Quest3 初めての
とりあえず、これでエリュシオン・オンラインの話は終わり。
次回からやっと本編へ入ります。
「手加減ってなんだろね?レイヤ君」
シレンがコロシアムの控室でレイヤに問い掛けた。
「手加減は手加減だろ」
「うん、だね。それで?手加減してあれ?」
「イエス。その通り」
「バッカなのかな!?やり過ぎだからね!?【黄泉渡り】とか模擬戦で使う技じゃないよ!?」
シレンが叫ぶ。だがそれはシレンにも言えることだ。固有秘奥なんてそう使うものではない。それこそ、インフレプレイヤー向けレイドボス通称インフレイドボスや世界大会の決勝トーナメントで使うようなものだ。
それに比べれば一応ユニークアビリティの【黄泉渡り】のほうがまだいいほうである。
「それより……俺は約束があるから行くぞ。またな」
レイヤはそう告げると、控室のクリスタルに触れ、外に出る。
スーッと息を吸い込み、コートの裾を翻し歩き始める。向かう先はフレイヤード広場英雄像前。
遠巻きに見てくる視線を無視して、レイヤは英雄像に寄りかかっていた。
19時30分まではまだ少し時間がある。
適当に暇を潰そうか、そう考えていたとき、声を掛けられた。
「あの……姫神くんだよね?」
「ん?ああ……なが……リリスか」
声を掛けてきたのはリリス。
つまり、長門穂熾である。
「あ、やっぱりそうなんだ…」
「?よく分からないけど俺だぞ?」
レイヤは穂熾の言葉の意味を図りかねた。
「まあ、取り敢えずヨロシクってことで。どっかの常駐レイドボス攻略でも行く?」
「ううん、遠慮させて。邪魔するのも悪いし」
「邪魔?どういうことだ?」
「私達みたいな低層プレイヤーとやってる暇無いんじゃないかなと思って…それにフレンドさんとやるんじゃないの?」
「別にそんなこと無い。
第一、基本ソロだからな、俺は。まあ、んな事は気にしないでなんかしようぜ」
レイヤはそう言うと、穂熾達にフレンド申請とパーティー申請を行った。
穂熾は一度、躊躇うがそれを承認する。
レイヤが始めてリアルの友人とパーティーを組んだ瞬間であった。