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ファンタジーにおける科学論  作者: 犬養 黎也
第一章 村での生活
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04

 「しばらく、預かることになったティンだ。」


 父さんがティンを連れてきた。

 

 「どうして、家に?」


 「すまないな。ローガンが買い付けから帰ってくるまでの一月の間だけ、預かるように頼まれた。レヴァン。仲良くしてあげるんだぞ。」


 俺には詳しい話をしてくれなかったが、母さんとの会話で聞きかじった限りでは、ティンの両親は商人で大きな町で買い付けをおこない、自身の商店で商品の販売を行っているようである。しかし、ティンが生まれてからはしばらくは町の方から行商人を呼んで販売を行っていたらしい。しかし、思っていたよりも高くついてしまい買い付けを再開しなければならないようであった。しかし、幼いティンを連れて買い付けを行うことができずそこで内に相談してきたそうである。ティンを預かる代わりに税以外の農作物を高値で買ってくれることになっているらしい。


 「レヴァン。家も農作業の差異にはお前しかいないから、何かあれば必ず知らせるんだぞ。」


 「そうよ。ティンちゃんは女の子なんだから、男の子であるレヴァンが守ってあげるのよ。」


 両親に釘を刺され、ティンの面倒を見ることになった。


 「レヴァン。どうしようか?」

 「そうだね。どうしようか。鬼ごっこでもしないか?」

 「おにごっこ?」


 ティンは鬼ごっこを知らなかった。よく考えたら、鬼っていうのがいるかもしれない世界でそんな物騒な名前を使うのはまずかったかもしれない。


 「追いかけっこだよ。まずは僕が逃げるから、ティンはそれを追いかけるんだ。僕にタッチすることができれば交代して、次はティンが逃げる番。それを僕が追いかけるよ。」


 当たり障りの内容に説明を変え、鬼ごっこもとい追いかけっこを始めることに

 「タッチ。次はティンが逃げる番だね。」


 そう言い残すとティンは大急ぎで走り出していった。初めっていう前に不意打ちで捕まってしまった。


 「って!ティンずるいよ。まだ説明の途中だったのに。」


 「すぐに追いかけたらつまらないから少し待ってから追いかけてね。」


 そう言い残すとティンは大急ぎで走り始めた。


 「ちょっと待ってよ!やっぱり10秒数えてからにしないと…」


 そして、僕とティンの追いかけっこが始まった。


------------------------------------------- 


 「ティンって足が意外と速いな。」


 外で遊ぶことの少ないレヴァンはあまり体力が多いとは言いにくかった。ティンを見失いどちらに走るか悩んでいると、不安がよぎっていた。この村は非常に田舎であるが村の領域がある。その外に出ることになると獰猛な動物がいると父に注意されたことがあった。遊ぶのは村の中で遊びなさいと。今いるのは村の領域の中でもその境に最も近い場所。いつもなら絶対にこんな境に近い場所には来ない。さらにティンが走って行った方向はそのさらに外側の方向であった。


 まさか、まさかまさかまさかまさかまさかまさか!


 不安とともにティンを見失った方向に走って行った。

 

 



















 しばらく走るとティンがいた。


 「レヴァン。遅いよ。」


 ほっと安心してしまった。まだ出会って2回目でもまた幼馴染を失うのではないかと思うと不安になってしまった。

 

 「きゃーーーーーーー!」


 しかし、そんな淡い希望は少女の叫びとともに打ち消されてしまった。

 今まで走っていた方の道から大きな動物が現れた。クマのような体、しかし植物を背負いまるで体の一部のように植物の蔓を動かしていた。その様子はまるで魔法であった。

 見ればわかる。友好的な存在ではない。まるで俺たちを食べるために現れたようであった。

 せめて彼女だけでも救わなければ。必死に頭を回転させていた。

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