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おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。  作者: 愛自 好吾(旧月見ひろっさん)


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第147話 魔獣討伐隊 ②



 翌日、モー商会のやっている商店で冬用の装備、防寒服などの衣類を購入し、そのまま日持ちのする食料と水を買う。


アイテムボックスへと収納し、準備は整った。ガーネットは既に防寒服を持っているらしく、自分の家で装備を整えているらしい。


冒険者ギルドで待ち合わせをし、ガーネットと合流後、早速町の外へと歩き出す。


アローヘッド山まで歩きで丸一日の距離だ、それまでは普通の恰好で進み、寒くなってきたところで防寒服に着替える。


街道を北上し、あぜ道を進み、左右の草原地帯を見やりながら、二人で会話をする。


「うーん、今日もいい天気ねー。」


「まったくだ、こう天気が良いと草むらに寝っ転がりたい気分だよな。」


「風は冷たいけどね。ところでジャズ、ここからは気を引き締めた方がいいわよ。」


「ああ、そうだな。確か山岳地帯に生息するモンスター、「ロックキャット」が出るんだよな。」


ゲーム知識で、大抵のモンスターの事は知っている。


ロックキャット。こいつはすばしっこい上に皮膚が固いのが特徴だ。


「ロックキャットかぁ、私みたいな弓使いには天敵なのよね~。」


「もし出たら、俺が対処するから、ガーネットは後方で待機、いいね。」


「オッケー、助かるわ。その時は頼むわね。」


対モンスター戦の方針も決まった、あとはアローヘッド山の麓まで行き、その近くの村まで行けば討伐隊の基地がある筈だ。


今回のサスライガー伯爵の依頼は大型魔獣の討伐クエストだ、おそらく「混沌」絡みの可能性がある。


だとしたら、大型魔獣ってのは「キメラ」の可能性が高い。用心しなくては。


だが、それだけとも思えない。もし混沌の勢力が相手なら、一筋縄ではいかないだろう。


いくら俺がシークレットクラスの超忍にクラスチェンジしたと言っても、相棒のガーネットはまだ初級クラスのアーチャーだ。


ガーネットを守りながらの戦闘は、正直厳しいと思われる。


だが、ガーネットも今までの経験を得て、少しは戦い慣れてきていると思う。


そろそろ大型魔獣との戦いにも参加してもいいと思う、まあ、無茶や無理はさせないつもりでいるけど。


 道中、昼飯を食べて水を飲み、人心地つく。アローヘッド山までようやく半分の距離まで来た。


休憩し、また出発して村を目指す。しかし、そう簡単に事が運ばないのが世の常。


「ジャズ! 見て、モンスターよ!」


「ああ! 見えている! あれはロックキャットだな。数は4! こっちに気付いている。」


「作戦は?」


「さっき言った通り、俺が前衛! ガーネットは後衛! そののち待機。いいね?」


「解ったわ。ジャズに任せる。頼んだわよ!」


さて、モンスター戦か。相手にとって不足なし。まずは初手、クナイを四つ取り出し、そのまま接近。


「よっしゃ! 一丁いくぜ!」


俺の間合いまで接近し、頃合いを見てクナイを投擲、ロックキャット一体を仕留める。


「よし、一撃でいける!」


すかさずクナイを連射、ロックキャットを次々と仕留める。


噛みつき攻撃にさえ気を付ければ、ロックキャットは怖い相手ではない。というか、俺がそこまで強くなったという事か。


こうして戦ってみて、初めて解る。自分の強さが。俺はかなり強くなったと思う。


だが、油断はしない。足元を掬われるかもしれんからな。慎重に事を進める。これ大事。


 そして、ロックキャットを全滅させて、戦闘終了。終わってみればあっけないもんだった。


「やるわねジャズ。私の出番が全く無かったわよ。」


「うーん、まあ、ロックキャット自体、弓使いにとって相性が悪いけど、俺みたいな戦士とかなら楽に倒せるモンスターだしね。」


「まあ、そうなんだけどね、私みたいな弓使いは、やっぱり空を飛ぶモンスター相手ならいけるんだけどね。」


「まあ、適材適所ってところじゃないか? ガーネットの出番はそのうちあると思うよ。」


あぜ道での戦闘を終え、気を引き締めて道を進みだす。


周囲の様子を見回しながら、安全を確保しつつ前進。そうして、村までの行程を進む。


 しばらく進むと、見えてきた。村だ。遂にアローヘッド山の麓までやって来たみたいだ。


村の様子を見る限りでは、大して問題になっている感じでもないようだ。村人は落ち着いていて、日常を過ごしている。


対して、村の外には柵が設けられていて、仮設のテントなどが建てられている。


「あれだな、仮設基地ってのは。」


「そうみたいね、早速向かいましょう。ジャズ。」


柵の中に入り、仮設基地を見渡す。ところが、どういう訳かあまり人が居なかった。


(おかしいな? 普通伯爵様の依頼という事は、もっと多くの冒険者や衛兵なんかが居たとしても不思議じゃないんだがな。)


仮設基地の中には、ぽつぽつと疎らに人が居るだけで、武装した人は見かけなかった。


基地のスタッフらしき人物は見受けられるが、肝心の魔獣の討伐クエストを受けた冒険者の姿が見当たらない。


全く居ない訳ではないが、それにしても少なすぎるような………。


今見えているのは、酒を浴びる様に吞んでいる武装したドワーフの爺さんと、それから、あまり見たくは無いが。


「ねえジャズ、あれは何かしら?」


「しっ、聞こえるよガーネット。あれは多分、見ちゃいけない部類の人だ。」


………そう、見てはいけないのだ、ああいうのは。だって、この寒空の元、パンツ一丁で仁王立ちしている筋肉ダルマが居たからだ。


そう、まさに筋肉、これでもかと言わんばかりに筋肉を強調してくるあの感じ。


まさかとは思うが、ビルダーか? ビルダーなのか? 何故ビルダーがここに?


見たくはない、見たくは無いが仕方が無い。他に人は見受けられない。


しゃーない、本当は相手にもしたくは無いのだが、一応魔獣の討伐クエストを受けた同士という事なのかもしれないので、挨拶ぐらいはした方がいいような、よくないような。


まずは無難な所から、ドワーフの爺さんに話しかけてみよう。


俺達は、酒を飲んでいるドワーフの爺さんの元まで歩き、そして挨拶をする。


「こんにちは、あんたも討伐隊に?」


俺が訊くと、ドワーフの爺さんは一旦、酒を飲むのを止め、こちらを見やり、「フンッ」と鼻息を鳴らしてまた酒をかっくらいはじめる。


「あ、あのう。」


もう一度声を掛けて、返事を待つ。しかし、ドワーフは酒を飲むばかりだ。


ここでガーネットが、俺の腕をちょいちょいと突き、小声で言う。


「ねえ、やっぱり変じゃない? 討伐隊の姿が何処にも見当たらないし。もしかして私達だけなのかしら?」


俺も小声で言う。


「さあ? 見たところ、この二人ぐらいしか居なさそうだけど。ドワーフと、ビルダーの二人しか。」


「ねえ、ホントにここでいいのよね? 討伐隊の合流地点って?」


「ああ、その筈だと思うけど、なんかやけに静かだよな。他に討伐隊に志願した冒険者って居ないのかな?」


なんだか知らんが、嫌な予感がしてきた。まさかとは思うが、ここに居る四人だけが魔獣討伐隊に志願した人なのかな?


俺とガーネットの二人で話込んでいると、唐突にドワーフの爺さんから声を掛けられた。


「なにやっとるんじゃ? はよ~座らんか。」


「へ?」


「まずは酒、酒じゃろうが。それから自己紹介じゃろうが。まずは飲め。」


そう言いながら、ドワーフの爺さんは、お椀に並々と注いだ酒をズイっと差し出してきた。


ふーむ、ここは郷に入っては郷に従えという事なのかな? 俺は差し出されたお椀を受け取り、酒精の匂いにむせつつも、チビチビと酒を一杯やり、飲み干す。


(うっわ!? 物凄いアルコール度数の高い酒だなあ。)


ドワーフという種族は鍛冶で有名だが、同時に酒好きでも有名だ。筋肉ムキムキの筋骨隆々とした身体にずんぐりむっくりした体形。


斧やハンマーを持たせたら、似合う事間違いなしだ。


「うーん、良い酒ですね、これ。」


俺が言うと、ドワーフの爺さんは「がっはっは」と豪快に笑い、背中をバンバンと叩いて来た。


「おぬし、解っとるな。よーしよし、良い飲みっぷりじゃ。がっはっは。」


ドワーフの爺さんは、ガーネットにも勧めたが、ガーネットは「お酒を飲むのは仕事の後です。」と、断った。


「なんじゃ、つれないのう。まあええわい。儂はボム。ボム爺さんと呼ばれとる。見ての通りドワーフじゃ。宜しゅうな。若いの。」


「宜しく、俺はジャズ。忍者です。」


「私はガーネット。弓使いよ。」


ここまでは、まあ予想通りか、問題は。


「で? あっちに居る男はどなたですか?」


俺が何の気なしに聞くと、それを聞きつけたのか、ビルダーはゆっくりと、だが確実に近づき、ゆるりと会話に入って来た。


「ふっふっふ、どうやら、気付いてしまった様だね。このわしの、筋肉に!!!」


勘弁して欲しい。


 


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