表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/117

打ち砕け、限界

高校野球・夏の大阪大会が、ついに幕を開けた。

全国屈指の激戦区――“魔境”と称されるこのトーナメントで、俺たちの最後の夏が始まった。


目指すのはただ一つ。

甲子園出場、そして日本一。


そのために、俺はバットにすべてを懸けると決めていた。


初戦――第1打席。

インハイのストレートを完璧に捉えた打球は、高々と舞い上がりレフトスタンド中段へ。


「うおおっ!」

「初打席初ホームランやぞ!」


いきなりの先制アーチ。そこから俺の快進撃が始まった。


2回戦では、センターへ一直線の弾道と、逆方向へのライナー弾で2本塁打。

どちらも、バットから離れた瞬間に確信した一撃だった。


3回戦の相手は、春の大阪ベスト4に入った強豪・桜ヶ丘。

左腕エースのキレのあるスライダーに苦しめられたが、6回表、我慢して待った内角の甘いカーブを振り抜いた。

打球は低い弾道のままライトスタンドに突き刺さった。


4回戦では、変則フォームの右サイドハンドから繰り出されるスプリットを見極め、フルカウントから左中間スタンドへ。

ここでも相手バッテリーは四球を挟みながら慎重に攻めてきたが、一球のミスが命取りになった。


準々決勝の相手は、今年急成長を遂げた大体附属。

投手力・守備力に優れた堅実なチームだったが、試合終盤、1点リードの場面で回ってきた打席。

内角高めのストレートをフルスイングすると、打球は豪快な放物線を描いてライトポール際へ。

スリーラン。勝負あり。



この時点で、5試合でホームラン8本、打率.600。

打球速度、飛距離、弾道――どれも高校生の枠を超えていた。


スタンドのスカウトが色めき立ち、相手ベンチが警戒心をむき出しにしてくる。

それでも俺は、“打つべき球”を確実に仕留めてきた。


小柄な巧打者――そう言われていた俺はもういない。

3番に座る今の俺は、誰よりも“決定的な場面”を打ち抜くスラッガーだ。


だが――ここからが、本当の勝負。


準決勝、そして決勝。

この3年間、乗り越えられなかった“二つの壁”が、最後の前に立ちはだかる。


次なる相手は、あの男が待つBL学園。

覚悟の先にしか、甲子園はない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ