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プロローグ 百回目の転生と……

新作です!

よろしくお願いします!

 およそ、15年前。日本でとあるゲームハードが発表された。その名は『CHAINGEAR』。昔から数多の創作物で登場してきたフルダイブ型ゲーム、それを実現させるものである。

 発表当初、それは批判と賞賛という対極にあるものを同時に受けた。批判は『脳に異常を齎したり、妄想との乖離ができず現実で犯罪を犯す』などと脳の硬い者たちから、賞賛は俗に言うオタクやゲーマーから『夢が叶った、ありがとう』というように受けた。たしかに前者の言うことも一理ある、が発表にあたって開発元は異常と言えるような検査や実験を行ってきた。

 それはただ夢を叶えたいというゲーマーそして開発者としての執念の結果とも言えるものだった。

 さらに、開発元は反論を黙らせる発表を行った。

 それは、医療にも使えるというものだ。昔も今も老人というものは若者の娯楽特にゲームなどには偏見を持っていた。つまるところ、批判にはこういった事情も含まれていたのだ。

 だが、それを医療利用もできるとすれば大きな批判はできない。危険というのは兎も角として、犯罪を促進するというのは多少ではあるが口をつぐまざるを得ない。

 それに、ゲームとはいうものの中には各種職業を体験するようなものや職業訓練を行えるようなものもリリース予定であった。


 そして、開発元は安全性を保証した上で1年後に発売を行った。




















 ◇◇◇◇◇


「だからさ、運営やりすぎ」


 長めの黒髪の青年が紅く禍々しいオーラを纏う銀の刃紋を持つ黒刀を納めながら呟いた。

 青年の前には百腕の黒き巨神が斃れ臥し、無限ともいえるような数の金貨や財宝が虚空から流れ落ちている。その様子を見ながら青年は数十秒前まで行われていた戦闘を思い出した。

 どこの弾幕ゲー?と問い質したくなるような物理と魔法攻撃の連射。それを避け終わったと思ったら突然起きるフィールド変化。滅多なことではダメージを受けない青年も幾度となく死にかけた。さらに、使うことはないだろうと思っていた固有秘奥(オリジン)の1つを使うこととなってしまった。

 そして、このセリフからわかる通りこの青年はCHAINGEARのソフトである【エリュシオン・オンライン】というゲームのプレイヤーである。


【エリュシオン・オンライン】。

 それはCHAINGEARが発表された九年後、今から六年前に発売されたMMORPGである。発売即日で全てが売り切れ、六年が経った今でも新規ユーザーが多い超人気作だ。

 その内容は中世ヨーロッパをモチーフとした剣と魔法のファンタジーであるが、人気の理由はそれだけではない。人気の理由は自由度の高さにある。ほぼ無限とも言えるような膨大なクエストは勿論、数万……有料拡張パックを含めれば十数万にもなるキャラメイクパーツに、新たな金属を創り出せたり、魔法などの改良や開発ができたりなど、知識があればなんでもできる自由さが国内外を問わず人気を博した。さらに毎年四回のペースで大型アップデートが行われるなど運営の熱心さも理由となるだろう。

 しかし、人気の一方で批判もある。それは一部プレイヤーのインフレや技術独占が原因である。が、それは運営のせいでもなくただやり込めばそこまで行けるため、一部のプレイヤーの戯言でしかないと多くの者が無視している。

 確かに、インフレは起っているが、時折行われる大会の迫力はそれに比例して大きくなるため、楽しんでいるもののほうが多いのだ。



 そして、この青年。

 キャラネーム【Reiya】はその一部のインフレプレイヤーの一角を担う者であり、トップを独走する最古参プレイヤーである。

 因みにキャラの顔だが、これはレイヤ……本名、姫神澪夜が面倒臭がったため、読み込ませた自分の顔写真から最も近いパーツを自動配置したものであり、目の色を除けば姫神澪夜本人と瓜ふたつである。

 つまり、昔からどの様なメイキングをしたんだと訊かれるほどに整った怜悧な面立ちのこのキャラはリアルに同じ顔の人間がいることを示していた。


 レイヤは黒き百腕の巨神のドロップアイテムなどがインベントリへ収納それたのを確認すると奥にある祭壇へと歩みを進めた。そして、そこにある蒼い水晶に触れ、浮き上がったボタンをタップする。


 眩い光がレイヤを包み込む。

 光の中でレイヤは目を瞑る。この光は何度やっても慣れない。心のなかで呟く。


 数秒して目を開くと、レイヤがホームタウンとしている【アテナスレイク】の転移門前へと景色が変わっていた。プレイヤー達で賑いを見せる街を見て、レイヤは口元を緩めると、マイホームへと戻る。

 そこで行うのは手に入れた黒き百腕の巨神のドロップアイテムを使用した武装の強化だ。その為のデータ作成はあらかじめ済ましてある。

 その後は待ちに待った百回目の転生である。

 レイヤの足取りは自然と軽くなっていった。



















 ◇◇◇◇◇

 数時間が経ち、レイヤはアテナスレイクの神殿に来ていた。武装の強化も完了し、転生を行うためだ。

 その為、レイヤは非常に楽な格好をしている。



「ようこそ、レイク神殿へ。

 どの様なご用件でしょうか?」

「転生を行いにきた」

「畏まりました、ではこちらへ」


 レイヤは神殿の神官に続いて神殿の最奥の【転生の間】へと入る。床に魔法陣が描かれ真ん中に祭壇のようなベッドのある神聖な雰囲気の漂う部屋だ。


 レイヤは手慣れた様子でベッドに横になり、操作を行う。


「転生先は……【!?#人族】?バグってんのか?まあ文字バケなら今までもあったしな…これで決定と」


 レイヤはただ1つだけ表示された転生先を選択する。

 そして……瞼を閉じる。転生すると一時的にログアウトしなければならなくなる。

 自動ログアウト……リアルに戻った澪夜はそのままリアルでも眠りに就いた……

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