転生しようとしたら転生方法がエグかった
「もう、死んでしまおうか・・・。」
僕は古い木造の狭い3畳のアパートの中で、
天井から伸びた豆電球にロープを取り付けて、
そこに首をかけようとしていた。
だけどコレ、もし途中で外れたりでもしたら・・・。
よくそういった話を聞くし、そもそもコレ、
ちょっとあまりにも頼りない気がする。
そもそも僕が何故こうなったかと言うと、
仕事の昼休みにドクターフィッシュ体験に行き、
そこでハマってしまい延長に延長を重ねた結果、
終業間際の時間までそこに居てしまい、
定時後も社内に残っていた上司から散々説教されたからだ。
何もそこまで言わなくても、と思い、5分間たっぷりと説教され
鬱々とした気持ちのまま一人暮らしの自宅に帰って来た僕は、
途中のコンビニでスティックパンを買う事を忘れてしまっており、
そんな頼りない自分に嫌気がさして自〇しようとしていたのだ。
だけど、ふと考えた。
どうせ〇んでしまうのなら、いっそ最後に全ての貯金をはたいて、
風俗の全オプションを付けてしまおう。
そう考えた僕は会社の留守電に「探さないで下さい」と残し、
いそいそと夜の街へと向かった。
街は、月灯りだけがぼんやりと佇む僕の住む住宅街とは違い、
ひたすらにギラギラとブリブリとオラついていた。
「お兄さん、安いよー!60分45000でどう?」
僕は相場がわからず、とりあえずそれで良いやと思った。
バニーガール衣装に身を包んだお兄さんに連れられて、
不思議の穴の中へと堕ちて行く。
気が付いたら僕は風俗店の待合室にいた。
向かい側にいた男性がペコリとこちらにお辞儀をした。
僕もたまらず、ペコリと返した。
するとそこへ、大柄なサングラス男性が怒鳴り込んで来た。
「タカシさんー、おるかぁー!?」
その声はとても威圧的で、とても接客業とは思えなかった。
僕は手を挙げる事すらためらわれて、勃起する事で返事した。
「ん?お、ちっちぇえの勃てちゃってるじゃん。
お前がタカシか、コッチ来い。」
絶対、指を詰められる。そう思った。
出来れば右足の親指はカサブタとかあるから、
左足の薬指とかにして欲しいなぁ、等と考えた。
そしてついに、大柄のサングラス男性は僕をある部屋へと投げ込んだ。
「そこで待ってろ!嬢が来る。いつか、な。」
僕は男のピンク色のグラサンを似合っていないなぁと思いながら、
嬢を待ち続けた。
待つ事わずか3時間、嬢が来た。
嬢は、既に出家していた。
頭を丸めて、世俗の快楽というものには興味が無さそうだった。
「あなたは神を信じますか?」なんて訊かれた。
「場合によっては。」と答えた。
オプションについて聞かれた為、フルオプションで、と答えた。
「そんな、車じゃないんだから。」と笑う彼女は、
まだ歯列矯正中だった。
ナースコスプレ、飲尿、お漏らし、3P、あらゆるオプションを付けた。
最高の満足度に僕は何度も絶頂を迎えながら、やがて楽しい時は終わる。
「お会計、90万円になります。」
そこで僕は、ふと思いついた。
『どうせ死ぬのなら、バックれよう。』
そう、どうせ死ぬ覚悟で来たんだ。
素直に金を払わずに、逃げよう。
僕は100mを45秒で走れる程度の速度で、走った。
嬢は「あ、お客さん、お賽銭がまだよ。」
等と悠長に言っているが、こちらは死に急ぐ身だ。
そんな事お構いなしに走った。
木を隠すなら森、うんこを隠すなら女子高だ。
僕は人通りの多い繁華街の中にいた。
そばを川が流れている。そこへ追手がやって来た。
「いたぞ、あそこだ!!」
「チィ、見つかったか。
一思いに川に飛び込んでやるか!」
僕はズボンとパンツだけを脱ぎ、上半身にはジレと金網Tシャツ、
大胸筋矯正サポーターを付けたまま飛び込んだ。
「どうせ〇ぬなら、こうやって死にたい。」
その理想的な〇に方を、僕は迎える事が出来た。
しかし━━
僕は〇ねなかった。
何と、異世界転生してしまったのだった。
そこは、現実世界と見間違うようなリアルな世界だった。
ただ一つ違うとしたら、住人が全員小鹿だったのだ。
「完全なるトマトケチャップは悪貨を凌駕する。」
意味のわからない言葉を呟きながら、彼らは行進する。
僕はこの春一番熱い、最高のリゾート地へと転生してしまったのだ。




