08
怪我こそ少なかったものの、その日はそのまま休むことになった。
ジョンも魔法の授業を明日からとして、その日は分かれていった。
そして、次の日になり家族とティンと共に過ごしていた時にジョンは家にやってきた。
ジョンは両親に話をして、俺に魔法の才能があることとそれで魔法を教えてくれることを説明してくれた。魔法の才能があることを両親はとても喜んでくれた。
そして、両親が畑仕事に向かうとともに、魔法の講義が始まった。
ジョンを前にしてレヴァンが座り、ティンもそれを覗き見るように脇から眺めていた。
「まずは改めて自己紹介をしておこう。俺の名前はジョン・ハンター。王立ヒルデガルド魔術学園の高等部に所属している学生だ。実家は男爵で一応貴族に分類されているが気軽に師匠って呼んでくれ。」
貴族であることに少し驚きもあったが意外に気さくである。
「はい!師匠。よろしくお願いいたします。」
「意外にいいもんだな。その呼ばれ方。」
何か感じたのか、師匠は悦に浸っていた。
すると脇から見ていたティンがその話を聞きながらレヴァンの隣まで来て座り込んだ。
「レヴァン、私も魔法習いたい。」
ある意味予想していたことであった。
「ジョン師匠。お願いしてもよろしいでしょうか?」
「こんなところでの講義だ。生徒が1人でも2人でもそんなに変わらないから大丈夫だ。」
「ありがとう。ししょう。」
こうして、レヴァンの家では三人だけの魔法講義がはじめられた。
「さて、魔法がどのようなものなのか説明から始めていくか。魔法というのは事象を理解して、魔力を持ってその事象をイメージした通りに歪めていく技術である。歪める内容が少なければ少ないほど魔力消費は少なくて済む。そのために、正しい事象の理解とイメージする力が魔法の習得には必要である。」
想像することで、その想像通りに事柄を歪めていく。
簡単に言えば魔法というのはそういう技術であるという。
「ただ、君たちは幼くて明確な理論を説明してもわからないはずだ。正しい事象の理解は後回しにしよう。多くの魔力を使ってでもイメージする魔法を発生させるようにしよう。」
師匠は恐ろしいことをさらっと言った。
事象の理解。魔法ではそれが重要であるといったのにそれを後回しにするというものであった。
「いいんですか?事象の理解を後回しにして。」
「いい。事象の理解は正直に言えば、わかっていないことの方が多い。自分で考えてそれをイメージすることの方が君たちには向いているだろう。イメージする力を大きくしてより魔力を多く使っていった方が成長につながるでしょう。」
こうして、正しい事象の理解を置いて魔法の特訓がはじめられた。