なんとなく、
思い出したんだけど
東京の小学校に転校したとき
勉強が遅れてて、
貧乏で、
片親で、
苛められたって、
ずっと、
思ってた
もしかしたらだけど、
もしかしたら
なんだけど、
あれが、
原因かもしれない
朝子、
勉強が遅れてて
担任の先生が手作りの
「さんすうドリル」
「こくごドリル」
作ってくれて。
毎日、宿題の他に
それ、やっていった
こくごは特に漢字が分からなくて
教科書の端から端、
漢字だけ
毎日、書き出して
練習してた
勉強、好きだった
いや、
知らないこと
知るの好きなんだ、
今も、
原因
たぶん、
カンニング、
いや、したほうやなくて
しなかった、、、
国語のテスト中
先生が、教室をちょっと出た
そのスキに、テスト見せっこ
してはった、
漢字、
川に、靴が片方[なが]れた。
[流れる]って、字
みんな、分からなくて
頭のいい子に聞いてはった、
朝子にも、マネするように
教えてくれた。
だけど、朝子
前の日に(流れる)
練習したばっかで、
頭のいい子の答えが
間違ってること
知ってた。
だから、
マネしなかったん。
みんな、同じ漢字で間違えて
先生 カンニングあったこと
見抜いた
その中で、
朝子だけ正しい漢字、〇やった
うんと、先生、
褒めてくれた。
嬉しかった。
今、考えると
あれかもしれない
あの時、
カンニング一緒にしたら
仲間になれたんかもしれない
間違えてることに
気がついても
仲間になるためには
間違ってることにも
手を貸さなきゃ
イケないのかも
しれない。
「その、答え違うよ?」
言わなかったのも
いけなかったのかも
しれない。
でも、
言えないよ
勉強、遅れてるから
の
ドリルだもん
先生が
朝子にドリル作って
特別扱いしたんも
いけなかったのかも
しれない。
誰かの
特別に
ならんようにしたら
苛められないんかもしれない
そう、思った、
なんとなく、