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第四章 風林火山
~風~
風が心地いい。
電車に乗るのは何年ぶりだろう。
僕はずっと狭い田舎で育ったから。
君もそうだと思ってた。
そして狭い田舎に帰ってくるって
そう思ってた。
でも君は変わってしまったのかな。
都会に出てきっと美しい
大きい翼が生えてしまったのかな。
~林~
林が風でなびく。
きっと君を見つけるのは
林から宝石を見つけるぐらい難しい。
でも確かに林は存在している。
その中の宝石もきっとどこかに
存在しているはずだから。
だから
だから絶対君を見つけ出す。
世界でたった一つの宝石を見つけ出す。
~火~
火のように熱い気持ち。
大切な存在。
だから君を絶対見つける。
でも君の火は
点いていただろうか。
僕に対して点いてたんだろうか。
もし君の火がすぐ消える日なら
・・・いやそんなことはないはずだ。
そんなことはないと信じよう。
~山~
山が遠のく。
一両の電車で10時間以上かけて
田舎を離れた。
都会は広い。
ビルが立ち並びネオンが拡がる。
面積なら田舎のほうが広いのに。
多分この中に溶け込んだ
まぎれてしまった君を探すのは
至難の業だな。