夢現 その5
投稿はこれで7回目になります(*^x^*)
《 2014/05/31/SAT 修正及び加筆完了です(*・x・)ゝ 》
「人間の領域に我々が侵入すれば……それだけで問題になる」
私から視線を外したアンダーさんは怒りを湛えた漆黒の切れ長の瞳でシャインさんを睨み付けています。
「剰え人間と我々が干渉すること自体あってはならぬことなのに……あんたはこんな人間を嫁にするなどと馬鹿げたことを……」
先ほどの底冷えのするような冷たさとは違う、怒りを湛えた嫌悪の眼差しまで向けられ、私は怖くて怖くてぷるぷるとただ震えることしか出来ません。
不意に私の目の前に包帯代わりの布で覆われた大きな背中がアンダーさんの視線を遮ってくれました。
「彼女は私の命の恩人だ。それ以上の無礼は例え君が弟とて容赦はしない」
とても頼もしいお声が聞こえ、私はシャインさんがアンダーさんの視線から守ってくれたことに気が付きました。
大きな背中を見つめながら私は胸の奥がきゅんとしてしまいます。
彼に守ってもらえたことが嬉しくて、とても安心出来る気がしました。
「……っ、とにかくあんたの墜落による痕跡は全て消させてもらう……その人間の記憶もだ……例えあんたでも長の命には従わざる負えないだろう?」
突然、苦しそうに顔色を変えたアンダーさんはお顔を背けましたけど、しぼりだすように言った彼の『長の命』と言う言葉に今度はシャインさんの背中が動揺するようにびくりっと震えました。
先ほどまで感じていた安心感が薄れ、不安が過ぎります。
「長の命でも……私は……」
明らかに狼狽えたような声音でシャインさんはアンダーさんからお顔を背けたから、後ろに居た私は彼のお顔を見ることが出来ました。
とても苦しそうなお顔に私の不安はどんどん膨れ上がってしまう。
「これは決定事項だ。例えあんたでも覆せるものじゃないのはあんたが1番理解してるだろう?」
立場が逆転したように、アンダーさんはぐっと拳を血が出てしまうくらい強く握り締めて俯くシャインさんを一瞥すると横を通り過ぎ、私の目の前に来ました。
シャインさんは……動きませんでした。
アンダーさんの底冷えするような優しさの欠片もない冷たい瞳に見下ろされ、私は後ずさりしてしまう。
すごくこわい……おねがい……たすけて……シャインさん。
怖くて、助けてと言う言葉すらもぅ口から出てこなくて、視線で背を向けて立ち尽くすシャインさんに助けを求めても、彼が振り返ってくれないことはもぅわかってた……わかってしまいました。
このまま無情にも記憶を消され、私の初恋は……シャインさんへの想いは消えてなくなってしまうのかと思ったら、ぽろぽろと涙が溢れて止まりません。
「痛みはない……ただ、今日起こった出来事を全て忘れるだけだ」
アンダーさんの瞳に動揺の色が少しだけ、垣間見えたけどすぐに無表情に戻り、記憶を消すために私の頭に手を伸ばしてきました。
私はぽろぽろと涙を溢したまま動くことすら出来ずに伸ばされる手を呆然と見つめます。
アンダーさんの手が頭に触れる寸前に私の意識はプツリと途切れました。
修正及び加筆の結果すごくシリアス風味になってしまいました(;_>x<)_