第2話 人との遭遇!?
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それから、数か月程が経った。
時間を把握する方法が神との会話しか無いので、正しいかどうかは不明だが、ともかく約数か月は経過した。
そんなある日、陸斗の耳に、珍しい音が響いた。いや、特段珍しくも無いのだが、今の陸斗にとっては珍しい音だ。
「おーい、なんかデカい卵があるぞ!」
そう、人の声である。
ここの所陸斗が聞く声と言えば、神の声以外は無い。
そんな中、卵の外から、男性の声が聞こえた。
(……でも、会話出来ないしなぁ)
今の陸斗には、一方的に会話を聞く事しか出来ないのだ。
「デカい卵ぉ? ……なにこれ、黒っ」
もう一人、今度は女性の声だ。
「うわぁ、真っ黒で……変な模様? もありますね」
「サイズ的には、何かの魔物か……?」
更に追加で、別の男女の声が。
恐らく、陸斗の周りに居るのは、男女四人組だろうという事が判明した。
「リーン、鑑定してもらえるか?」
「は、はいっ!」
最初の男性の声が、リーンと言う女性に対して何か頼み事をした。
その後、陸斗の卵に僅かな衝撃が。衝撃と言っても、あくまで触れられた程度の軽いものだ。恐らく、リーンが卵の殻に触れた衝撃。
数秒して、リーンが少し離れたのが分かった。
「……これ、ドラゴンの卵ですよ!」
そして、興奮した様子で叫んだ。
「マジ!? ドラゴンの卵!?」
「いやでも、親はどこに居るのかしらね……?」
「そうだな。案外、少ししたら親が戻ってくるのかもしれないぞ」
「うーん、そうだなぁ……」
(親、親か……確かに、俺の親らしきドラゴンが居ないな……)
今まで気にしていなかったが、そういえば陸斗は転生してから、親と呼べる存在に出会っていない。
次神と話す時に訊いてみよう。陸斗はそう思った。
「でもせっかく見つけたんだからさ、持って帰りたくね?」
「……まあ、気持ちは分かるけど……」
「売れば一攫千金、ですよね!」
「それに契約魔法を掛けて孵化すれば、竜騎士にもなれるな」
売られる?
陸斗にとって、まずい状況になってきた。
もしも誰かに売られて、契約魔法とやらを掛けられたら……神が言っていた様に、一生服従なんて真似になりかねない。
とはいえ、今の陸斗に抵抗する力は無い。
どうしよう……と陸斗が焦っていると、男は仲間達に向けて言った。
「よし、持って帰って売ろうぜ!」
「まあ、分かったわ」
彼の仲間達からの反対も無い。
男は、陸斗を覆う卵に近付き、卵を持ち上げた。
「っしょ、まあまあ重いんだな」
(どうしよう、どうしよう!?)
このままだと、陸斗は売られてしまう。
焦って焦って焦った末に思い付いたのは、転生の時に与えられた、スキルだった。
(『炎纏い』!)
神は言っていた。読んで字のごとく、炎を纏うスキルだと。
「うわぁ!? あっちぃ!?」
「ちょ、ちょっと!? 燃えてるわよ!!」
どうやら、卵の状態で発動すると、陸斗本体ではなく卵が炎を纏うらしい。
卵が纏った炎に焼かれた男は、慌てて卵を落とした。
ごとっ、という衝撃が伝わる。幸い、殻にヒビが入ったり、という事は無かった。
(危ないなぁ……燃やしたのは俺だけど、酷い事するもんだ)
中々場違いな感想を抱く陸斗とは別に、男達はパニック状態だった。
「ちょ、火傷火傷!」
「ちょっとその辺に落とさないでよ! 燃えるじゃん!」
「草に燃え移ったらどうするんですかぁ……!」
「と、取り敢えずみんな、落ち着け……」
落ち着いているのは、一人だけらしい。
しばらく騒いで満足したのか、男達は陸斗から離れる事にしたらしい。
「燃える卵なんて危ないわ。残念だけど、無視して行きましょう」
「で、でも、ドラゴンの卵だぞ……!」
「そうですよ……! 売れば一攫千金なんですよ!」
「お前ら一回落ち着け……耐火グローブでも無けりゃ、持ち帰れないだろ?」
「ちぇー……仕方無い、行くかぁ」
やがて、男達が離れていく足音が響いた。
『おや、ようやく進展があったかと思えば……』
男達が離れていった直後、陸斗の脳内に神の声が響いた。
『いや、なんで残念そうなんですか……危うく、変な契約させられる所でしたよ』
『私の仕事の合間の数少ない娯楽なんですよ? これ』
(神にあるまじき低俗な娯楽……)
いや、それよりも。
陸斗は訊きたい事があるのを思い出した。
『俺の親ドラゴンって居ないんですか?』
『親?』
『はい。だって、俺数か月間ずっと卵ですけど、周りに他のドラゴンの気配とか感じませんよ?』
『親なら今頃、離れた所で飛び回ってるんじゃないですかね』
『は、はい……?』
さも当然の様に言った神に、陸斗は困惑した。
『どういう事ですか……?』
『ああ、陸斗さんは知りませんか。この世界のドラゴンは、基本的に、産卵後の卵には近付きません』
『そうなんですか? 卵を守ったりとかは?』
『しませんよ。魔物や動物は、圧を感じて近付きませんし……なるべく人目に付かない場所に産卵しますからね。先程の者達も、たまたま来ただけでしょう』
『たまたまって……二回目があったら困るんですけどね』
まあともかく、親ドラゴンは陸斗の付近に現れる事が無いらしい。
生物の生態としては、特に不思議では無いのだろうか? 元が中学生の陸斗には、よく分からない。
色々他にも訊きたい事があったが、どうやら時間切れらしく、神は会話を切ってしまった。
……まあ、何も起こらないといいな、と陸斗は思った。
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