表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

生贄魔王



やあやあ。俺は魔王だ。

って帰んないで皆!!!

そして救急車呼ぼうとしないで!!!

ごほん…さて、気を取り直して、俺は魔王。転生者だ。いつも俺は脇役…友達の恋路を手伝ったりしていた。

そして俺の死因が…妹の彼氏のそのヤンデレに何故か殺されると言う理不尽な死に方をしたんだ。

俺…関係無くね?そりゃ、妹の彼氏は俺の親友で、俺と遊んでる内に出会ってたよ?そして親友が俺の妹と付き合い始めたって聞いて先にリア充になりやがってとか思ってたよ?あいつと妹が付き合う原因が俺って言うことは分かってるよ?だけど酷くね?ボクチン泣きそう…

なんて前世の事はどうでも良いね。それより転生させた神様だよ。マジで理不尽だ…

転生したのは良いのだが、神に「お前は死する運命だ」とか「伝説を作り出す為に転生させる」とか言われたら神に対して「お前神じゃなくて紙じゃね?」って言いたくなったさ…

そして、今日は俺の命日だ。今日勇者がここに来るらしい。やっぱり神も理不尽なら世界も理不尽だ。俺等魔族は何もしてはいない。そして魔物も作り出してもいない。そもそもこの世界の魔物は人間の汚れた心が集まって出来た化け物であって我々魔族の敵でもある。

それなのに全ては俺たち魔族が悪いと思い込み、魔王討伐隊を編成した。その中に勇者が居るらしい。

どうせだ。最後まで踏み台として生きて行こうじゃねぇか!!!と意気込んで今滅多に使わない玉座に座っている。

この城には俺以外誰も居ない。ここに居た者達は皆逃がした。皆泣いて嫌がったが無理やり転移させた。あいつらは出来の悪い俺を慕ってくれた。尊敬してくれた。だからここで死なせるわけには行けない。俺の道連れなんて死に方なんて俺が認めない。

ここで死ぬのは俺一人。悲しきかな…自己犠牲は耳障りがいいだろうが残される側は凄く悲しいのだ。だが、俺は満足している。

だけど一つ心残りなのが童貞を捨ててない事だな。婚約者すら居なかったし、前世は他人の恋路を手伝う事に精一杯で自分に関しては何も出来なかったからな。

…だが、俺の人生は今ここで終わる。生と言う概念から逃れられる。母さん、父さん。不甲斐ない息子でごめんなさい。別荘で幸せに住んで下さい。そして弟よ。良い王となってくれ。部下に関しては問題無かろう。皆優しい上に頼れるからな。



________________________________

玉座へと続く扉が開く。二人でやっと開く扉を勇者はたった一人で開く。

勇者の姿はフルフェイスの鎧でありながら機能美に長けているように見える。


「勇者よ。良く来た。我が魔王だ。さて、貴様は我に何を望む?富か?」


「…」


魔王は良く透き通る声で勇者に聞いた。だが、勇者はなにも答えずに剣を抜いた。


「…言葉は不要か。戦いの場には言葉は要らないと言うのだな。」


「…」


「良いだろう!!!来い勇者よ!!!我が屍を超えて行け!!!」


魔王の言葉が発破となり、戦いの火蓋が切って落とされた。

勇者は聖剣で魔王に斬り付ける。だが、魔王は自身の魔力を剣として具現化し、その斬撃を弾き返した。

そして一瞬。ほんの瞬きの瞬間に十の斬撃が飛び交った。白い剣閃が飛び交い、火花を散らす。

お互いに一歩も譲らない戦いが続いた。均衡が保たれていたが、その均衡は唐突に崩れ去った。

魔王が急に膝をついたのだ。


「ぬぅ!!?」


何故、そんな事を考えるがどんどん体から力が抜けていく。

その現象に魔王は身に覚えがあるのか驚きの表情となっていた。


「吸収…だな?流石勇者だ…戦いながら魔法を無詠唱でやるなど。」


表面上なんとも無さそうに見えるが、魔王は既に指一本動かせず、魔力切れにより猛烈な睡魔が襲っている。

もう既に根性で喋っている状態なのだ。


「なあ勇者よ。そなたは我に…いや、もう隠す必要はねぇな。死ぬんだし…」


既に諦めた様子で魔王は勇者に言い放つ。


「お前は俺に何を求めた?いや、世界に何を求めた?」


「…」


「…何も言ってはくれねぇか…ただの人形に成り下がったか?まあ、どうでも良い。どうせ死にかけの俺の言葉なんてなんも意味はねぇもんな。」


魔王の目から涙が零れた。


「ひでぇよな。神様も世界も、俺を道具としか思ってねぇんだ。いつも脇役ばっかで疲れたよ。そして最後は他人の踏み台となって死ぬ。理不尽極まりねぇよ。俺はあいつ等との生を望んだのに、それすら許されねぇのかよ…」


魔王の口からポロポロと愚痴が零れ落ちた。


「…もう疲れたなぁ…勇者…俺を殺せ。もう、俺の役目は終わったんだ。どうせなら、ひと思いに殺ってくれ…」


その魔王の言葉に従う様に、魔王に近付き剣を振り上げる勇者。

そしてその剣は振り下ろされた。その剣は早かったが、魔王にはその剣がゆっくりに見えた。

今までの日々が走馬灯の様に思い出された。父母と暮らした日々、友達とバカをやった日々、友達の恋路が成功した時の喜び、そして転生した後、皆の努力に報いようと頑張った日々、部下が結婚した時にやったパーティー、そして民の笑顔等々、色々な思い出が出ては消えた。


「ああ…死にたくねぇなぁ…」


最後の最後で自分の本心が現れた。だが、その本心は、淡く消え去った。

魔王の胸に、十字の剣閃が描かれた…




ヤンデレ勇者系作ろうとしたらなぜかこうなった。解せぬ。

絶対次は書く。ヤンデレ絶対書く。

続きは無い。だって死んじゃったもん。

多分ちょっと追加あると思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ