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38 呪法

「カンスケ!」

「ホリーさん、待ってください!」

 ノノが声の聞こえる方へ振り向くと、ホリーとララがこちらに向かって来ていた。

「ごめんなさい、ノノさん。止められず……」

「いえ、うちも同じようなものですし、それにカンスケ様の様子を見ておいていただきたかったので逆に助かりました。ホリーさん、カンスケ様とお二人で少し下がっていてください」

「わ、わかったわ」

 ホリーは寛介と共に、ララの用意した縦穴に隠れた。


「ところで、蔓が襲い掛かってこなくなったのはノノさんの力ですよね?」

「うちの力というよりも、この剣の力ですけど」

 双剣を見せながら、ノノが苦笑いを浮かべてそう言った。

「なるほど、それは魔剣だったのですね」

 ララは剣を興味深そうに観察している。

「それで、何か困っていらっしゃったようですが……」

「えっとですね――」

 ノノは今に至るまでの流れをララへ説明する。

「――もう少し内部まで毒を浸透させられればいいのですが……、表面が硬すぎて」

 話を聞いていたララは巨人樹を見ながら口を開いた。

「それなら、お手伝いできるかもしれません」


「それでは、ノノさん私が合図を出したらお願いします」

「はいっ!」

 ノノの返事を聞いたララは、手を胸の前で組んで祈るように目を瞑る。

 ララの周囲へ陽炎が立つ。その様子を見ていたノノの背中に悪寒が走った。

「これは……」

 目を開けたララが掌を前に向けると、周囲へ漂っていた陽炎が移動するように掌へ集中していき、黒い魔力の塊が大きくなっていく。

[呪法](カース)――」

 掌に集った魔力の塊がはララの言霊に合わせて大量の蛇に変わり、巨人樹へまとわりついていく。

[脆](フレイル)!」

 そしてその蛇たちが巨人樹を締め付けた。ララはノノに合図を出す。

「今です!」

「わかりました!」

 そうしてノノが振るった剣は、まるで豆腐を切るかのように巨人樹の幹を深く切り裂いた。

「はあ!」

 さらに深く突き刺し、ノノは魔剣のスキルを発動する。

「[毒針]!」

 巨人樹の深くへ魔毒を注ぐと幹の変色が始まり、どんどん広がっていく。

「やった!」

 作戦が上手くいき、ノノが喜んでいると、慌てた様子でララが声をかけてくる。

「危ない、ノノさん!」

「え?」

 自立できなくなった巨人樹が、ノノの方へ倒れてくる。

「キャアア――」

 巨人樹の巨体が地面を叩き地面を揺らす。その大きな音により、ノノの叫び声はかき消されてしまった。


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