1話/俺の日常
「日常という名の地獄にて」1話目を書かせていただきました。
沢山の人に読んでもらいたいです。
面白い作品を書けるよう頑張ります!
是非、最後まで読んでください!
よろしくお願いします。
日常というものは常に回っている。平日の日なんかは毎日毎日同じ時刻に起きては学校に遅刻している。これは俺の日常の一部。
日常というものは誰にでも訪れる。朝に山々を照らす朝日、昼に照りつける光、夜の空に瞬く星の光はみんなに等しく訪れる。
日常というものに対する人の考え方は人それぞれ違う。同じ一日でもその人によって、その日に対しての思いや考えは異なる。
なら、俺にとっての日常とはなんなのだろうか。
俺は問う。
自分に問いてもきっと答えはみつからないだろう。そして、俺の日常は他の人の目にどう写るかは分からない、もしかすると俺の日常は他人からしたら、「悲惨」だとか「残酷」だとか「幸福」なのかもしれない。だが、俺からしたらそれはそうは決して思わない。
なぜなら、それが俺の日常。つまり当たり前のようなものであるからだ。この日々が続いて当然。当たり前なのだ、とずっと思ってた。
今まで、俺の人生何も起きなかった。
ただただ、いつもと同じように何も起こらない日常が毎日過ぎていく。
いつからだろうか……これを日常と呼び、これが俺にとっての普通だと思えるようになったのは。
どうせ今日もつまらないのだろう。俺の日常は。
たまには、異常的なことが起こって欲しいものだ。例えば、ある日突然異能が使えるようになったりとか、異次元の世界に飛び込むとか。まぁ、あり得ないことだが最近そういうことが起きたらなぁと思うようになってきた。
異常が起きて欲しいと願いながら日々生きる俺。
これが俺の日常。
そんなことを思っていたらいつもどうり今日も遅刻した。俺は下駄箱に靴をいれると校内用のサンダルを出した。……あ。サンダルに画鋲が貼られている。
「ふっ。」
これもいつものこと。ただの日常の一部に過ぎない。
俺は玄関前の廊下をゆっくりと歩き、階段を上り、教室の前に来た。そして、教室に入る前に大きく深呼吸。
ガラガラガラ
ドアを開ける。クラスの中にいる全員が俺の方を向く。そして……
放たれる悪口、舌打ち。ーこれが俺の日常。
俺の日常は他人にどう写るのだろうか。少なくともこれが俺の日常であることは確かだ。
俺がこの時間に決まって遅れて登校して来る理由は朝早く来ると、授業開始までの数十分ボコられることになる。己を守るための知恵だ。
教壇を見たが、先生の姿は見えない。黒板には板書の跡があるから恐らくプリントや教材類をとりに研究室にでも戻ったのだろう。いずれ帰ってくる。
「死ねクーズ。」
おっと、先制攻撃か。声のする方向には決して顔を向けない。推測位置左斜め後ろ45度。またいつものやつらか。ちなみにこの推測能力も己を守るための知恵だ。
「ゴミ。」
「死ねー。」
「ブス!」
またいつもと同じようにやつらにいじられる日々。だが、ノープロブレム。
これも、スケジュール通り。俺の頭の中のスケジュール帳にはもうすでに組み込まれている日課だ。
ガラガラガラ
先生が来た。
いきなり俺の悪口がピタッと止む。ほう……やはり先生の絶対的権力を前に俺をディスることは出来ないのか。
「おーい。席座れ、今日も遅れてきたのか。早く席につけ。」
英語の授業の先生でもあり、俺のクラスの担任でもある。俺をいじるやつらへの唯一の有効手段、イジリキラーELがのってる。
「んじゃ、今日はここまで。」
先生が生徒に号令を促す。授業が終わった。
ならば、やることは一つしかない。
「先生。ここ教えて下さい。」
ふっ!敵わないだろう。先生によって俺は今守られている。
「お前は勉強熱心だな。毎回質問に来ないか?」
「勉強が好きなものですから。」
「……そうか。」
「……?」
「放課後、私のところへ来い。」
「えーと……?」
「決定事項だ。」
強制ですか。まぁ、どうせ暇ですが。
「分かりました。英研に行けばいいっすか?」
「ああ。それでいい。ではな。」
「……ウス。」
先生は教室を出ていった。やべ、先生に勉強教えてもらうの忘れた。今の俺はレベル1無課金ユーザー並み、もしくはそれ以下だ。
「おい。」
「……。」
課金勢か。
「おいおい、無視かよコイツー。」
「悪い子には罰を与えなきゃな。」
「そうだな………よっ。」
……ッ!!みぞに一発。これはなかなかキツいぞ。
「無言か?おい。」
「なんか言えよ!」
言うかっつーの。俺は昔は泣いたこともあったが今はもう防御力と耐久力には自信がある。
「……死ねよッ!!」
痛い。はぁ、骨がじんじんする。
助けて。……何て思わない。俺も別に助けて欲しいとか……もう、思わない。まぁ、それでも今日は結構ハードモードだ。早く帰りたい……あー、先生に呼び出されてたわ。
いつもと同様、今日も学校でボコられた。……体中が痛いし早く帰るか。
クラスの中で一番最後に教室を出る。これも俺の日常。
「いてて……。」
ひどく痛い部分をさすりながら俺は教室前の廊下を歩き出した。
……あぁ思い出した。呼び出されてたわ。
「めちゃくちゃめんどくせぇ。」
俺はくるっと体の向きを変えると英研にむかった。
「待たせて悪かったな。」
先生が来た。
「遅いっす。もう三十分も遅れてます。」
「悪いな。私はかなり時間にアバウトなんだ。」
はぁ?アバウト過ぎるだろ。おっと、危ない口に出すところだった。
「それでだな……お前、いじめられているだろ。」
「……はッ!!?」
話が繋がってない。あまりにも唐突すぎて驚いた。……えーと、どうやって答えるべきだコレ。
「いじめられているだろう?」
「いや、えっと俺は……」
先生の顔は確信に満ちていた。なんで俺がいじめられてるって分かっているのに助けてくれないんだよ。このクズ教師!!
「ほう、そういう反応をするってことはいじめられているんだな。」
「……。」
何も言えなかった。
「ちょっと来い。」
そう言うと先生は俺の手首をガシッとつかんで無理矢理引っ張った。
「ちょい……せ、先生!!」
これが世間で言うところの駆け落ちってやつ?
「お前、この学校にある開かずの部屋って知ってるか。」
あぁ、開かずの部屋か……。それなら、ちょっと昔に俺の後ろの席に座っている女子たちが話しているのが聞こえて初めて知った。
この学校にある今はもうほとんど使われていない北校舎。その三階の一番隅にある部屋は鍵と鎖で固く閉ざされていて誰も入ったことがない。……らしい。 そしてその部屋を開かずの部屋って言うようになった。っていうやつ。
「知ってますよ。……それが何か?」
「これから行くぞ。」
「嫌です。」
絶対に嫌だ、胆試しかよ。
「いいから。とりあえず来い。」
「えぇー……マジですか。」
俺は先生に無理矢理引きづられて開かずの部屋へと連れていかれたのだった。
……なんだか、俺の日常が異常へと変わるかもしれない。
そんな、気がした。
ありがとうございます。
色んな人に読んで頂きたくて書き始めたので、こうして読んでいただけるのはとても幸せです!
是非、2話目も書こうと思っているのでよろしくお願いします。