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前半戦終了─手応えと、焦燥と

「悪くない、けど……まだ何かが足りへんな」


東京へ戻る新幹線の中、今丘がぽつりとこぼした言葉に、誰もすぐには応じなかった。

負け越したタイタンズ3連戦、前半戦の最終カード。

首位陥落という事実が、車内の空気を重たくしていた。



だが、客観的に見れば、関西ジャガーズの前半戦は間違いなく“成功”だった。


主砲・檜山が打率3割を超え、要所で勝負強さを発揮。

ルーキーの紅星は不動の一番打者として、試合の流れを呼び込んできた。


村瀬や酉谷といった若手もレギュラーに定着し、打線全体の“つなぐ力”はリーグ屈指だった。


投手陣では矢吹、飯川、濃見がローテーションを支え、リリーフ陣の「JFK」──ジャンセン、富士川、小久保の3枚看板も着実に機能していた。


なのに、胸の奥に残るのは奇妙な物足りなさだった。



「全体としては手応えある。でも、2戦目、鍬田に抑え込まれたのは……ちょっとショックやったな」


酉谷が小さくこぼすと、隣の今丘がうなずいた。


「フォーム変えてきてたらしいけど、完全に翻弄されたな。オレも完璧にタイミング外されたし」


前半戦の成績は文句なし、でも──勝ちきれない相手が確かにいる。

一発で試合を決める力、自力の差。


タイタンズに負けたというより、自分たちに何かが足りなかった。そんな感覚。


「強いチームは、何かしら“もうひと押し”を持ってるんや」


指揮官・乃村克也が、記者にそう語った通り、ジャガーズの野球は完成度が高い。


だが、それだけでは届かない領域があることも、チーム全体がうすうす気づき始めていた。


それでも──順位表は現実だ。2位、首位とゲーム差2。


「まだ、ここからひっくり返せる。それは確かやろ」


新城の言葉が、車内にしっかりと響いた。


目標は、あくまで「頂点」。

前半戦の“手応え”と“焦燥”を胸に、ジャガーズの夏が、もう一段階ギアを上げようとしていた。

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