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第六章 山川草木
~山~
山が近づく。
返ってきた田舎。
君を見つけることができないまま。
君がいるにこしたことはない。
けど君がいない人生なら
田舎のほうが僕には合ってる。
田舎で君を見つけた
公園で見つけたあの日
君は確かにここにいた。
~川~
川の流れる音。
よくここで君と遊んだり
釣りをしたりした。
今はすっかりもうアユはいない。
きっと川も僕らの心も
汚れてしまった。
この川は昔美しかった。
この川だけは時代に流されず
残っててほしかったな。
~草~
草が伸びきった公園。
君と出合った
君を見つけた公園。
でも最近の子供はゲームばっかで
外では遊ばなくなったから
この公園も草だけが元気だ。
この草を刈って
君ともう一度だけでいいから
ここで遊べたなら。
~木~
木の幹にうっすらと
わずかだけど残る跡。
君と背比べしたときの跡。
あの時はまだ僕のほうが小さくて
うんと小さくて
チビって君は何回も言ってたね。
もう一度
もう一度だけでいいから
ここで背比べしたい。