秋の日
雨が上がった
空は一段高くなり
空気がリンと澄んでいる
金色の日光が
金色の田んぼに
暖かく降り注ぐ
稲穂は重く稔り
刈り入れを待っている
秋の花々が
待ちかねたように
色とりどりに開いている
初めて来た町なのに
車窓には懐かしい風景が広がる
どこか故郷の町に似ている
ああ
秋は豊穣だ
ああ
それなのに綺麗な景色をあなたに見せてあげられない
ああ
初めての町のお土産をあなたに食べさせてあげられない
ああ
こんなに空気が綺麗で
どこまでも見渡せそうに澄んでいるのに
どちらを見ても
あなたが見つからない
いつもあなたの座っていた
お父さんの後ろ
お母さんの隣の席はぽっかりと
空いている