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どっちがどっち? カレー編

ちいととも君がカレーのライスで異文化コミュニケーション中。

この二人はなんだかんだ言って喧嘩はしません。

「ねぇ?今夜はカレーだよ?」

「そうだよ。だからご飯をよそってるんだけども…」

私は彼がよそるご飯をジッと見つめてしまう。

普通、カレーと言うものはご飯は端っこに寄せて盛るものではないのだろうか?

それとも、私は異文化コミュニケーションをしているのだろうか?

「えっと…。その盛り方は広瀬家のオリジナルだよね?」

私はどうやって言えばいいのか分からず言葉を選びながら聞いてみることにした。

「そうみたいだね。でも合理的だと思うけど。ちいは隅っこに盛るんだ」

「うん。合理的と言われれば確かにその通りだね。今度やってみようかな」

「そうそう。食わず嫌いは行けないと思うぜ」

とも君はそう言って私に笑いかける。

彼と付き合い始めて、徐々に私が理解した事がある。

お味噌は彼の家は白味噌で私の家は赤味噌を使う。

お味噌で喧嘩はしなかったけど、二人でご飯の時はお味噌を順番に使う事にした。

麻婆豆腐の豆腐は私は絹ごしを使うけれども、彼の実家は木綿豆腐だ。

ここでも喧嘩にはならなかったけれども、自分が食べ慣れた方が食べやすい。



そして…今度はカレーのご飯の盛り方でまた違いが出た。

とりあえず、自分達の盛りたい方法で持ってカレーを食べ始めた。

「これって…中辛?辛くない?」

「そんなに辛くしていないわよ。お肉を炒めるときにハーブを入れたせいかもね。今度は控えるね」

「そうなんだ。でもおいしいよ」

彼にはカレーにスーパーで買ったヒレカツをトッピングにしてあげた。

今日は部活はないけれども、いつもは部活で体を動かしているのだから。

「ちいはそんなに少なくて十分なの?」

「私?これで十分よ。それに私は受験終わったから夜更かしする必要もないもの」

さんざん悩んだ挙句、私は自分の成績では入れる都内の短大に進学することにした。

後は卒業式を待つ日々だ。部活のメンバーもほどんどが進路を確定させている。

章代は私と同じ短大の国文学科に、太一は実家からほど近い大学の経済学部に健は県内の外語大のスペイン語学科に進学を決めた。

残るはまなと芳樹の進路が決まれば、私達も楽になる。

「章代先輩と健先輩って…結婚するの?」

「正しくは入籍したわよ。あの二人。式は卒業後にするからそのうち招待状をくれるわよ」

「いいなぁ。俺達もそのうち結婚しようね」

「私は結婚にこだわってないのよ。ご馳走様でした。」

私はカレーを食べ終わったので流しに食器を片づける。



「なんか不安だなぁ」

「何が?」

「ちい達がいなくなったらさ」

「大丈夫よ。もう何も起こらないから。何かあったら私達を呼びなさい」

「うん。兄貴も同じ事を言っていた」

「だから、不安にならないで。そろそろ私も部屋を探さないとね」

「駅の側なんでしょう?」

「その予定だけども…ビリーを連れていくとなると難しいのよ」

私は彼の隣の椅子を引いて腰掛ける。足元にいたビリーが私の膝の上に乗っかる。

「そっか。猫を連れていくっていうのは難しいのか。気長に探すんだろ?」

「もちろん。まだ1月だしね。今月一杯は学校に行かないといけないしね」

「もうすぐで一緒に学校に行けなくなるんだ。寂しいな」

彼は少しだけセンチメンタルな事を言う。

こんなこと今までだって何度もあったはず。

「さあ、今日の宿題をやるんでしょう?」

「そうだった。英語教えてくれよ」

「はいはい。とりあえず、今日もともくんの新しい面が見れた。少しだけ嬉しい」

「一緒に暮らしたらいい面も悪い面も知られちゃうな。ちょっと怖くなった」

「それはすぐの話じゃないもの。まだ先の話よ」

私達は顔を見合わせて笑い合う。



まさか、その話が2ヶ月後に私達にのしかかるとは誰もまだ知らない事だった。

ようやく8作目。残り4作…何が食べたい?

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