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アメリカ飯ってなんなのさ?

こんにちは。四辻あきら小学校5年生です。

かあちゃんにアメリカ料理って何?と聞いたらとんでもない目に遭いました。

僕達可哀そうだと思いません?

「アメリカ料理って何?」

「えー、ステーキ?ハンバーグ?具だくさんピザ?」

って言うか、アメリカ料理ってあるんかい?

「あきらは結局何が食べたいわけさ?」

「今母ちゃんが言ったあたり…かな」

「ふぅん、そうなんだ。じゃあ、明日のご飯はアメリカンなご飯にしましょう。いい?絶対に残すなよ」

母ちゃんは不気味な笑いを見せてから、ノートパソコンの前に座ってしまった。

何かを調べているようだ。もしかしたら…僕はとんでもない地雷を踏んでしまったのかもしれない。



翌朝、僕はバターの焦げた匂いで目が覚めた。

この匂いって事は今朝はフレンチトーストだ。

もうすぐ母ちゃんが起こしに来るだろう。

「朝だぞぉ。いい加減に起きなさい」

「お…は…よ…。フレンチトースト?」

「そうよ。今日はアメリカ祭りだからね。ほらっ、さっさと起きなさい」

僕は母ちゃんに軽くお尻を蹴られる。痛くはないが、起きるまでは延々と続くのだ。



「いただきます」

「はいどうぞ」

僕ととむの朝ご飯はフレンチトーストと牛乳が置いてある。

デザートはバナナなのだろうか?皿の側に置かれていた。

今日は土曜日。いつもなら塾に行く前にお昼だけど…お昼のアメリカ御飯はなんだろう?

「かあちゃん、お昼はなあに?」

「ん?アメリカ御飯だよ」

「アメリカ御飯?マクドナルド?」

「違うよ。お家でアメリカ御飯です。とりあえず待ってなさいな」

そういうと母ちゃんは家事にする為にダイニングから離れた。



「かあちゃん、ごはんはまあだ?」

11時になると、お腹をすかせたとむが騒ぎ出す。

「はいはい、もう少ししたら上げるからね」

「母ちゃんはそう言うと、何かを上げているみたいだ」

そのうちトースターが出来上がりを示す音を立てた。

「出来たわよ。お昼はクリスピーピザとフライドチキンよ」

僕はなんとなく、かあちゃんが手を抜いているように思えた。

「母ちゃん…手を抜いていないか?」

「どうして?」

「だって…ピザもフライドチキンも買ってきたのだろ?」

「失礼な、ピザ生地はそうだけども、それ以外はちゃんと作りましたよ。これもアメリカ料理です」

「とむ、おやつは特別にドーナッツ作ってあげるからね。今夜もアメリカ御飯だからね」



母ちゃんはにこやかに言うけれども、僕はアメリカ御飯が何なのか既に分からなくなっていた。

僕がイメージできるアメリカ御飯は、後はホットドックなのだが、流石にこれを夕ご飯にはしないと思いたい。

「塾から帰ってくるときに、寄り道しないで、買い食いも市内でまっすぐ戻ってらっしゃいね」

久しぶりに見る満面の笑みを浮かべる母ちゃんがとにかく怖くてしょうがなかった。



「ただいま…母ちゃん…今夜は何?」

「何って、クラムチャウダーにクラブハウスサンドにステーキにマカロニアンドチーズよ」

「じいも、これを食べた訳?」

「うん。クラブハウスサンドだけだけどもね。はい、これですべてアメリカ御飯ね」

僕は母ちゃんにしてやられたみたいだ。

先に食べているとむを見た。とむも箸が進んでいない。

「とむ、頑張って食べなさい。あなたの好きなものばかりでしょう?」

「僕はこんなに一杯食べれないってば」

「大丈夫だよ。兄ちゃんが残さないで食べるって言ったから…ね?あきら」

「それじゃあ、お母さんはお風呂に入るから、どうぞごゆっくり」

母ちゃんは早々にダイニングを後にする。

しばらくして浴室からご機嫌な鼻歌が聞こえて来る。



今、気がついた。僕は母ちゃんを悩ませたつもりだったのに、実際には僕が嵌められたのだ。

しかも、いつもよりも量が多いのもきっと狙ってやったのだろう。

今度から、かあちゃんには逆らいません。

僕は食べても減らない大きなステーキと格闘する羽目になったのだった。

今回のメニューは一応、アメリカ料理に分類されるそうですよ。

さすが移民の国。他にはカリフォルニアロールとかジャンバラヤとかあります。

各国料理シリーズは一応今回でお終い。次回からはどっちで食べる?シリーズが2話程続きます。最初はビーフシチューでもいかが?

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