表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。  作者: 愛自 好吾(旧月見ひろっさん)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/232

第12話 軍靴の足音 ①




 ここは駆け出し冒険者の町クラッチ。


 石造りの建物が建ち並ぶ中世ヨーロッパ風の町並みだ。


 新たな再出発の一歩を踏み出したはいいが、正直これから何をやっていこうかなどはノープランだ。


 何か飯の食い扶持を見つけなければ、今持っているお金も直ぐに無くなってしまうだろう。


 早いとこ仕事を見つけねば。


 「そう言えば腹が減ったな、何処かで飯でも食うか。」


 町の中をキョロキョロし、食事処を探す。


 それにしてもこの町は色んな人がいる。


 人間ヒューマンは勿論、エルフにドワーフ、獣人なんかも居て、多種多様な種族が生活しているみたいだ。


 町の中をざっと見渡すと人間が八割、エルフなどの亜人が二割といったところだろうか。


 町中の至る所に看板が掲げられている、文字ではなく絵柄で表現されている。


 飯屋というとナイフとフォークが描かれている看板だと思う。


 ………あった! 飯屋だ。早速店の中へ入る。


 店の中は綺麗に掃除が行き届いており、清潔感のあるお店だとわかる。


 「いらっしゃいませ~」と店の女将さんらしき人に言われ、店内に入る。


 店内は広過ぎず狭過ぎない面積で、他のお客さんも入っている。


 テーブルや椅子などが幾つか、あと、カウンター席もある。


 自分一人なのでカウンター席に移動して座り、注文する。


 「女将さん、何かおすすめってあるかい? 俺この町初めてでさ。」


 女将さんは料理をしながら、他のお客さんの注文を聞きつつ、こちらに笑顔を向けた。


 器用な人だな。


 「スローターフィッシュの煮付けなんておすすめだよ。」


 スローターフィッシュ? 水棲系モンスターじゃなかったっけ?


 「女将さん、モンスターを食わせるのかい?」


 女将さんは仕事の手を一旦止め、こっちに対応してくれた。


 「何言ってんだい、スローターフィッシュは旨いよ。特にこの時期は脂が乗っていて最高なんだよ。それに庶民の味だよ、あんたも食ってみなよ。」


 なんと、そうなのか。ものは試しだ、食ってみるか。


 「それじゃあ、そのスローターフィッシュの煮付けを頂くよ。」


 「はいよ、銅貨一枚と鉄貨五枚ね。」


 鉄貨? 銅貨が最下硬貨じゃなかったのか。


 ちょっと女将さんに聞いてみよう。優しそうな感じだし。


 銅貨を二枚取り出し、カウンターの上に置きつつ聞いてみた。


 「女将さん、つかぬ事を聞くけど、鉄貨何枚で銅貨一枚と同じ価値なんだい?」


 女将さんはカウンターに置いた銅貨を仕舞い、お釣りの鉄貨五枚を渡しながら答えてくれた。


 「あんたおのぼりさんかい? お金の流通し辛い田舎から出て来たのかい?」


 「そうなんだよ、物凄く遠くから来たんだ。」


 まあ、日本から転生してきましたと言ってもわからんだろう。


 「いいかい、鉄貨十枚で銅貨一枚、銅貨十枚で銀貨一枚、銀貨十枚で銀棒一本、てな感じでお金の価値が上がるんだよ。まあ、銀棒十本で金貨一枚だけど、金貨なんて滅多にお目にかかれないからねえ、こんなところかねえ。」


 「なるほど、ありがとう女将さん。」


 女将さんは親切に教えてくれた。やっぱりいい人だったな。


 なるほど、大体ゲーム「ラングサーガ」とほぼ同じという訳か。


 しばらくして、スローターフィッシュの煮付けが目の前に置かれた。


 う~ん、イイ匂いだ。見た目はまんま魚料理って感じだな。


 女将さんが「さあ、おあがり」と手の平を上に差し向けた。


 早速頂くとしよう。両手を合わせる。


 「頂きます!」


 箸が無いのでフォークを使う。どれ、うまく切り身を口の中に運ぶ。


 うん、いける。旨い。さばの煮付けみたいな味がする、魚料理を食っているって感じだ。


 これがモンスターのスローターフィッシュなのか。いけるぞ。


 「どうだい? 旨いだろう。」


 「うん、いけるよ。この魚。」


 あっという間に平らげる。ふう~、食った食った。お水を飲み、一心地付く。


 手を合わせて「ご馳走様」をした。


 女将さんがこちらを向いてにんまりとした笑顔を見せたので、俺も食後の満足した笑顔を見せる。


 「また食いに来てもいいかい?」


 「ああ、いつでも食べに来なよ。」


 食後のまったりとした時間を過ごし、何気なしに女将さんに聞いてみた。


 「ねえ女将さん、何か仕事ってあるかい?」


 女将さんは食器を洗いながら答えた。


 「あんた、今何もしてないのかい? だったら冒険者なんてどうだい? この町は駆け出し冒険者の町クラッチだよ。新米冒険者ばかりだから気の合う連中ばかりだと思うけどねえ。」


 「うーん、冒険者かぁ~、冒険者ってあれだろ、モンスターと戦ったりするんだろう、俺、戦闘経験とか無いんだよねぇ~。」


 「何言ってんだい、あんた見たところまだ若いじゃないかい、だったら王国軍に入ったらどうだい? 鍛えて貰えるよ。若いのに何もせずブラブラしてるよりよっぽどマシさね。」


 「軍隊かぁ~………。」


 確かに、軍隊に入れば衣食住は心配しなくてもよくなるって、刑務所で知り合ったユリも言っていたな。


 それにお給金も貰えるらしいし、………意外といいんじゃないかな、軍に入隊するのも。


 軍隊で経験を積んでから除隊して、それから冒険者になるってのもいいかもしれない。


 女将さんが更に話を続ける。


 「そういやあ、この町にも王国軍の駐屯地があった筈だよ、行ってみたらどうだい? ブラブラしてるよりマシだろ。」


 「うーん、そうだなあ、じゃあちょっと行ってみるよ。」


 女将さんに「ご馳走様」と言い、席を立ち店を出ようとする。


 「まいどあり~」と後ろから聞こえて、店を出る。


 (確かに、モンスター蔓延るこの世界で、戦う力が無いというのも生き延びる事ができないだろうな。)


 さて、それじゃあ軍の駐屯地へ行ってみようかな。


 確か町の端っこにあるって道行く人に聞いたな。よし、早速向かうか。


 王国軍の駐屯地へ向けて歩き出す。


 確かに自分にはゲームとしての知識があるが、戦闘経験が無い。


 なので、いきなり冒険者をやろうものなら、この世界での経験の浅い自分は、間違いなくモンスターにやられる未来しか見えない。


 戦闘経験や実戦経験を積むという為にも、ここは一つ、軍に入るってもの悪くないかもしれない。


 王国軍の駐屯地へとやって来た。


 木のフェンスが広いグラウンドを囲み、その中では数人の兵士が何やら走り込みをしている。


 自己鍛錬かな? 


 入り口はどこだろう、キョロキョロとしていたのが門にいる兵士に見つかり、声を掛けられる。


 「君、どうしたの? 王国軍に何か用かい?」


 緊張しつつも、自分がここへ来た理由を伝える。


 「あ、あのう、実は俺、軍に入隊しようかと思いまして、入隊志願者は受け付けていますか?」


 「ああ、入隊志願者かい。王国軍は随時入隊を受け付けているよ。すまないが敷地内に入る前に鑑定の魔道具で君の事を調べさせてもらうよ、規則だからね。」


 そう言って、兵士の一人は門の入り口近くにある小さな建物の中へと入って行った。


 すぐさま出て来て、何やら手には水晶玉が板にくっ付いた様な道具を持っている。


 あれが鑑定の魔道具なのかな。


 兵士は俺の側まで近づき、魔道具をこちらへと向け、水晶の部分に手を触れるよう促された。


 両手を水晶に触れ、しばらくそのままでいた。


 兵士が何やら板に文字が浮かび上がってきているのを見ている。


 なるほど、そういう仕組みか。


 「今日の入隊志願者は君で四人目だよ、入隊は自由だけど一応試験があってね、それを通らないと入隊できないんだ。………………うん、犯罪歴無し。いいみたいだね、通っていいよ。ようこそクラッチ駐屯軍へ。」


 ほっ、よかった。犯罪歴を見ていたのか。


 一応刑務所でお勤めを果たしてきたから犯罪歴がクリアになったのかな? 


 何にしても通されてよかった。


 兵士に一礼し、敷地内へと足を運ぶ。


 一番大きな建物に行って受付をしてほしいと言われたので、まずは大きな建物を目指す。


 ………軍隊か、自分に務まるだろうか。


 少々の不安はあると思う。


 これからの自分の行動基準が、まずは強くなるという目的だ。


 王国軍に入って鍛えてもらう予定ではあるけど、はてさて、自分は一体どこへ向かっているのやら。


 明日はどっちだろう?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ