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大錬金術士とダンジョンもどき

 結局アレから半日ほどは、ワシのスキルの原理に対する考察を二人に説明するだけで終わってしもうた。

 どうやって発見したかから始まり、今までにこの話をした相手、そういった事まで事細かに説明させられたわい。


 そもそもこんな話はとうの昔に知識神の神殿に報告済みじゃ。

 ワシの恩師の研究に関わる事でもあったでの、古巣に報告しておいたのじゃ。

 後は向こうが好きに広めるなり、捨て置くなりするじゃろうて。


「と、言うかじゃな、お主らもアルテアの製作者なのじゃから、気がついても良さそうなものじゃがの」


「アルテアであるか?……!?」


「言われて初めて気がついたぜ。俺たちゃかなりマズイもの造っちまったんじゃねえか?」


「アルテアにはスキルが無いのである。にも関わらずスキルに相当する現象を起こしているとゆう事は……」


「ほっほっ、神の怒りを買う様な事は無いのじゃ、安心せい。元になった神剣からして元々この世の理の向こう側の存在じゃよ」


「それに魂は向こう側の存在でもアルテアの心も身体もワシらが造り育てたのは間違いの無い事実じゃ。ワシらはその事を誇れば良いのじゃよ」


「うーむ、ゼクセンに諭されちまった。俺も焼きが回ったかな」


「吾輩100年以上の付き合いで、初めてこ奴の発言に感動したのである」


 褒められておるのか貶されておるのか微妙な言い回しはやめい!

 まあ、ワシは褒められ慣れて無いからのぅ、これくらいで無いと照れてしまうがの。


 二人が納得しワシの講義が終わると随分と遅い時間になった様な気がする。

 今日はもう疲れたのじゃ。リーベルトの物資を漁り、夕飯代わりとして残りは明日じゃな。


 お休みなさいじゃ。



 ドガッ!ドガッ!ガツッ!


 何じゃうるさいのう。

 重いものがぶつかり合う様な重い音に目を覚ます。


 音の出所は一体のゴーレムじゃった。

 擬似ダンジョン側から出現した様でリーベルトの張った結界にひっかかって拳を叩きつけておる。


「うるさいのう。リーベルト何とかならんのか」


「Zzzz……」


 何と。この騒音の中で熟睡じゃと!?

 何とゆう胆力!いや、自らの張った結界への絶対なる自信と見た!!


「うるせーなぁ、何の音だ?」


 大雑把な事で有名なドワーフですら起きてきたのにこの状態。

 リーベルトよお主の自信の程しかと見届けた。

 やはりお主は大した奴じゃ。


 しかし、このままでは二度寝も出来ぬのぉ。

 そうじゃ!閃いたワシは懐から爆発薬を取り出す。


 実は昼間にガンドの戦いを見ておった時にの?その、チョット手に汗握りすぎての?

 安全ピンを潰してしもうたのじゃ。


 中の二つの液体は既に混ざりきり、後は魔力を込めれば「ドカン!」じゃ。

 この状態で持ち歩くのはちと危険じゃからな、処分できる時に処分してしまおうとゆうわけじゃ。


 先ずは自分の魔力の状態を確かめる。

 うむ、万全じゃ。少しなりとも眠ったからのぅ、全快しておるよ。


 次はリーベルトの結界に干渉して小さな穴を開ける。ふっふっふワシこういった小細工は大得意じゃ。


 あとは薬に魔力を込めて、結界の外へポイッとしたら結界への干渉を中止する。


 ゆっくり五つ数えるのじゃ。


 ひとつ、ふたつ、みっつ……


 ドガガッン!!


 うひょ?ま、マズイのじゃぁぁ!

 咄嗟に結界を張る。

 爆音と共に視界が紅く染まり、結界に物凄い圧力がかかるのが分かる。

 あ、ワシの結界破れた。


 部屋全体が激しく揺れ結界の外は黒煙で視界がゼロじゃ。

 かろうじてもちこたえていたリーベルトの結界も限界を迎えて消えてゆく。


 コレはたまらん、煙いし臭いわい。

 密閉空間で爆発は失敗じゃった。これでは使い物にはならぬな。


「いきなり何しやがる!ビックリするじゃねえか!」


 ガンドが叫ぶ

 あまり大きな声を出すとリーベルトが起きてしまうぞ?


 スパーン!


 痛い、後ろから頭をはたかれたのじゃ。


「おお、リーベルトも起きた様じゃの」


「一体何をしでかしたのであるか!吾輩の結界が吹き飛ばされておるのである」


 リーベルトは魔術で空気を入れ替えながら説明を要求してきおった。

 面倒いのぅ。要点だけ伝える。ゴーレム吹き飛ばした、やり過ぎたと。


 早朝からまた説教が始まりそうな雰囲気じゃが……むむっ。


「それどころでは無い、あれを見よ。隣への通路が開いたのじゃ!」


「開いたって言うんじゃねぇ!吹き飛ばしただけだろうが! 」


 ガンドよ、そんなにカリカリしておっては良い歳の取り方ができぬぞ?


 そんな事より通路じゃ。擬似ダンジョンとの境は見事に崩れ落ちておる。

 他の壁は壊れないダンジョンの壁じゃからな。弱い部分に圧が集中した様じゃな。


 石壁で出来たこちら側とは違い坑道の様に見えるかのぉ。


「随分と古い様式の掘り方じゃねえか。恐らく1000年は前のやり方だぜ」


「坑道の奥からやって来る金属ゴーレムであるか。少し調査してみる必要があるかも知れぬのである」


 二人は興味津々じゃな。歳食って落ち着いたフリをしておっても中身は男の子じゃ。

 男の子ならこの状態で放置とゆう選択肢は無いじゃろう。

 ワシも引き篭もっておっても暇じゃしのぅ。ちょっとだけ覗いて見るのも良いかも知れぬな。


短編を投稿しました

宜しければこちらもよろしくお願いします。


ユニークスキルの中の人

http://ncode.syosetu.com/n7406dz/

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