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村を守ってみた

寝てしまって、投稿忘れてました……

山賊の襲撃は突然だった。

村人達の怪我もだいぶ回復し、山賊達も姿を見せなかったので、あと数日でミネルバに帰るんだなと思っていた夜のことだ。



「シークはもう寝たのか……」



午前中は村人の治療、午後はティールちゃんの村の守り神について話を聞き続けるといったスケジュールだ。

疲れがそうとうたまっているんだな。



俺は村の年配の方の治療をして、ガーゴイルにちょっかいを出しに行くというスケジュールだ。

……シークに言ったら怒りそうだな。



あと、ガーゴイルロリコン化作戦をした後日。

セシリアがガーゴイルは本当にロリコンなのか疑問を持ったようで、俺に聞いてきた。


やはり常識人のセシリアをごまかすことは出来なかったようで、俺の悪ふざけだと認めた。



散々説教をされ、ズルズルとガーゴイルのいる社に引っ張られて謝罪をするよう言われた。



ガーゴイルの勝ち誇った顔を今でも鮮明に覚えている。

あと数日でちゃんとした証拠を掴んでやる予定だ。

そのために早く寝ることにしよう。










寝ているとドンドンとドアを叩く音が聞こえ目が覚めた。

眠いので、意識がはっきりせず目を擦りながらドアを開けた。

そこには、走って来たのか、息を荒げる村長がいた。


「た、助けてください。山賊が夜襲をかけてきました。村の若い者が応戦していますが、病み上がりの者が多く……お願いします」



「わかりました。セシリアはもう起こしましたか?」



「今、妻が起こしているところです」



「では村長さんはこの家に立て篭もっていてください。俺はすぐに山賊退治に向かうので」



村長は俺の言葉に頷くと部屋から出ていった。

さて、準備を始めないとな。



「シーク、起きろ」



「隊長〜、僕まだ眠いよ〜」


ベッドから起き上がり、目を擦っている。

疲れがあるのはわかるが、今は緊急事態だ。



「山賊の夜襲だ。先に行って村人の援護をしてくれ」


「う〜、わかった〜」



シークは自分の武器である短剣を片手に窓から飛び下りた。

俺は魔法だけで戦うので準備などない。

部屋を出ると、ちょうどセシリアと鉢合わせた。



ローブを着て、杖を持ち、戦闘準備は万端のようだ。


「ヨウキさん! 急ぎましょう。」



「わかってる」



急いで村長の家から出た。目の前には村人が山賊と戦っている光景が広がっていた。



月明かりだけが頼りの真夜中に刃物がぶつかり合う音が何度も聞こえる。



突然の夜襲、そして、村人はほとんど病み上がりの者が多く、山賊が優勢だったようだ。



しかし、戦場を縦横無尽に駆け回る少年に状況はひっくり返ったようだ。



「いっくよ〜」


素早く、トリッキーな動きで走り回り、短剣で山賊に傷を与えまくるシーク。

その時に生じた痛みにより、隙を見せる山賊に村人達が襲い掛かる。



「このガキがあぁぁぁ!」



もちろんシーク本人に戦いを挑む山賊もいる。

二メートルはあるであろう巨漢の山賊が、シーク目掛けて、巨大な斧を振るい切り裂こうとするが。



「馬〜鹿」



シークは跳んでかわし、得意の踵落としを山賊の脳天にたたきこんだ。

仰向けに倒れ込む山賊の上に華麗に着地するシーク。また戦場を走り回り、山賊達に傷を負わせていく。



「シークくん、強いんですね。予想以上に……」


「あいつは、得意の身軽さを活かして敵を撹乱させるのが得意だからな。強いのは当たり前だ。伊達に俺の元部下はやっていないよ。さて、俺達も戦わないとな」



シークばかりに任しているのは良くないし、暴れるかな。

セシリアには後方支援をしてもらい、俺は山賊達に向かって走り出した。



「雷の中級魔法《瞬雷》。風の中級魔法ストームブロウ



敵味方入り乱れているので、規模の大きい魔法でぶっ飛ばすことが出来ない。

だから、身体強化系の魔法を使い近接攻撃で倒すことに決めた。



《ストームブロウ》はロックドラゴン戦で使った魔法だ。

《瞬雷》は足に雷系の魔力を流し、動く速度を上げる魔法である。



シーク同様、素早い動きで山賊達を殴り飛ばしていく。

山賊達の数が多いので、庇いきれず村人に怪我人が増えるがセシリアが回復する。



戦える山賊も残り少なくなってきた所で不意に嫌な予感がした。

嫌な予感の出所であるのはティールちゃんの家だ。



戦いの最中、林の方を見ると煙が上がっている。

山賊に襲われたのか?



「シーク、ティールちゃんの家の方角から煙があがっている。ここはもう、俺や村人で対処できるから、お前はティールちゃんの所に行ってくれ」



「了〜解」



シークは林の方へ走っていった。

これでティールちゃんは大丈夫だろう。

最初の頃から比べると、山賊の数は半分以下に減っているので俺や村人達だけで充分だ。



三十分後、村を襲った山賊は殆ど無力化した。

幸いにして死者は出なかったらしい。

山賊からの脅威が去って嬉しさのあまり、抱き合っている村人がいる。



「……何だろう。胸騒ぎがする」



だけど、俺にはお祭り騒ぎをする気分になれなかった。

周りを見渡すがシークがいないのだ。



「セシリア! シークはまだティールちゃんの家から帰ってきてないのか!?」



いくらなんでも話を聞いたりしているとかはないだろう。

まさか、シークが苦戦しているかも……。



「シークくん……? まだみたいですね。でもシークくんに限って山賊にやられるなんてことは」



「わかってるよ。でも、何だか嫌な予感がするんだ」



俺はティールちゃんの家に向かって走り出した。

後ろにはセシリアもついて来ている。



内心焦りつつも、俺の気のせいだ、シークなら負けるわけないと思いつつ、林を走る。



だけど、林を走り抜けて、俺が見たものはというと。



「……何だこれ」



倒れた山賊達、泣いているティールちゃんの近くには片腕片翼を失っているガーゴイル。



そして、ボロボロになりながらも謎の男と戦うシークの姿があった。

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