言葉だ。
「月を指さす時、指先に意識を向けていては月は見えない、という意味だ。つまり大切なものは何かを考えることが重要だという言葉なんだが、クレアが言う通り事の本質を見ようとすれば、自ずと大切なものは見えてくるように思う。ここで大切なのは誓う相手や祝福の形ではないのではないか、とな」
私の言葉にクレアは頷いた。
「同感だな。考えるべきは真に大切なものは何か、であろう」
その言葉に、全員がヴァルターを見た。
その視線に耐えること数秒でヴァルターは陥落した。
「……分かったよ。いずれにしろ、泣いてたとあっちゃ放ってもおけねえ。あいつと向き合ってみるさ」
クレアは満足げに頷いた。
「それでよい」
「だからって、すぐに所帯がどうとか言わねえでくれよ。こっちにも段取りってもんがある」
「ほう、では、その段取りと言うのを今宵の肴とさせてもらうとしようぞ」
この時になって、ようやく私は既にクレアが大分回っていることを知った。
呆気なく潰れたクレアをイーサンに背負ってもらい、午前様ぎりぎりで帰路についた。
「それにしても、姐さんの意外な一面を見た気がするぜ」
「もとは修道院の出だからな。女だけの世界では、往々にしてああいう話は多く飛び交う。クレアなりの持論が醸成される下地はあったんだろう。イーサンもすまんな。酔っぱらいは重いだろう」
「いえいえ、剣術の師匠のお世話くらいはさせていただきますよ。それに、これはこれで役得ですし」
笑うイーサンをよそに、ヴァルターは難しい顔だ。
「俺も形にこだわり過ぎてるのかね」
「別にお前の都合という訳ではないだろう。出来るだけ一般的な手続きを踏んで、エンデに花嫁としての気持ちを味合わせてやりたい、というのが本音ではないのか?」
「あれ、分かっちゃう?」
驚いたようなヴァルターの顔に、思わず笑ってしまう。
「お前がそこまで神の祝福に拘るタイプだとは思っておらんからな」
「そうなんだよ。割とあいつ、自分の出自に劣等感あるからな。人生の節目はちゃんとしてやりたくてさ」
「それならなおのこと、彼女のケアを怠りなくやってあげて欲しいな。私としても、また八つ当たりをされてもかなわんし」
「それなんだよなぁ……何かいい方法あるか?」
「そうだな……定番だが、揃いの指輪でも送ってみたらどうだ?」
「そういうのあんまり興味なさそうだぜ?」
「馬鹿を言うな。惚れた男から貰う指輪を喜ばない女など、女の名に値せんよ。言葉と共に渡されれば、それを見る度にその時感じた信頼を思い出すことができるとも聞くぞ」
「そういうものか?」
「そういうものらしい」
「……『らしい』と言うことは大将はもらったことないんだな」
「うるさいな」
ヴァルターと言葉を交わしながら、私はクレアの言葉を反芻した。
何かに誓いを立てるとき、それは神に対してでなくても良い。
クレアが述べたその意見は、私にとって是だ。
学院でレナと出会い、そして彼女を通じて出会った人たちがいる。
この街に流れて来て出会った人々がいる。
それは、私を『エリカ』と呼んでくれる人たちだ。
そして私が『エリカ』である今の世界は、あの屋敷にいた頃と比べものにならないほど広く、深く、そして彩に溢れている。
故に、その人たちを裏切らぬ人生こそが、恐らく私にとって正しい生き方だと思えた。
数日後、エンデの首元に、見慣れない光物があることにアビーが気付いた。
チェーンで吊るされた白金の指輪。食べ物を扱う仕事なため、あえて仕事中はネックレスにしているのだそうだ。
それと同じデザインのものがヴァルターの指にもあることについては、しばらく女性冒険者たちの間の話のネタになったと言う。
いつも読んでいただきましてありがとうございます。
ここから胸突き八丁。頑張ります。




