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錬金人形の弟

 ギシギシのガシガシになったアルテアを休ませゴーレムの様子を見る。

 見事に真っ二つじゃな。

 切断面が綺麗すぎて左右合わせれば、またくっつきそうな程じゃな。


 ……


 ガンド、チョットそっちを持つのじゃ。


 せーの。

 重い。


 魔術発動、もう一回じゃ。

 ぴったりじゃ、まあ当然か。


 ゆっくり離す、ズレぬな。


「くっ、完敗だ。設計思想、錬金、魔術、冶金、全てで上を行かれているのが分かった」


「私が守ってきた技術は既に時代遅れの物になっていたのだな」


 うひょ!くっ付けただけでゴーレムが再起動しおったわい

 一体どの様な切り方をすればこの様な神業が。

 まるで昔話に出てくる伝説の大工の様な事をしおるのじゃ。


 アルテアを見る。そして目が合うと、凄くドヤ顔をされたのじゃ。

 ず、随分と人間臭くなった物じゃな。


 そう言えば昔、うちの執事が魚を生きたまま捌いておった様な気がするが。

 真似をしてみたつもりかの?


「斬りたいものだけを斬りたい様に切る。これぞマッセン流の極意です」


 そんな事はなかった気がするのじゃがな。

 アルテアよ、お主はいったい何処を目指しておるのじゃ……


「ゼクセン、マッセンとゆうとお主のところの「狂犬」の名であった気がするのであるが、この様な繊細な剣の使い手ではなかった気がするのであるが」


 この娘は身内贔屓が過ぎて、記憶を盛大に美化しておる様じゃの。

 うちの執事の剣は獣の様に荒々しい剣……と、嫁が言うておったのじゃ。


 おっと、そんな事よりゴーレムじゃ。


「ゴーレムよ、お主の守っておったこの遺跡の奥にはいったい何があるのじゃ?」


「この奥は私を作った錬金術士の研究の全てを納めた工房になっている」


「ふむ、お前さんの人格のオリジナルじゃな」


「その通り、若くして死病に侵された天才が残した生きた証だ」


「そうか、後の始末はワシらがやっておこう。もう、ゆっくり休むのじゃ」


 1000年も番人をして居ればもう十分じゃろう。

 ゆっくりと休むが良い。


「お父様、お待ちください」


 アルテア、まだ何かするつもりかの?もう勘弁して欲しいのじゃが。


「そのゴーレムは私が倒した私の獲物です。どうするかは私に権利があると申し上げます」


「そこのゴーレム、私の父達の技術の素晴らしさは理解できた様ですが、もう逆らう気は有りませんね?」


「もとより、この工房を有用に使える相手に託すのが私の務め、これ程の相手に託せるならば是非も無いことだ」


「ならば逆らう気もなく、役目も終わった上に敗者である貴方を私の眷属にする事を宣言します」


「私は自分と同種の存在を初めて見ました。これをこのまま消えさせるのは遺憾であります。私の新しい体を作った余りで変えの体も用意して頂きましょう」


 えっ?だ、誰が造るのかのぅ……


「む、お父様方が体を用意するのですからお父様の息子も同然とゆうことになるのですね。眷属は辞めです。今から貴方は私の弟とします。私の事はお姉さま、若しくは姉上と呼ぶ様に」


「え、いや、いきなりそんな事を……」


 戸惑うゴーレム、こいつも中々人間臭いのぅ。


「返事は、『はい』です」


 ここで剣をチラリじゃ。


「はっ、はい!」


 なんとゆうゴリ押しじゃ。

 しかも我が家のひえらるきーでは弟とは最底辺の事なのじゃ。

 眷属の方が待遇は良かったはずじゃ、可哀想にのう。


 最も、これから二体分の錬金人形を造らせられるワシらの方が遥かに可哀想かもしれぬ。

 まさかこれ程押しが強くなって帰ってくるとは!


 ガンドとリーベルトなどは既に絶望が深すぎて、無表情になってしもうておる。


「貴方名前は有りますか?」


「いや、あっ、いいえ有りません!」


「宜しい、ならば今から貴方の名はラジエルです。しっかりと励む様に」


 こうしてアルテアのゴリ押しにより二体目の錬金人形のせいさくが決まってしもうた。


 取り敢えず、このままでは何時ズレて真っ二つに戻るか分からないラジエルは、その辺のゴーレムをつかまえて人格部だけを移植させておくかの。


 アルテアとこヤツの体を作る時もこき使ってやらねば。

 オリジナルの錬金術士は年代の割には有能そうだったので手伝いもさせるかの。


 運の無いこヤツもワシらの地獄に道づれじゃぁ!

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