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好きな子と遺跡調査してみた

微妙な所で一旦、切ります。

「見掛け通り、中もボロいな。遺跡を支えている支柱も触ったら、折れてしまいそうだぞ」



植物も普通に生えているし、古すぎだろう。

こんな所、調べる価値があるのか。



「ですから、進む時には慎重にお願いします。あとから、正式な調査が入って、私たちが壊した場所があると知れたら、大変なことになります」



セシリアも珍しく本気で焦っているな。

……いや、珍しくないか。

いろいろなことでセシリアはいつも奮闘しているからな。



「安心しろ、セシリーよ。この俺が柱一本、壊さずに遺跡調査を終らせて……」



「魔剣士さん、大きな声も駄目です。中に魔物がいたら、刺激してしまいますから」



「ごめんなさい」



小声で叱られて、小声で謝る。

迷惑をかけずにしっかりやろう。

Aランクの依頼受けたいって言ったの、俺だし。


遺跡から出るまで、大いなる厨二は胸の奥に秘めておこう。



「このままゆっくり進んで、中の大まかな構造を確認しましょう」



「了解だ。俺の感覚強化をフルに使って調べよう」



広さはわからんが、何かがいたら場所はわかる。 強化した嗅覚や聴覚によると生物がいる。



害のない生物か、魔物かはわからない。

だが、魔物からの不意討ちにあったり、いきなり鉢合わせたりしなければ、遺跡を壊さずに無力化出来る。



「頼りにしていますね、魔剣士さん」



「任せるが良い。立ち塞がる者には容赦ない鉄槌を与えてやる」



「……遺跡内の生物は倒してはいけないこと覚えていますよね?」



「無論だ。しっかりとセシリーの言いつけは覚えているぞ



「魔物も駄目ですからね」



「あ、ああ。なるべく傷つけずに無力化するようにしよう」



黒雷の魔剣士に不可能はない。

我が雷魔法を存分に味会わせてやるぞ。



「遺跡を壊すような魔法を使うのも駄目ですよ」



「さすが、Aランクの依頼。我が雷魔法が禁止されるとは」



黒の衣装で雷の如き速さと雷魔法を武器にする。それが、黒雷の魔剣士だというのに。



「こうなれば我が剣術で……」



「魔剣士さんて剣術使えましたか?」



「ふっ、この背中の剣は飾りではないぞ。見よう見まねの剣術、とくと味わわせてやる!」



デュークやレイヴンの剣術を思い出しながら、剣を振るうぞ。

……どうかしたのか、セシリアが頭を抱えているな。

何か問題でもあったか。


「わかりました。魔物の相手は私がします。魔剣士さんは後衛で」



「何故だ! セシリー、格好で考えたら俺は護衛でセシリーは考古学者なんだぞ」



立ち位置が完全に逆じゃないか。



「良いですか魔剣士さん。適材適所という言葉があって、今回は私が前衛を務める方が良いかと」


「いや、俺には魔物の居場所がわかる。おおよその数もわかるし、直ぐに対応可能だ。……それに俺にはまだまだ、見せていない魔法がある」



秘密兵器があるぜ的な雰囲気を漂わせると、セシリアが疑いの眼差しを送ってきた。

問題を起こすと思われているのかもな。



「……本当に大丈夫ですか?」



「安心するが良い。絶対に魔物がいたら、平和的に解決をしてやろう!」


俺はポーズを決めて、俺はセシリアの前を歩き出した。

諦めたのか、セシリアも俺を抜かさずに着いてくる。



いつでも魔法が唱えられる準備をしているみたいだが。

遺跡の物を壊さないよう、慎重に探索をしていると広い空間が見えた。



「この先に魔物がいるな。数は十三匹くらいだ」



「私にはまだ見えませんが」



「近づいて中の様子を見てみよう」



壁に密着し、顔だけ出して覗く。



「ガーゴイルがいますね」



「ガイの親戚だな。ジャイアントラットもいるな」



ガーゴイルが五体、ジャイアントラットが八匹。ガーゴイルはガイより、全体的に小さい。



……ガイが特別なのかもな。

ジャイアントラットは普通にデカイネズミだ。

それほど、脅威にはならない。



「違う生態の魔物なのに共存しているみたいですね」



魔物も種族ごとに縄張り争いがあるものだが、お互いに意識していないっぽい。



長く一緒にこの遺跡に住んでいるのかもしれないな。



「無害そうではあるが、いきなり俺たちが入っていったら間違いなく襲って来るな」



「はい。彼らからしたら、私たちは自分たちの住みかを荒らしにきた、侵入者にしか見えないでしょうね」



そこまで強い魔物でもないし、普通に戦闘しても確実に勝てるだろう。

しかし、数が多いからな。



全ての魔物を制圧する前に暴れられて、遺跡を壊されかねないな。



「私がまとめてセイントチェーンで拘束しましょう」



「まとめて一気にか? そんなことしたら、疲労がどっとくるぞ。ここは俺に任せるが良い!」



剣を抜き、ガーゴイルとジャイアントラットのいる方へ向ける。



「≪イリュージョン・スフィア≫」



闇の中級魔法、≪イリュージョン・スフィア≫。 最近、ガイが覚えた魔法と似た、幻影を見せる魔法だ。



ガーゴイルとジャイアントラットの中心に白い球体が出現し、怪しく発光する。

球体の光を見たガーゴイル、ジャイアントラットは目が虚になり、球体に向かって進み始めた。



「魔剣士さん、いつまでこの状態でいるのですか?」



「俺が良いと言うまでだ」


セシリアも≪イリュージョン・スフィア≫の光を見てしまったら、魔法の効果にかかってしまうので、俺の片腕で目隠しをしている。



そのまま、ガーゴイルとジャイアントラットの群れを素通りし、次の通路へ到達した。



「……それで、どんな魔法を使ったんですか?」



「幻影を見せる魔法だ。まず、魔法の球体を作り出す。そして、球体の光を見た者に効果を発揮する」



「幻影、ですか」



「ああ。光を見た者はあの球体が自分が一番惹かれる物に見えるようになるんだ」



例えると、俺ならセシリア、レイヴンならハピネスにあの球体が見えるようになる



「便利な魔法ですね」



「結構、魔力の消耗はする。ま、黒雷の魔剣士である俺からしたら、微々たるものだがな。さあ、先を急ごうではないか」


「はい、行きましょう」


セシリアの信用をゲットした俺が先陣をきり、遺跡調査を続けた。



相変わらず魔物がいたりしたが、≪イリュージョン・スフィア≫でなんなくかわす。



隠し部屋がないかもチェックしつつ、遺跡の奥へと進んだ。



「セシリーよ。遺跡とはこんなに何もないものなのか!?」



「いきなりどうしたんですか」



「進めど進めど、魔物、植物、魔物、植物。何かもっと、こう……あるものじゃないのか」



千年くらい眠り続けているアンドロイドとか、封印された魔剣とか。

はたまた、実はここは古代の王の墓で、供物として捧げられた財宝があったりとか。



「はあ……。確かに勇者様の聖剣などが見つかることもあります。ですが、昔住んでいた人たちの居住区だったということもあります。つまり、遺跡だからといって、必ずしも何か貴重な発見があるとは限らないのですよ」



「くっ、ロマンは俺を見放したというのか!」



悔しさを隠せずに歯ぎしりをする。

……ヘルメットを被っているから、セシリアからは見えていないけど。



「ですが、何もない遺跡に見えても、文化遺産としての価値はありますから。それに私たちが見えていないだけで、調査隊の方々なら何か発見してくれるかもしれませんよ」



「ふっ、ありえんな」



感覚強化をしている俺が調べているのだぞ。

隠し部屋や扉があったとしたら、真っ先に気づいている。



「……まあ、今まで通ってきた通路にはいくつか小部屋へと繋がる所がありましたし。ここはなんらかの理由で捨てられた居住区の跡地なのかもしれませんね」



「……そうか」



これ以上は調べても進展がなさそうだ。

あとは国の研究者たちが詳しく調べるのだろう。


俺たちはギルドに遺跡の中がどれくらいの規模かと魔物の種類と大まかな数を報告すれば良い。




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― 新着の感想 ―
[良い点] この時のセシリアさんなら、幻影魔法で何を見たんですかね。ちょっと気になります
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