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太陽の様なパエリア

ちいと創が結婚して1年目間近の話です。

完全なるパラレルですので、本編を読む必要性はありません。

「パエリア食べたい」

「どうしたの?創?」

金曜日の夕方のテレビを見て、いきなり言いだした彼の一言。

高校卒業と共に入籍を入れて既に1年。大学にも慣れてきたところだ。

「たくさんの向日葵畑を見てつい…な」

「食べに行く?」

「それよりも作れるんだったら、一緒に作ろうか?」

「そうだな。でも…どうやって作るんだ?」

まずはそこから調べようって事になって私達は調べ始めた。

「今週末には無理そうだから、来週の金曜日にしようよ」

「そうだな。それでいいのか?」

「いいわよ。金曜日は私のバイトは休みだもの。とりあえず、木曜日にガスパッチョを作るわ」

「なんだ?それ?」

「スペインのトマトスープ。1日位置いた方がいいんだって」

「ふぅん。そうなんだ」

「辛いソーセージのチョリソってあるじゃない。アレってスペイン料理なのね。知らなかったわ」

「とりあえず、俺も手伝うから。一緒に作ろうな」

「分かったわ」



私達はその後、自分達の時間を過ごした。

結婚したと言っても、自分達の時間を大切にすることを約束している。

私達は同じ大学に通っていて、学科は違えど各部は同じだから講義が一緒になる事も多い。

だから自分の時間をちゃんと確保すべきだとして、自分達の自室もある位だ。

けれども…本当は彼と一緒にいたいと思うのは私の心がせまいのだろうか?



「今日は一緒に飯を作ろうな」

「うん。とりあえず下拵えだけはしておくからね」

「バイトはないけど、教授のお手伝いに行ってくるから」

「創…待って。これ…お弁当。採点のお手伝いでしょう?サンドウィッチにしておいたから」

「ありがとな、行ってくる」

私は彼を玄関で見送る。

彼を見送るのは私と一緒にこの家にやってきた猫のビリーだ。

「ビリー。今日は一緒にいようね」

にゃおんとビリーは小さく返事をした。

昨日は寝室の天窓でついつい遅くまで天体観測をしてしまって少し眠い。

「ビリーお昼寝しようか」

私達は再び寝室に戻るのだった。



side創


「ただいま、ちい?」

教授の手伝いは思った割に早く済んでしまって、彼女が作ってくれたサンドウィッチを教授達と食べた。

教授達からお土産と称してケーキを貰って急いで戻ってきたら、彼女とお茶をしようと思った。

いつもなら迎えに来てくれる彼女は現れず、シーンと静まった家がとても無機質に感じる。

そういえば、昨日の夜はついつい天体観測をして夜更かしをさせてしまった。

彼女は寝不足になると体調を崩すからひょっとしたら寝室で寝ているのかもしれない。

俺は貰ったケーキを冷蔵庫に入れた。

冷蔵庫の中を見ると、パエリアの食材はきちんと下ごしらえをした状態で冷蔵庫に入っている。

俺はゆっくりと寝室に入る。

そこで彼女はビリーと一緒に眠っていた。

俺はベッドに腰掛けてその無防備な寝姿を見ている。

俺と一緒になると決めるまで、あらゆることが彼女に起こっていた。

相当辛かったはずだ。本人は俺と別の高校に通っていた時の事を終わった事としてほとんど話さない。

代わりに聞いた話だと相当悪質な事をされていたという。

最後にはその真犯人もそれ相当の罪を負ったと言うが、それで彼女が負った傷が今でも完全に癒えたとは思っていない。



「なぁ、お前は俺を選んで正解だったのか?あいつの元に戻っても良かったのではなかったのか?」

全てが分かった時に、俺は彼女に告白をした。

それと同時にあいつも彼女に告白していたと言う。

彼女が最終的に選んだのは俺だった。けれどもあの時の選択が正しかったのかと思う時がまだある。

今が…今があまりにも幸せだから。この幸せを手放す事ができないからだ。

「創?帰っていたの?ごめん…私ってば」

「いいって。俺の方が早かったんだ。まだ3時にもなってない。お昼は?」

「食べてない。なんか調子が悪くって」

「そっか。教授がお前にケーキをお土産にって買ってくれたんだ」

「後でお礼状を書くわ。そんなに早く終わったの?」

「あぁ、教授にもサンドウィッチを分けて食べたんだ。上手かったぜ」

「良かったわ。そろそろ起きてご飯の支度をしましょう。手伝ってくれるのよね」

「あぁ、今夜は早めに寝ようか」

「そうね。ごめんなさいね。体が弱くって」

彼女は弱弱しく答えた。そんな事…俺は気にもしていないのにな。



sideちい


「気にするな。なぁ、ちい?」

「ん?」

「お前…幸せか?」

「幸せよ。創といるこの時間が何よりも幸せなの」

「本当か?」

「本当よ。考えすぎよ。創…愛しているわ」

私は両手を広げて彼を受け入れる。

彼の温もり、彼の匂い…全てが私の心を癒してくれる。

彼がいなければ、今の私は存在できなかった。

これだけ私にプラスの影響を与えてくれているのに。

「創、ご飯を作ろう。ご飯食べてから…久しぶりにゆっくりと話したいわ」

「そうだな。たまにはいいな」

私達はゆっくりと寝室を後にした。



その後、私達はキッチンで調べたレシピ通りにパエリアを作っていく。

流石にパエリア鍋は用意できなかったので、フライパンを代用することにした。

無事に出来上がったパエリアとボイルしたチョリソとガスパッチョをテーブルに並べた。

「頂きます」

「サフランって昔は高級食材だったからこんなに黄色くはなかったみたいだよ」

「ふぅん。それにしても国が変わると食も変わるものだな」

「それをいうなら、国内だってそうじゃない」

「そうだな。今度は国内の郷土料理でも作ってみるか?」

「そうね。それも楽しみだね」



夕食後に彼に熱を計るように言われて熱を計ったら…39度あった。

「あれぇ?」

「あれぇじゃない。さっさと寝る。いい?」

「ねぇ…側にいてくれる?」

「分かってるよ。ちゃんと側にいるから…こういう時の甘えたなお前は反則だな」

「どうして?」

「熱がないのなら…お前が欲しいからさ。大丈夫、そんな事はしないから」

そう言うと彼は私の額にキスを落とす。

「そろそろ薬が効いてくる頃だ。目を閉じなさい」

「うん。今日のご飯おいしかったね」

「そうだな。」

「それはね…創と一緒に食べるからだと思うよ。一人でご飯は寂しいんだもの」

「ちい…お前本当は寂しいのか?」

「自分達の時間を自分達の部屋で過ごすのは」

「少しだけね。でもそうじゃないとずっと一緒になるから少しは離れるべきだと思う」

「寂しかったら…俺の元にいること。俺はその為にいるんだから…な」

「ありがとう…創…おやすみ…」

効いてきた薬のせいか私は眠りの国に連れて行かれたのだった。

一応、wikiで調べたうえで各国料理は作っております。

今までは、中国・イギリス・イタリア・ドイツ・スペイン…。

次回はアメリカ料理。アメリカって言ったら何を連想します?

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