表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

一週間最後の日 eins

 S.J 371年 ×月×日


 ある大きな山があった。山といっても山脈や高山ではなく標高300m程度の丘陵であった。山の表面には木々が生い茂っており辺り一帯には森林が広がっていた。木々の一本一本も高さ25m以上はあり、15m程度の物を隠すにはちょうどいい具合のところだった。

 その森林の中に周りの風景とはかけ離れた大きな鉄の塊が1つあった。

 その鉄の塊は突如動きだし、下部に備えたキャタピラーを動かし始めた。

 地面は平地であり全方位を覆う木々以外は障害にはならなかった。

 鉄の塊はある程度前進すると再び停止した。

 すると、鉄の塊の胴体部分から一人の男が出てきた。男はロープエレべーターを使って降りると、ジャケットの胸ポケットに入っている無線機を取り出し話し始めた。


 「ドラート1。座標××に到着。依然反応なし。警戒レベルグリーン」


 『フェアバント5。こちらも確認した。全機距離5㎞を保ちつつ配置完了』


 「ドラート1了解。シルム4とフェアバント5は警戒を続行。他4機は各自警戒を怠らず休息とする」


 『了解』


 そう言い終えると男は無線機を胸ポケットにしまい鉄の塊から地面に飛び降りた。

 






 ロールガンド軍事基地 作戦司令室にて


 「進行中の第5小隊が目標座標に到着した模様」


 「現在警戒レベルグリーンにおいて維持。依然敵との遭遇は未確認」


 「第1小隊、第2小隊は進度4で目標地点に進行中。到着次第攻撃目標AからFに砲撃」


 「第3小隊、第4小隊は目標座標に到着。第6小隊、第7小隊も配置完了」


 前方にある大きなスクリーンには幾つにも別れた映像が映し出されていた。その映像は上空から撮影されたものであり、それぞれの映像には鉄の塊が映し出されていた。 

 この部屋は小さな階段が三階層にわけており、一階には大きな電子機器が幾つも設置してあり、二階には大きな長机が沢山設置したあった。その長机の上にはタブレット端末よりも少し大きなコンピュータ端末が幾つも設置してあり、その全ての端末をオペレーターが一人一人操作していた。端末の画面には部屋の前面に設置されている大きなスクリーンに映る映像と同じ映像のほかに、細かな数値やグラフなどが表示されていた。オペレーターは表示される画像と耳につけたインカムから伝わる定時連絡を端末上でレポート化し、そのファイルを三階に設置された一つの端末に送信していた。

 三階には二階の様な長机はなく、あるのはオペレータの使用する端末より二回りほど大きい端末を組み込んだ机が一つだけだった。その机の前には30代から40代前半に見て取れるような男が端末を操作しながら座っていた。

 男が端末を操作していると、2階のドアから一人の男が入ってきた。男は5枚ほどの紙を手に3階に上がってきた。

 

 「リーツ司令。諜報部からの報告書類です」


 男はそう言うと手に持っていた書類をリーツと呼んだ男に渡した。

 リーツと呼ばれた男は書類を受け取ると流し読みをした。


 「ネリース君。これは、『諜報部』の情報だな?」


 リーツは確認するように聞いた。

 

 「はい。これらの情報は全て我が国の『諜報部』の情報です」


 「ならばこれを今すぐ第7駐屯基地に居るローブ・ギュスター中佐に渡せ。この書類以外の記録は全て消去するのだ」


 「了解しました。すぐにでも部下に出立させます」


 「いや、君が行くのだ。君が直接渡さねばならん」


 「了解しました。それではすぐにでも準備を整えさせます」


 そう言うとネリースは部屋を出て行った。


 リーツは再び端末を見た。

 その画面には現在行われている一つの作戦の状況を表す3Dモデリングされた地形マップと作戦行動中にある各小隊の現状が映っていた。


 作戦開始予定時刻は刻一刻と迫っていたが今から戦争が始まるという緊張感を誰も感じ取ってはいなかった。

 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ