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夢現

初投稿(*^x^*)


《 2014/05/20/TUE 修正及び加筆を加えました(*^x^)ゝ 》

私は目の前の状況に大変困惑しております。


大学の講義のあとにアルバイトをして、帰宅する頃にはもぅへとへとですぐにベッドに倒れ込むようにして眠ってしまった記憶があるのですけど……この状況は一体全体何なのでしょう?


誰か教えて下さい!?


………

……


ふぅ……落ち着くために目を閉じて深呼吸してみましょう。


ドキドキする胸に手を当て、大きく息を吸って吐いてからゆっくりと目を開けます。


困惑の原因が消えてないことを確認しました……はい、現実ですね。


とりあえず、自己紹介と状況説明をさせていただきますね?

私の名前は龍堂渚りゅうどうなぎさ大学2年生です。

私の情報はこのくらいで……え? 少ない? 気にしないでください。


そんなことより状況説明をさせてください。


えっと……頭がおかしいとか思わないでくださいね?


ベッドに倒れ込むようにして眠ったあと、暖かな日差しと気持ちのいい風を感じました。それからすぐ近くに葉っぱの匂いもするんです。

私が眠ってから少しも経ってないのに朝になるなんておかしいです。

そもそもベッドに寝てる私にお日様の日差しも気持ちのいい風も感じられるはずがありません。葉っぱの匂いなんて論外です。


……だってここ室内ですよ?


確かめようとぱっちりと目を開けて見えたのはベッドの真っ白なシーツではなく日差しを浴びてきらきらと輝く芝……葉っぱの匂いの正体はこれですね。

体を起こして周りを見渡せば私は木々に囲まれた森の中に居ました。

気持ちのいい風が吹くたびに木々は揺らめいて木漏れ日が降り注ぐ心地の良い場所

……ここでならよく眠れそう……いえ、何でもありません。


いきなり森の中にポツンと一人っきりとかこれはきっと夢ですよね?

きっと頬を抓っても痛くないはず……試してみましょう。


「……痛い」


頬を抓ってみたら痛かったです。


頬をさすりながら立ち上がると突然、日差しが陰ったように辺りが暗くなり、何だろうと思って上を見上げたら、何かとても大きなものがこちらに向かって落ちてきます。

あまりのことに状況も飲み込めずにポカーンと見つめることしか出来ず、大きなものは轟音を響かせながら木々を薙ぎ倒し地面を深く抉りながら迫ってきて、あと僅か数センチというところで止まりました。

その時になって、一歩間違えればこの大きなものに巻き込まれ、危うく命を落としかけるところだったとようやく気付いた私は、ぺたんと地面に座り込んでしまいました。


混乱と恐怖と安堵がごちゃまぜになった思考で乱れた呼吸と心音をなんとか宥めるまでが冒頭の状況説明になります。


ご理解いただけましたか? え? わからない? はい、私もです。


………

……


少し落ち着けました。そぅいえば何が落ちてきたのでしょう?

私は恐る恐るお顔を上げると目を大きく見開いて驚きに固まりました。


とても大きな巨体を覆う鱗が黄金色に輝き、蝙蝠の羽のような翼が生えています。

ぺたんと座り込む私の目の前にあるのは頭、大きな口から見えるのは鋭い牙です。

気を失っているようで目は閉じられてますけど……この姿は間違いなくファンタジーに出てくるようなドラゴンです!


まさか、実際にドラゴンさんを間近で見るとは夢にも思わなかったので感動にぷるぷる震えてしまいます。


感動も束の間、せ返るような血の臭いに思わず口元を押さえました。

あまりの状況に麻痺してた嗅覚が落ち着いたことで認識出来てしまったようです。

……気持ち悪い。


口元を押さえたままドラゴンさんの怪我してる箇所を探したのですけど見当たりません。

他に考えられるのはお腹……ここまで噎せ返るような血の臭いがするなら地面は血の海に……うぅ……想像するんじゃなかったです。

恐る恐る足元を見るけど抉れたままの地面には血が流れてる形跡はなく私はほっと胸を撫で下ろしました。


となるとどこを怪我してるのでしょう? 頭から尻尾の先までひと通り見て周れるところは見たはずなのに……そこまで考えて気付きます。

私はドラゴンさんの周りばかりを見てたけど肝心な所を忘れてました。


そぅ、背中です。


ドラゴンさんの背中は例えるなら私のお家の玄関から2階の窓を見上げるような高さにあります。

……はっきり言って見えません。どぅしましょう?


こぅなったらドラゴンさんによじ登って背中を見ようかと思案しかけた時、黄金色の光がドラゴンさんの巨体を包み込んで徐々に小さくなるとてもファンタジーな光景を目の当たりにしました。


眩い光に目が眩みそうになりながらも手を翳して耐えながら凝視してしまいます。

はじめは間近に居た私まで飲み込むほどの大きさだった黄金色の光は人の形まで小さくなり弾けるように消えました。

光の消えた先には人間の男性がうつ伏せで倒れてる姿が目に入ります。

十中八九さきほどのドラゴンさんですね。


胸に手を当てるとドキドキと高鳴ってます。

私は不謹慎にもドラゴンさんが人間の姿に変身するファンタジーのような光景に興奮してしまいました。

間近で感じた黄金色の光はとても暖かくて心地よかったです。

……そんなことよりドラゴンさんの怪我を見るのが先決ですよね? すみません。


恐る恐るドラゴンさんに近付き、背中を見ると純白のマントには鋭い爪で切り裂かれたような痕があり血がにじんでます。

私は口元を押さえたままマントを外して直に背中を見て後悔しました。


背中は真っ赤な血で染まってました……酷い怪我です。


は、早く何とかしないと……


焦る私の脳裏にこの森に止血効果のある薬草が生えていることが浮かびました。

幸いこの場所から近い場所に群生しているのですぐに薬草を掻き集めることが出来て、手近な所に小川も流れてたので大きな葉っぱに水を汲んで用意することも出来ました。


大きめの石で薬草を磨り潰し水を加えて練れば止血効果のある塗り薬が出来上がりました。葉っぱに包んで乾燥しないように日陰に置いておきます。


まずは傷口を綺麗にしましょう。


血を拭う布のようなものはないかと辺りをきょろきょろ見回したけど森の中なのであるはずもなく、私は困ってしまいました。


このままではドラゴンさんが……焦りに両手でスカートをぎゅっと握り締めてはっと気付きます。

お顔を下に向けると肌触りがとても良い上等なドレスに目が止まりました。

スカートは足をすっぽり覆ってるからロングドレスですね。

これなら血を拭うのに使えるし止血したあとの包帯代わりにもなります。

綺麗なドレスだけど背に腹は代えられませんね。


小川で拾った先の鋭い石でドラゴンさんの傷口の周りの服を切って取り除きます。

はっきりと傷口を確認して思わず顔を顰めるけど躊躇してる暇はありません。

すぐにスカートを鋭い石で引き裂くと水で湿らせて傷口の血を拭います。

すぐに布は真っ赤になってしまうから数回同じことを繰り返してようやく薬草が塗れるくらい綺麗になりました。

血に染まった手を水で洗い流してから葉っぱに包んだ塗り薬を傷口にたっぷりと塗り込めば無事に止血が済んで一先ずは安心出来ました。

汲み直した綺麗な水に布を湿らせて残った血も拭き取ります。

今度は包帯代わりなので大分長く引き裂くと、見るも無残なボロボロのスカートから出てる足は太ももまで見えてしまっているけど仕方がないと割り切りました。


ドラゴンさんの体を何とか持ち上げ、四苦八苦しながら傷口に包帯を巻き終えました。これでもぅ安心です。


あとはしっかりとした病院で診てもらえばすぐに……あ、ドラゴンさんは止血してしまえば血の効力ですぐに傷口が再生するから大丈夫でしたね。


「……あれ? 何で私、そんなこと知ってるの?」


何故、私はこの森に止血効果のある薬草があることを……ドラゴンさんが止血してしまえば血の効力ですぐに傷口が再生することを……知っているのでしょうか?


答えの出ない考えに頭を悩ませていると、隣から「……うぅ」と呻く声が聞こえ、お顔をそちらに向けるとうっすらと開かれた黄金色に輝く瞳とばっちり目が合いました。


ドラゴンさん……いえ、今は彼と言ったほうがいいですね。


太陽の日差しを浴びて輝く金髪のセミロングの隙間から見えた黄金色の瞳に私は見惚れてしまいました。


彼の瞳に吸い込まれてしまいそうだと錯覚すら覚えるほど惹きつけられてしまう。


……なんて綺麗なのでしょう。


私が見つめてるように彼も私を見つめてる……しばらく黙ったまま見つめ合っていました。


………

……


彼が何かに気付いたように腕に力を込めて起き上がろうとします。

手当てをして血は止まったけど、あれほどの酷い怪我がすぐに再生するわけもなく激痛にお顔を歪めるので不安になりました。

まさか……傷口が開いたのではと背中に巻かれた包帯を見るけど血が滲んでる様子はない、彼も起き上がることを諦めたようでほっと胸をなでおろします。


「君が……手当をしてくれたのか……?」


私の耳に染み込むように浸透するなんとも素敵なお声に頬が熱くなるのを感じながらもこくんっと頷きました。


「このような格好で礼を言うのも……心苦しいが……助かった……ありがとう」


起き上がれずにうつ伏せの格好のままお顔だけをこちらに向けてお礼を言うことに葛藤があるようで申し訳なさそうな表情をする彼がさっき起き上がろうとした理由にも気付きました。


それ以上に私を惹きつけたのは『ありがとう』と黄金色の瞳を細めて口元を柔らかくした微笑みを浮かべる彼のお顔。……胸がきゅんってしちゃいます。


「い、いえ……怪我してる人を助けるのは当たり前のことですから……」


私はさっきよりも頬が熱くなるのを感じました。

頬だけでなくお顔中が熱くて真っ赤になってそう……恥ずかしさにしどろもどろに返した私はお顔を真っ直ぐ見れなくて俯いてしまいます。


心音もドキドキと高鳴ってます。


微かに彼が笑ったような気がして俯いたお顔を上げたけど怪我の痛みとそれに伴う疲労で気を失ったようです。


黄金色の瞳は閉じられた瞼で見えなくて、少し開いた唇は小さな呼吸を繰り返しています。じっと彼の寝顔を見つめてしまいます……見惚れるくらいに本当に綺麗。


……彼に触れてみたい……


無意識に手を伸ばしていることに気が付いてすぐに手を引っ込めました。


あぁ……なんということでしょう……私は……彼に……


「一目惚れしちゃった」


今までにないくらいお顔が熱くなるのを感じて私は両手で頬を押さえて頭をぷるぷる振りました。


こんな……まったく訳のわからない状況で出会ったドラゴンさんに……一目惚れ……してしまうなんて……私は一体どうしてしまったのでしょう?


「……疲れた」


緊張の糸が切れたのか急激な疲労を感じました。

あまりにも非日常な状況に張り詰めていた緊張が自分の気持ちに気付いた瞬間に決壊してしまったようです。

もう考えていられなくて穏やかに眠る彼の隣に寝転んでじっとお顔を見つめながら徐々に重くなる瞼を閉じると私は深い眠りに落ちました。

基本のベースは変えずにもっと詳しくしてみましたけど如何でしょう(´・x・`)

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