第一戦・鳴動
日本シリーズ 第1戦
―大阪ドーム―
その日、大阪ドームは異様な熱気に包まれていた。
日本シリーズ史上、かつてない「関西ダービー」。
セ・リーグ覇者・関西ジャガーズと、パ・リーグ王者・京阪ライダース。
本拠地同士がわずか40キロほどしか離れていない宿命の対決に、関西全域が沸騰していた。
試合開始1時間前――
すでに外周には、両軍のユニフォームに身を包んだファンたちが入り混じり、応援歌と怒号が交錯している。
「打て打てライダース!」
「いけいけジャガーズ!」
太鼓の音、旗の波、メガホンの喧騒。
“本拠地”大阪ドームにも関わらず、三塁側スタンドを中心に、関西ジャガーズのファンも大挙して詰めかけていた。
球場アナウンスが響く。
「日本シリーズ 第1戦―― 京阪ライダース 対 関西ジャガーズ!」
場内の照明が落ち、ビジョンに両軍の紹介映像が映し出される。
トレント・ローズ、仲村紀洋――“しばいたれ打線”の爆発力に、場内が地鳴りのような歓声をあげる。
続いて新城、村瀬、酉谷らジャガーズの面々が映し出されると、三塁側スタンドから大きな拍手と応援が飛ぶ。
ベンチ裏。
ライダースのナインは、異様な静けさの中で円陣を組んでいた。
キャプテン・仲村が、低く唸るような声で言い放つ。
「人気やらブランドやら、うっさいわ」
「ワシらは強いんや。それだけ証明したったらええ」
梨子田監督が、目を閉じて小さく頷いた。
「お前らの野球をやれ。ローズと仲村だけやない。全員で“しばいたれ”や」
一方、ジャガーズベンチ。
新城が、村瀬、紅星、檜山らを前に仁王立ちしている。
「ええか。勝負はここからが本番や」
「この大阪で、まず1個取って、相手の勢いを削ぐ。それがこのシリーズを制する鍵や」
ノックバットを握った乃村監督が、静かに呟く。
「真の日本一は、今から決まる」
午後6時、プレイボールの時刻が迫る。
グラウンドに、ライダースの先発・角倉がマウンドへ上がる。
その姿に、場内が総立ちとなる。赤と黒のライダースカラーが、スタンド全体を染め上げる。
三塁側。ジャガーズファンが、逆風にも怯まずメガホンを振る。
甲子園からやってきた応援団の鳴り物が、大阪ドームの空間に重低音を響かせる。
この空間のすべてが、“本気”だった。
人気のセ・リーグ、実力のパ・リーグ。
その象徴たる2球団が、今、ぶつかり合う。
そして、主審が右手を掲げた――
「プレイボール!!」




