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奥さんの本気を見てみた

ソレイユの問題も一区切りついたと見て良い。

二人の新婚生活が始まったことで俺はセシリアに甘えすぎていないかと感じていた。



「俺、セシリアに甘え過ぎてないかな……」



「何故、この状況でその発言が?」



「セシリアが読んでる本だよ」



「これは今日牧師様から薦められた物ですが」



現在、夕食を食べて片付けも終わり、ソファーでまったりしている。

セシリアが読書をし始めのでどんな本を読んでるのかなと興味があったので隣に座ったのだが。



「孤児のために身を粉にして働く聖母の物語なんて……」



「二つ名については克服したつもりですが、あまりにもあからさまな態度を取られると私も相応の対応をしますよ?」



こちらを向いてセシリアが笑みを浮かべる。

それはまさに聖母の笑みと断言できるもので……って待て待て。

そんなつもりで言ったわけではないのに、これはまずい!



「違う違う、そういうことじゃなくて」



「では、どういうことでしょうか?」



「俺って生活方面全てセシリアに頼り切ってる……つまり、甘えていないかなって」



ギルドでクレイマンに嫁自慢をしたことを冷静に思い返してみよう。

セシリアは家事で俺に活躍の場を与えてくれている。



しかし、それはセシリアの計算あってのことだ。

俺が支えていることになるのだろうか。

違う部分で支えれば良いとは頭ではわかっている……けどさ。



「この本からそういう思考へと至った……わけではなさそうですね」



「前から思ってたことで話すきっかけに過ぎないから誤解しないでほしい」



誤解が解けないと俺の座る位置がセシリアの隣から床に変わってしまう。



「そういうことですか……」



セシリアから聖母の笑みが消えた。

誤解は解けたらしい、良かった。



「んー……それでもヨウキさんがそこまで気にする必要はないと思いますよ」



「えっ?」



話の流れ的に思い返してみれば……的な流れになると思っていたのに。



「ヨウキさんは自主的に手伝ってくれますし、指示と違ったことはしませんよね。私としてはそれで充分満足しているのですが」



「そ、そうなの?」



セシリアが満足する基準が低いような。

俺に気を遣っているのか……いや違う。

俺が気を遣わせているんだ。

これは夫婦として大問題じゃないか……?



「そもそも甘えるというのはですね」



セシリアが俺の肩を掴んで優しく自分のところへと持っていく。

俺は逆らうことなくセシリアの誘導に身を任せると……膝枕してもらっている形になった。



「こういう状態のことを言うのかと」



「これは甘えているというのか……?」



これで俺が愚痴でも言っていたら甘えていると言えるけど。

俺が言いたいのはそう言うことじゃないんだよなぁ。



「うーん……」



「まだ納得していなさそうですね。……では、明日本気を出しましょう」



「本気?」



「はい」



現時点でセシリアに甘えていないかと悩んでいるのに本気を出すだと。

セシリアは本をテーブルに置き、思案顔になる。

もう明日のことを考えているっぽい。



「ちょっ……本気を出すことは確定なの?」



「明日だけですよ。この方法ならヨウキさんも普段の私と比較して安心できる思うんです。その後はまた話し合って生活の決め事の確認をしましょうか」



「そ、そうか。ならそうしよう」



反対する理由が思いつかず、セシリアの提案を受けることにした。



「この時の俺たちはまさか、あんなことになるなんて思ってなかったんだ……」



「余計な一言を言うのは止めましょう。……ヨウキさんがそういうことを言うと本当に何かが起こってしまいそうなので」



「……ごめん」



神様、やっぱり今の無しでお願いします。

……そう、無しでってお願いしたんだ。



「馬鹿な……」



翌日、目が覚めると全ての準備が終わっていた。



「朝食って今できたばかりだよね……?」



「はい、ヨウキさんの起床時間は把握していますから」



パンやスープが温かいのでちょうど準備を終えたばかりなのだろう。



起床時間の把握って……同棲していたけどさ。

それを踏まえても把握するのが早いよな。



味も文句のつけようのない朝食だった。

そこからの片付けは二人でやったけど……。



「装備も弁当も準備してあるの!?」



ギルドに行く準備も完璧に終わっていた。

あとは身だしなみを整えたら行けるというね。



「セシリアさ、無理してない……?」



本気を出すのと無理をするのは違うかと。

俺の心配する視線を感じ取ったのか、セシリアは安心させるような笑みを浮かべて説明。



「大丈夫です。これくらいは無理の範囲に入りませんから」



「……そっか」



まあ、本当に無理をしている様子が見受けられたら止めよう。

その日はギルドで依頼をいくつか受けて帰宅。



セシリアも仕事があるし、夕食は二人で準備することになると思っていたのだが。



「できてる……だと?」



「はい。朝のうちに仕込みを終わらせておきましたから」



「いやいやいや……」



それでも全部終わってるってどういうことだ。

無駄な動きなく、時間を有効活用して同時進行するとかしないと無理な気がする。



知ってはいたけど……ここまで家事スキルが高い理由は一体なんだ。



「……あっ」



考えてみたらセシリアは元勇者パーティーの一員。

そして、当時の勇者パーティー事情はというと。



トラブルを運ぶ勇者ユウガ、ユウガのことに必死な魔法使いミカナ、沈黙の剣士レイヴン。

そんな面々との旅の経験がセシリアにはあるわけで。



「掃除は?」



「終わってますね」



「洗濯とか」



「終わっていますね」



「……買い物」



「帰りにお店に寄ってきたので問題ありません」



もうやることが片付けくらいしかないよ。



「せめて片付けくらいはさせて下さい」



敗北を認めるしかない。

セシリアの方が何枚も上手だわ。



「そうですね。でも、まずは夕食にしましょう」



「はい」



夕食ももちろん美味しかったが、今日でよく分かった。

俺は家事でセシリアには勝てない。



勝ち負けの問題ではないと分かっているんだ。

他の部分で頑張るしかない……しかし、他の部分ってなんだろうな。

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― 新着の感想 ―
夜なら勝てるかも?
アニメも始まって小説読みながら2人のセリフが鮮明に脳内再生されるようになりました✨
最近更新多くて嬉しいー! 次も楽しみにしてます!
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