早朝の薬草じいさん
不定期で細々やっていこうかと
R15は保険です
目を覚まし外を見る。
まだ日は出ておらん。
うむ、今日も太陽に完全勝利じゃ。
決して歳で眠りが浅いわけではない!
サイドテーブルの湯のみに魔術で水を出し、数度に分けて飲み干す。
うまい、乾いた体に染み込む様じゃな。
この湯呑みは昔妻から贈られたものでの、壊してしまわぬ様に色々細工をして居ったら
やり過ぎてしもうたのじゃ、色々効果があるのじゃが中身が美味くなるのもその1つじゃ。
妻にはお茶本来の味が分からなくなると不評じゃったがのう。
水分補給で目が冴えたところで昨日書いた覚え書きを推敲するぞい。
面倒くさいんじゃがワシは手と頭が一致しないことが良くあるのじゃ。
頭の中では書いたつもりで実際には書いてない、あるあるじゃな。
む、誤字発見、脱字も発見、魔術を使い紙からインクを分離、誤字を消し、スペースを寄せて文字を書き足す。
完璧じゃ、保存の魔術を掛けて完成したら次の紙じゃな。
イカンイカン、修正作業に熱中してしもうたわい。
そろそろ、朝のうぉーきんぐの時間じゃ。
これは休むわけにはいかん。
健康の維持と御近所さんへの生存報告の一挙両得なのじゃ。
この歳になると周りが気を使うからのぅ。
想像してみよ。
一回寝坊しただけでうぉーきんぐ仲間の巨乳美人や近所の商店の若奥様達を「薬草のおじいちゃん体調悪いのかしら」こう心配させてしまうのじゃ。
遅れる訳にはゆくまい。
決して、たゆんたゆんは関係ないぞ。
チョットだけじゃ。
おお、そうじゃ、
まだ名乗っておらんかったのう。
ワシの名はゼクセン、冒険者ギルドの魔術士で「薬草じいさん」と呼ばれておる。
ほっほっほ、驚いたかのう、なんとワシは二つ名持ちとゆうわけじゃ。
「薬草じいさんのゼクセン」なんかかっこいいじゃろう?
以前はバリバリのいんどあ派じゃったが最近はふぃーるどわーくメインに切り替えたのじゃ。
ふぃーるどわーく、うむ、出来る学者っっぽい良い響きじゃ。
死んだ嫁からももっと外へ出ろとよく怒られたしのぅ。
ん?体はキツく無いのかじゃと?
なんのためのうぉーきんぐじゃ、唯目の保養をしておるのでは無い。
体力の維持に努めておるのよ。
実際に毎日若い冒険者達と依頼に出ておるが足手纏いになったことは無いぞい。
むしろこのワシが目的地まで先導してやっておるくらいぞ。
それでは行くかの、愛用のヒノキの棒を杖代わりにガンガンゆくぞ、
出発じゃ。
時間は早いが大通りはうぉーきんぐには危ない、一本中の路地を歩くのじゃ。
もう少し早ければ大通りでうぉーきんぐして仕事帰りの夜のお姉さん達と知り合えるかもしれんのじゃが、余り早くからゴソゴソしては宿の方に迷惑じゃからのぅ。
よいか、ワシの人生の目標は気遣いの出来るジジイになる、これじゃ。
歳をとる毎に子供みたいに我儘になってい行く他の年寄りとは違うのじゃよ。
分かれば行くぞ、道の右側を歩くのじゃ。
そして二つ目の十字路を越えたら左側にシフトじゃ。
見よ!パン屋の若女将と毎日道を掃除しておるサーナちゃんと挨拶して犬の散歩の女中さんと自然に接触じゃ、ここから若い主婦の多い共用井戸を掠めて西地区広場で表通りに出るぞ。
広場に着けば、たゆんたゆんのソフィアちゃんと合流出来る筈じゃ。
後は帰りは同じ方向じゃからそのまま一緒にもどってくるのじゃよ。
さあ、気合いを入れよ気を抜けばのまれるぞ、朝の散歩は真剣勝負じゃぁ!